迎撃!砦からの攻撃

 ブロッス帝国の水軍を追い払うことに成功したギンの元に、これもまた備蓄していた食料である小麦を焼き払い帝国軍の補給を絶つことに成功したジエイ達が戻って来る。


「ギン殿!」

「ジエイ!ウィル!ミニル!上手くいったんだな」

「はい、食料の小麦を焼き払い巻き込まれる前に脱出しました。そろそろ良いですかな」


 ジエイはそう言うと印を結び手より水を放ち建物の火を消火する。


 たちまち火は消え、建物の損傷は少ないようだ。


「なんで火を消すんだ?敵の施設なら燃やし尽くせばいいんじゃねえのか?」

「敵にとって重要な拠点は味方にとっても重要な拠点になりうるのです」

「ジエイの言う通りだ、この戦いの後にここにプレツ兵を常駐して前線基地か、逆にプレツ水軍の為の補給拠点にするのがいいかも知れないな」


 ギンの言葉を聞いて思い出したかのようにミニルがギンに告げる。


「あ、陸地の戦いはどうなっているんでしょうか?」

「おそらくもう決着はついているはずだ。ニリに船で戻り、そこからスップまで戻ろう」


 ギンの言葉にジエイが同意した。


「そうですな。ニリに戻った時点で何か分かるかも知れませんし」

「じゃあ、早く船に乗ろうぜ」


 ウィルの言葉にギン達は船に乗り込む、ニリまでの帰還を試みた。


 時間は戻りギン達が島に接近しつつある頃、フィファーナは部隊を進軍させスップへと向かっていた。その途中バンス将軍の部隊が陥落寸前まで追い詰めた砦を発見する。


「フィファーナ様、この砦も素通りするのでございますか?」

「当たり前じゃ、わらわが言った事を忘れたのか」

「ですが砦の兵が素通りを許すとは思えませぬが」

「来る奴は始末すればよい、砦の兵だけならば我らの敵ではないわ」


 フィファーナがそう言った瞬間、砦より何かが放たれ、フィファーナがそれにいち早く気付き、部下に指示を出す。


「皆の者、魔法が来るぞ、できうる限り距離を取れ!魔力障壁を使えるものは使うのじゃ!」


 そう言って、フィファーナと部下たちは魔法を警戒し距離を取るが放たれたのは竜巻の魔法であり、複数の兵士は竜巻に巻き込まれてしまう。


「な、何じゃ?よしんば魔術師を砦に詰めさしていたとしてもプレツにあれ程の魔術師は……はっ⁉まさか?」


 フィファーナが何かに気付いた時に砦から何者かが現れ、その内の1名が言葉を放つ。


「とりあえず、作戦の第1段階は成功だな。やったなエイム」

「ムルカ様とルルーさんが考えてくださったおかげです」

「おそらくギン殿は数で劣る我らの勝率を上げる為にエイム殿を残した。それでこの作戦が良いと思ったのだ」

「そうですね、兵が少ない以上強力な魔法を使うエイムは迎撃には欠かせませんからね」

「敵も減らしたしこっからあたしらの力見せてやろうよ」


 フィファーナの前に現れたのはエイム、ブライアン、ルルー、ムルカ、ヨナであった。いよいよ開戦だ。

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