『レベル1縛り』の無限地獄~敵のレベルは『1兆』以上。こっちのレベルは常に『1』。なのに、勝てなきゃ世界滅亡~

ミリオン

1話 レベル1のゴミは死ね。


 1話 レベル1のゴミは死ね。


「あれだけ英才教育したのに……レベルが一つも上がらないとは……貴様は救いようのないゴミだ。セン」


「し、死ぬ……父さん……死ぬ……」


「死ね。貴様などいらん」


 実の父に、首をシメられながら、そう言い捨てられた3歳児の少年センエース・カルマ。

 エリート暗殺一家に生まれたセンは、生まれた瞬間から、一流の暗殺者になるための訓練を受けた。


「で、でも……父さん……俺……いままで、ずっと、頑張って――」

「頑張ったからなんだという。結果が出なければ意味がない。貴様は、たとえ、100年頑張っても、私の足元にも及ばないゴミカス」


 センは努力をした。

 生まれてから今日にいたるまでの『全ての時間』を『狂気的な努力』でうめ尽くした。

 遊ぶことも、甘えることもなく、ひたすらに、自分をイジメ抜いてきた。


 ただ、どうやらセンは『絶対にレベルが上がらない体質』らしく、

 どれだけの地獄を積んでも、レベルが上がることはなかった。


「私の血を引いていながら、その無能ぶり……もはや、怒りを通りこして、おぞましさを覚える」


 エリート暗殺一家・カルマ家の歴史の中でも『最も優秀』と言われているセンの父『バースディ・カルマ』のレベルは『300』。

 『存在値(レベル+その他技能を合わせた総合評価)』に至っては『350』という大貴族級の力を持つ。


「死ぬ、死ぬ……ほんとに、死ぬ……」


 『父の握力』はどんどん強くなる。


「か、母さん……父さんを……止めて――」


 父の後ろにいる『実の母』に救いを求めるが、


「あなたのようなカスを産んでしまったせいで、これまで、私がどれだけ恥ずかしい目にあってきたか分かる? ほんとみっともない。レベル1の無能なクズが……」


 『産んでくれたこと』に対して、センは母に『最低限以上の感謝』をしていた。

 だから、これまで、何度も、『レベルは1だったけど、元気な体で産んでくれてありがとう』と感謝の言葉を口にしてきた。

 けど……


「私たち夫婦の『完璧だった人生』をけがしたゴミ……顔を見ているだけで腹立たしい――『姫殿下』の目があったから、これまでは殺せなかったけど、あのバカ姫は、皇帝陛下から嫌われて、権力を失い、幽閉されている。もはや、あんたを殺すことを躊躇する理由はない。御父様の手の中で死になさい。それが、あんたに出来る唯一の親孝行よ」


「……う……ぐ……」


 意識が遠のいていく。

 センは、ギリギリと歯ぎしりしながら、


(……くそぉ……くそぉ)


 産まれてからずっと、地獄の底を這いずり回ってきた。

 これまでずっと、とにかく理不尽なことの連続。

 それでも、センは、歯を食いしばって、努力を続けてきた。


 『現実から逃げたくなかった』から。

 だから、必死に頑張った。




(……まだ……死ぬわけには……いかない……まだ……)




 こんなクソみたいな人生だが、センには『夢』があった。


(……『姫がヒドい目にあっている』というのが本当なら……こんなところで死んでいるわけにはいかないんだ……生き残る方法を……姫を助ける方法を……考えろ……あるはずだ……なにか……なにかぁ……っ!)


 夢をかなえるため、

 現実から逃げ出さないため、

 いつも通り、センは、必死になって頭をフル回転させた。


 そんなセンの『頭の中』に、

 『奇妙な声』が響いた。






『――私はナイトメアソウルゲート。選べ、センエース。悪夢の中で生きるか、それともここで死ぬか』






(……な、なんだ……?)


『選べ、センエース。――ここで、楽に死んでおくか、とことん苦しんでから死ぬか』


 死にかけのセンに、じっくり悩む余裕はなかった。


(お……俺は、まだ……死ねない……)


 生き残れる可能性があるのなら、かじりつくしかなかった。


(やるべきことが……あるんだ……っ)


