絶え間ない戦い

プレツにブロッス帝国の軍団が侵攻を開始したという情報を得たギン達であったが、補給拠点を叩くためにプレツの水軍が帝国の水軍に敗れたことを知り、一同は意気消沈をしていた。


 そんな中、ブライアンが声を出す。


「ちょ、どうしたんだよみんな。沈んでよ。なあに、無理に水軍を相手にしなくても陸にやって来たフィファーナ達を俺達で倒せばいいんじゃねえのか。前にも言ったけど俺達は一個師団位の力はあるし、今はジエイやヨナ達もいるんだ、そう簡単に負けやしねえって」


 ブライアンの少し楽観的とも言える案に対しルルーが反論をする。


「ブライアン、あなたの言うように私達が勝てたとしても帝国軍はプレツの疲弊が回復しないうちに攻めて込めるように補給拠点を用意してあるの。たとえ今回の戦いに勝利したとしても補給拠点を何とかしない限りプレツは攻め続けられるのよ」


 ルルーの意見にムルカが賛同をした。


「ルルーの言う通りだ、我らにとって大事なのはただ勝つだけではなく帝国に簡単に侵攻をさせないようにすることだ。攻めてくる部隊をただ撃退するだけでは戦いが絶え間なく続く。それにブライアン殿、我らと帝国が戦い続けていると喜ぶ者達がいることを忘れていないか?」

「俺達と帝国が戦い続けていると喜ぶ奴ら?はっ!まさか……」

「そうだ魔族だ。対魔族の為にも帝国と絶え間ない戦いを続けている場合ではない。今回の戦いで何とか補給拠点を無力化し、次の侵攻までに時間を稼ぐのだ、うまくいけば停戦や終戦の交渉材料になるやも知れぬ」


 ムルカの言葉を聞いて司祭が尋ねる。


「ムルカ、魔族とはどういうことですか?」

「それについては後程説明いたします、まず今回の侵攻に対しどう対処するかです」


 一同のやり取りを聞いているとギンが呟き考えている。


「水軍……陸……補給拠点……船……」

「ギンさん、どうしたんですか?」


 エイムが問いかけるとギンは何かが浮かんだのか自分の考えを一同に話す。


「今、みんなの話を聞いて思ったんだが少しいいか?」

「ギン殿、何か策が浮かんだのですかな?」

「ああ、例えば小さな船を使って帝国軍に気付かれないよう迂回しながら小島に行き、補給拠点を無力化できないかと思ったんだが」


 ギンの考えに二フラが疑問を呈す。


「ですがギン殿、まずその船をどう調達するかです。それに見つかっては簡単に作戦は失敗してしまうのでは」

「ですが、今戦いに勝ちつつ補給拠点を無力化するにはこれしかありません。軍では小さい船を用意できないんですか?」

「軍船ではすぐに帝国にばれてしまいます。民間船を使えればよいのですが、そう簡単には……」


 二フラの言葉を聞いてムルカが何かを思い出し、一同に告げる。


「待たれよ、確か南の港町ニリに住んでいるボガード氏が荷船を所有し運搬業を営んでいたはずだ」


 ボガードなる人物とは?

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