2人でホラーゲーム4
勉強の休憩時間中、暇潰しにスマホでsnsの投稿を見てみると、中学や高校の友達が海や川で遊んでいる写真がたくさんアップされていた。
みんなそれぞれ夏休みを謳歌しているようだ。
一生に一度しかない高校1年の夏だもんな。
そりゃあ、一生懸命遊ぶよな。
しばらくそれらの投稿を流し読みしていると、ある投稿が目に留まった。
中学の頃同じクラスだった近藤って奴のアカウントだ。
かんかん照りの太陽に空高く昇る入道雲、どこまでも広がっている海をバックに、男4人が笑顔で肩を組んでいる写真がアップされていた。
うーん、いかにも夏!って感じの写真だ。
ただ、野郎だけの暑苦しい写真だからだろうか。
1時間前に投稿されているのにも関わらず、誰からも反応してもらえていないのが笑える。
うーむ、4人とも中学の知り合いなんだが、コイツら…もしかして男4人だけで海水浴に行ったのか?
夏の海なんてカップルの聖地だろうに……なぜわざわざ自分から死地に赴くのかねえ。
ひょっとしてお馬鹿さんなのだろうか?
ピロンッ
おっ、丁度近藤のアカウントが更新された。
さてさて、今度はどんな写真をあげたんだ?
まあ、誰も反応しないとこいつらも可哀想だし?俺だけでも何かコメントしてやろうじゃないか。
どれどれ……は?
…新しく投稿された写真は5枚もあり、さっきの写真よりも更に笑顔の4人が写っていた。
ま、まあそこはいいんだ。
問題は4人の野郎共の他に、いかにも遊んでいそうなギャルが写っていることだ!
ビキニが3人でハイレグが1人なんだが、4人とも小麦色の肌を惜しみなく晒しており率直に言ってめちゃくちゃエロい。
い、一体このエロ漫画から出てきたようなギャル達は一体何者なんだ?
近藤達の高校の同級生か?
いや、それにしては大人びている気がする。
ピロンッ
また近藤のアカウントが更新された。
今度は写真はなく文章のみが投稿され、そこには、ナンパ成功、女子大生、一緒のホテル、童貞卒業出来るかも?などと訳の分からない単語が並べられていた。
童貞卒業?
はて?どういう意味だろう。
意味は分からないが、とりあえずコイツのアカウントはブロックしとこう。
snsは見たくもないものも流れて来るからな、まったく、情報化社会にも困ったもんだぜ。
その後、一応近藤以外の他の3人のアカウントもブロックして、俺はスマホを机の上に置いた。
臭い物には蓋をするじゃないけど、自分にとって良くないものは見ないようにする、これがネット社会を幸せに生きるために必要な事だと思うから!
それにしても…あぁ…あいつらはもうあっち側へ行ってしまうのか。
人と比べるようなことじゃないって分かってはいるんだけど、結構くるもんがあるなぁ…。
「はぁ…」
「どうしたの?ため息なんかついて」
どうやら自分でも気づかないうちにため息が漏れたらしい。
俺のため息に気づいた柑菜がベットから上半身を起こして尋ねてきた。
「いや、ちょっとな」
「スマホみてエッチな顔してたけど、それと何か関係ある?」
見てたの⁈
友達が童貞卒業するかもしれないことに嫉妬してたなんて、幼馴染に正直に話すのはちょっとアレだし、ここはなんとかして誤魔化さねば。
「SNSを見てたらエッチな水着の女の子の写真が出てきたけど、他の写真も見てみたらその子と一緒に男の子も出てきて、『何だよ彼氏いたのかよ!』ってため息もれたんでしょ?」
うん、微妙に合ってる。
「そ、そんなわけないだろっ」
「ほんとにー?」
俺の挙動不審な態度にますます疑念を深めたのか、柑菜がジトッとした目を向けてきた。
うぅ、昔からコイツに嘘とか隠し事ってできないんだよなぁ。
………仕方ない、変な誤解されても困るし、少しだけ本当のことを話すか。
「正直言うとな、同じ中学に近藤っていただろ?
あいつ海で女の子をナンパしたらしいんだよ。
それにちょっと思うところがありまして…」
だいぶ端折ったけど嘘は言ってないぞ。
さて、この説明で満足してくれればいいけど…
ダメですね。
柑菜さんの眉間にしわが寄ってます。
「ふーん、それで『俺も宿題なんてしてないで海に行ってナンパしたいなぁ』って思ったんでしょ?」
は?不機嫌そうに何言ってんだこいつは。
「何言ってんだ?
お前がいるのにそんなこと思うわけないだろ」
だって今俺の目の前にいるのは、あのギャル達4人が束になっても敵わないくらい魅力的な女の子なんだぜ?
そんな子が…たとえただの幼馴染の関係だとしても一緒にいてくれるんだ。
それなのに他の女の子をナンパして、今の柑菜との関係が壊れてしまったら目も当てられない。
…まぁ確かに?
童貞卒業はめちゃくちゃ羨ましいけどな!
ところで、柑菜が俺の言葉を聞いてから目をパッと見開いたまま固まってしまったんだが、俺は何か驚かれるようなこと言ったんだろうか。
「どした?」
「あ、うん。えっと、えへへ」
なんだ?今度は急に笑いだしたぞ。
「そっかそっか。へへへ」
「何笑ってんだよ」
「うふふ、なんでもなーい」
「変なやつ…」
「ふふふ。どーん」
そう言って、柑奈は上機嫌になりながらベットにダイブして、そのまま枕に顔を埋めた。
「だから俺の枕に顔を沈めるな!」
それから、なぜかいつもより機嫌が良くなった柑菜とたわいもない会話で盛り上がっていると、いつのまにか時計の針が12を指していた。
結局、休憩時間が長くなってしまったな。
それにしても、柑菜と話していると時間が経つのが早く感じるなぁ。
これがアインシュタイン先生が提唱した相対性理論だろうか。
「もうお昼だね。お昼ご飯どうしよっか?」
「母さんが冷蔵庫に入ってるもの食えってさ」
「そっか、じゃあ下行こっ」
「おう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます