26話 次は自分自身を鍛え上げる。


 26話 次は自分自身を鍛え上げる。


 毘沙門天の剣翼を、ようやく、納得できる状態まで仕上げたので、


「つ、次は自分自身の武の底上げ……いくらアイテムがよくても、アイテムに振り回されるだけでは話にならないからな……つぅか、今の俺だと、こいつをまともに扱えねぇし」


 などと、ぶつぶつ独り言を口にしながら、

 センは、『鍛錬用の訓練室』へと向かう。


 ナイトメアソウルゲートでは、ありとあらゆる修行が可能。

 特に目玉は、『CPUを生成して対戦できる仮想訓練施設』。


 『CPUルーム』は、前回の1億年でも、だいぶお世話になった。

 結局のところ、実戦に勝る鍛錬はない。


「とりあえず、まずは、ニーの『素の強さ』を想定するか……存在値2000万、と」


 ボタン一つで、どんな強さの化け物でも生成できるのが、このCPUルームの素晴らしいところ。

 存在値2000万のCPUを生成すると、


「アイテム無しで、こいつに勝てるようにする……まずは、そこからだ」


 さっそく、訓練を開始する。




 ★




 500万年目。

『全然、勝てねぇ……』

『まあ、当たり前か』

『現段階だと、普通に1980万以上の差があるわけだしな』



 502万年経過。

『もっと、強く……もっと、速く……』

『ダメだ……オーラが乱れる……集中力が切れてきた』

『もっと、深く自分に没頭しろ……もっと、もっと……』


 550万年経過。

『ここ、訓練施設は山ほどあるのに、娯楽関係は皆無に等しいんだよな……』

『図書館に漫画だけは山ほどあるから、それはいいんだけど、前回の1億年の時に、もう全部よんじまった』

『山ほどあるって言っても、無限にあるわけじゃないから、1000年も通えば、普通に全部、読みつくしてしまうんだよなぁ……』

『禁忌書物は、何千万年よみこんでも、何書いてあるか、まったく分からねぇし。【オメガバスティオン】って、結局、なんだよ……【粒子の波長的な何かを合わせたら、相手の技を消せる。200年ぐらい練習したらできる技能】……みたいなことを書いているが、1億500万年以上たった今でも、一度としてできたことがないんだが?』

『あー、頭おかしくなる……』


 600万年経過。

『……記念すべき、600万年目……』

『アイテム制作は、なんだかんだ、面白いから、時間が経つのも早かったが……』

『戦闘訓練って地味でしんどいんだよなぁ……』

『時間の流れが遅い……』

『あと、9400万年……』

『……もし、1兆の敵を倒せたら……この地獄を……その後、一日一回のペースで、ずっと、ずっと、ずっと……』

『うぉぇっ……あ、やべ……想像したら、吐いちまった』

『……えぐい、えぐい……』

『もう、想像するのやめよう……心が持たない……』



 990万年経過。

『え、まだ10分の1? もういいって……』

『もう、ニーぐらいだったら、倒せるよ……』

『外に出たい……もう、ここ嫌だ……』

『しんどい、しんどい、しんどい』


 991万年経過。

『ひっく……ひっく……つらい……くるしい……』

『けど……それでも……叫び続ける勇気を……』

『頑張れ、俺……』

『負けるな、俺……』


 992万年経過。

『はははははははははぁ! 楽しくなってきたぁあああ!』

『ひゃはははあははは!』


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