勝利への追撃

 ブロッス帝国士官のブリードは上官であるバンス将軍が孤立無援の状態に陥った情報を得て、殿部隊を残しつつバンスの救援へと向かっていった。


 部隊の多くが戦線を離脱していくのを目にしたギンは不審に思い、敵の中を突破しつつヨナを探し発見したので声をかける。


「ヨナ!」

「ギン!どうしたんだい?」

「おかしいと思わないか?敵が一部の兵を残しながら戦場を離脱していく様子が見られる」

「じゃああたしらの勝ちって事?」


 ギンとヨナが帝国軍の動きについて話しているとヨナの傭兵団の1人がヨナに声をかけた。


「姉御!こりゃあ俺達の勝ちかもしれやせんぜ」

「どういうことだい?」

「将軍のバンスって野郎の周りにもう味方が1人もいねえって話でさあ、神官戦士の旦那が相手をしているようだしこりゃあ俺達の勝ちですぜ」


 傭兵団の1人は戦いの最中にバンスが孤立無援に陥った情報を得ており、さらにムルカがバンスとの一騎打ちをしているという情報も得ており、勝利を確信している様子であった、その情報を聞いたギンがヨナに対し声をかける。


「そうすると多分離れていった奴らはバンス将軍を助けに行ったかもしれない。俺達も追撃をしよう」

「そうだね、バンスって奴を倒せばあたしらの勝ちだもんね」


 ヨナの言葉を聞いたギンはヨナに対し先行することを話す。


「先に行く!殿部隊を頼むぞ!」


 そう言ってギンは速度強化の魔法を使い敵の中を突破していき、ヨナがあっけにとられる。


「はーーー、速いね、さ、あたし達もこいつらをやっつけてギンを追いかけるよ!」

「ヘイ!姉御!」


 傭兵団達がヨナの掛け声に返事をすると一気に殿部隊に対し攻撃をしかける。


 バンスの救援に向かうブリードであったが、砦からの攻撃も受けており、部隊は浮足立ちつつあった。


「ブリード様!砦からの攻撃が続いています!」

「振り切れーーー!なんとしてもバンス様をお救いするのだ!」


 ブリードが兵士達に対し檄を飛ばすと兵士より報告が入る。


「ブリード様!後方より何者かが信じられない速度で迫ってきます!」

「何⁉あ、あれは……」


 ブリードが目にしたのはギンの姿であり、想像以上の速さで迫っており、とうとう自らの目の前に現れる。


「な、何故貴様が⁉まさかもう殿部隊を全滅させたというのか?」

「突破したらお前達に追い付いただけだ、覚悟しろ!」


 そう言うとギンは剣を抜き、ブリードに対し向ける。その様子を見た周りの兵士がブリードに呼びかける。


「ブリード様!ここは我らに任せ、バンス様の所にお向かい下さい」

「すまん、任せたぞ」


 そう言ってブリードは残りの兵を引き連れその場を去っていく。

 戦いの行方は?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る