鼻の利く男

補給拠点のある島に到着したギン達であったが、帝国軍の水軍も追いついてきており、ギンはジエイ達を先行させ、自らは敵を食い止めるため、その場に留まる。


 そして帝国軍も船から降りてきて、そこにいるギンに対して目をやる。


「何だ貴様は?そこをどけ!」

「断る!どうしても通りたければ俺を倒すことだな」

「この命知らずめが我らの力を見せてくれる」


 水軍の隊長がそう言うと部下の兵士達が一斉にギンに攻撃をしかけるが、ギンは軽々とかわしていき、次から次へと兵士たちをなぎ倒していく。


「どけい!俺がやる!」


 部下のふがいなさに業を煮やした隊長がギンに対して槍で攻撃をしかけるが、ギンに剣で防がれてしまう。


「何⁉」


 隊長が驚き言葉を続ける間も続かないほど、ギンは剣を隊長に対し、打ち込み、ひるませ、槍を吹き飛ばす。


「な、何だと⁉」


 驚きを隠せない隊長に対し、魔法で強化した剣を鎧の上から打ち込み、隊長を行動不能にする。


「た、隊長⁉」


 隊長に駆け寄った兵士に対し、ギンが言葉を放つ。


「お前達では俺に勝つことはできない!命が惜しければ今すぐ退け!」

「おのれ、我らをコケにしおって、だが隊長の治療もしなければならない、悔しいが退くぞ!」


 そう言って部下の兵士達は隊長を抱え、船に戻っていく。


 船が離れていったがギンは他の船がまた来ることを見越し、ジエイ達が戻って来るまでその場に留まることを決める。


「ジエイ達は上手くやっているのか?」


 ギンがそう呟いている頃、ジエイ達は既に建物内に突入しており、守備兵をジエイがなぎ倒していく。


「それで物資はどこにあるんだ⁉」

「しらみつぶしに探すしかありません、ギン殿が敵を食い止めている間に見つけなければ、ん?」

「ジエイさん、どうしたんですか?」


 ミニルが問うがジエイは神経を研ぎ澄まし何かに気付いたようだ。


「小麦の匂いがします。こちらです」

「お、おい待てよ」

「あ、私も」


 ジエイが小麦の匂いを嗅ぎ当て、その場に赴こうとしており、ウィルとミニルも後を追いかける。


「っていうか良く分かったよな、俺もミニルも気付かなかったのに」

「私は諜報任務をするので毒物等に敏感でなければなりません。少しの違和感も見逃さないよう訓練されているのです」

「すごいですね、ジエイさん」


 ジエイ達がやり取りをしていると、倉庫らしきところに着き、中に入る。


 中には小麦が多くあり、ウィルは戸惑ってしまう。


「多いな!こんなの船に乗りきらねえよ!」

「その必要はありません、2人共お下がりください」


 ジエイはそう言って2人を下がらせ、印を結び火遁の術を放ち、小麦を燃やす。


「さ、火が広がる前に脱出しましょう」


 火遁の術で小麦を焼き、もはや食料としての価値はなくなる。作戦成功だ。

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