ミックサック団

 ピトリ国の港町アイルで1晩宿泊をしたギン達は、ミックサック団の団長が指定した広場に来ていた。


 大人数で押し掛けると余計な混乱を招く可能性があるとし、ギン、ルルー、ヨナの3名のみで広場に赴いた。残りの者は馬車を街の外まで移動させギン達を待つこととしたのである。


 広場でギン達が会話をしている。


「ここで間違いないんだな?」

「ええ、団長さんが指定したし、間違いないわ」


 ギン達が会話しているとミックサック団の団長と数名の団員がギン達に接近してくる。その中には舞台で魔術師レイナを演じた女優リーザもいた。


 接近した団長がまずルルーに声をかける。


「シスター殿、待たせたか?」

「いえ、我々もたった今来たばかりですから」

「そうか、で、彼らは?昨日は見かけんかったが」


 昨日自身の前に姿を現さなかったギン達の存在に疑問を抱き尋ねる。


「彼らがここまで我々の護衛をしてくれた者達にございます。男性はギン殿、女性はヨナ殿といいます」


 ルルーがギン達を紹介し、ギン達も団長に自己紹介をする。


「傭兵のギンです」

「傭兵団を仕切っているヨナです」


 ギンとヨナの自己紹介を受け、団長が返答をする。


「ああ、よろしく。そうだ君達も舞台を観たなら分かると思うがうちの看板女優のリーザだ。リーザ、皆さんに挨拶を」


 団長に促されリーザがギン達に挨拶をする。


「皆さん、初めまして。リーザと申します。ラックの街までよろしくお願いします」


 リーザの挨拶を聞いて、ルルーが現在の状況を説明する。


「はい、よろしくお願いします。現在我々以外の者達が街の外に馬車を待機させておりますが皆さんの馬車はどちらへ?」

「わしらの馬車も外で待たせているが、表門で合流させるか」

「そうですね、我々の馬車はすでに表門にありますが、いかがなさいますか?」

「わしらの馬車を表門に持っていく、待っていてくれ」


 団長の言葉を聞いてギンが団長に呼びかける。


「それなら自分達も行きましょう」

「早速護衛に入ってくれるってわけか、ならそうしてもらおう」

「ヨナは俺と一緒に来てくれ、ルルーは先に馬車へ戻ってくれ」


 ギンの言葉を聞き、ルルーもヨナも応じる。


「分かった。一緒に行くよ」

「じゃあ馬車に戻って待ってるから」


 そう言ってルルーは馬車のある表門に向かい、ギンとヨナはミクサック団と共にミックサック団の馬車へと向かっていく。


 ギン達が急遽、ミックサック団という芝居の一団を護衛することとなったが、何が待ち受けているのか、そして護衛は無事にできるのか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る