30話 レベル1縛りは絶対。


 30話 レベル1縛りは絶対。


 前回の1億年では、シューリのことばかり考えていたが、

 今回の1億年では、時折、アダムの顔も浮かんでくる。


 シューリに対しては『深みのある敬愛』を感じていて、

 アダムに対しては『フレッシュなときめき』のようなものを感じている。


「ふらふらしやがって……俺、最低か……」


 などと思いつつも、


「まあでも、こんだけ、頑張ってんだから、美女二人を同時に求めたって別にいいだろ……そもそも、どうせ、『1兆の敵』と戦う時に、俺は相討ちで死ぬんだろうし……不相応な夢をみたってバチはあたらんよな……」


 ここまでくると、もはや、『クズ両親2人』のことはどうでもよくなっている。

 というか、もはや存在を忘れた。

 『すでに復讐は果たしている』というのが、やはり大きい。

 復讐は虚しいというが、復讐することで心にケリがついて、次の一歩を踏み出せるというケースもゼロではない。




「――つぅか、マジで俺のレベル、どうなってんだ……すでに1億5000万年も頑張ってきたってのに、まだレベル1なんですけど?! これ、どういうことぉ?! エグすぎん?!」




 センのレベルは、いまだに1のままだった。

 何をどうしても、絶対にレベルが上がってくれない。


「俺が、これまでに、何体の『凶悪なモンスター』を殺してきたと思ってんだ?!」


 『ゲート内で召喚できるモンスター』を殺しても経験値を稼げない――というわけではない。

 『普通に経験値を稼ぐことができる仕様』であるにも関わらず、

 センは、どれだけ頑張ってもレベル1から先に進むことが出来なかった。


「これまでに、俺が、『イレイザーフェニックス・アズライト』を、何体、倒してきたと思ってんだ?! 強化カスタムして『存在値を10億ぐらいにしたバージョン限定』でいっても、俺、たぶん、100億匹くらいは殺してんぞ……」


 そこで、センは、データルームで、正確な数字を確かめた。

 すると、


「討伐数『572億匹』……だと……? ぇ、俺、そんな倒してんの? ……えぐ……ああ、まあでも、2000万年の間、毎日、10体ぐらい殺していたからなぁ……そのぐらいの数字にはなるかぁ……」



 ――前回の1億年では、『下地・土台』をつくるのに時間がかかりすぎて、

 『爆発的成長』という『収穫祭』に到ることはできなかった。


 だが、『今回の1億年』は、『前回の1億年』という下地の上にあるので、

 『超絶爆発的な成長』を果たすことができた。


 5000万年経過した現時点で、すでに『一時的なMAX出力』で言うと『存在値80億』相当にまで成長したのである。



「ここまでは、勢いよく強くなれた……前回の1億年でつくった下地の上に、ひたすら積み上げるだけでよかったからな……」



 しかし、そろそろ頭打ち。

 だんだんと、成長速度が落ちてきた。


「ここからは、さらに、『下地を広げていく作業』が必要不可欠……」


 ようするには『基礎トレ』を重視しなければいけないということ。


「残り5000万年は、『明日の1億年』のための土台作りに費やすか……正直、もう、ニーを倒すだけなら、楽勝だしな……」


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