 覚悟を示した直後、

 『センの視界』が、『力強い光』で一杯になった。



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 名前『センエース・カルマ』

 ・称号『エリート一族の恥さらし』


 《レベル》     【1】

 (存在値)     【5】


 [HP]      【5/25】

 [MP]      【3/3】

 [スタミナ]    【9/15】


 「攻撃力」       【3】

 「魔法攻撃力」     【2】

 「防御力」       【3】

 「魔法防御力」     【2】

 「敏捷性」       【3】

 「耐性値」       【2】

 「HP再生力」     【2】

 「魔力回復力」     【1】

 「スタミナ回復速度」  【5】

 「反応速度」      【5】


 「隠しパラメータ合計値」【5】


 習得魔法「雷術ランク1」「治癒ランク1」「呪縛ランク1」

 グリムアーツ「閃拳(せんけん)」


 スペシャル「忍耐」「頑丈」


 戦闘力評価「☆」

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 名前『バースディ・カルマ』

 ・称号『超一流の暗殺者』


 《レベル》    【300】

 (存在値)    【350】


 [HP]     【1050/1820】

 [MP]     【320/590】

 [スタミナ]   【800/920】


 「攻撃力」       【210】

 「魔法攻撃力」     【190】

 「防御力」       【99】

 「魔法防御力」     【80】

 「敏捷性」       【305】

 「耐性値」       【52】

 「HP再生力」     【37】

 「魔力回復力」     【28】

 「スタミナ回復速度」  【250】

 「反応速度」      【356】


 「隠しパラメータ合計値」【2900】


 習得魔法「中治癒ランク12」「闇玉ランク15」「影移動ランク9」「死矢ランク12」「暗視ランク8」「短剣気ランク10」

 グリムアーツ「伝統暗殺術その1」「伝統暗殺術その2」「カルマ殺法」


 スペシャル「成長超早い」「成長超々早い」「暗殺適正」「ロックオン」「超幸運」「家族に恵まれる」「仕事に恵まれる」「サイコパス」


 戦闘力評価「★★☆」

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 ★


 ――ナイトメアソウルゲートの中。


 初日……

『す、すげぇ、なんだ、ここ……』


 2日経過……

『へぇ、ここって、すごい施設がいっぱいあるんだなぁ。こんなところで【1億年】も修行できるのか……やったぜ』


 10日経過……

『すごい……ここは本当にすごい。ここで修行すれば、俺は、いくらでも強くなれる……っ』


 100日経過……

『え、まだ100日……もう、ずいぶん、長い時間ここにいるけど……え、1億年って、もしかして、ヤバい?』



 200日経過……

『出してぇええええ! お願いだからぁあああ! 辛すぎるぅうう! 苦しいんだ! もう、無理ぃいいい!』


 ~~

 ~~



 1年経過……

『ちょっと待って……え、ほんとに1億年? 頭おかしくなるって、こんなの……』



 ~~

 ~~



 5年経過……

『オーラと魔力をうまくコントロールできれば、レベル1でもステータスは底上げできるな……』


 10年経過……

『相変わらずレベルは1だが、存在値は、ついに50を超えた……』



 15年経過……

『オーラは肉体のブースター、マナは魔力のサポーター……』



 20年経過……

『やった、ランク5の魔法をマスターした! いけるぞ! いい調子だ!』




 50年経過……

『ここでの生活も、だんだん、慣れてきたな……これならいけそうだ』



 ~~

 ~~



 100年経過……

『ぁ、あと……9999万9900年……え……うそ……むり……』



 200年経過……

『200年も修行したのに、俺、まだレベル1なんだけど……これ、どうなってんの?』




 500年経過……

『……ここの【図書館】には、どうやら、マジで、『すべての知識』が詰め込まれているようだ。【コスモゾーンの法則】、【オメガバスティオンの理論】、【認知の領域外に関する観測データ】……どの【禁忌(きんき)情報】も、死ぬほど難しいが、何度も読み込んだことで、どうにか、概要(がいよう)だけは理解することが出来てきた……まあ、ウソだけど……何が書いてあるのか、ほんとは一ミリも分かっていないけど……』





 1000年経過……

『楽しくなってきたぁあああ! いぃいいやっふぅうううう!!!』




 10000年経過……

『……』




 10万年経過……

『くそがぁあああ!! ざっけんじゃねぇ! もう、いい加減、ここから出せよ! もういいんだよ! 長ぇ! 無意味! もういやだ。いいかげんにしやがれ、くそくそくそ、出せっつってんだろ! 無視してんじゃねぇえええええええええええ! わああああああああああああ!』




 20万年経過……

 ~~




 50万年経過……

『ひっく……ぜんぶ……あのクソ親が悪いんだ……俺はなにも悪くない……ひっく……ひっく……』




 ~~

 ~~




 100万年経過……

『これが……武の真髄……俺は……ようやく答えを得た……もう全部わかった。だから、もういいよ。ここから出してくれ……出せって……出せぇえええええええ!』




 ~~

 ~~

 ~~






 500万年経過……

『うぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ』






 ~~

 ~~

 ~~




 1000万年経過……

『……ああ、そうか……全部、【空(くう)】なんだ……なにもかも【虚(きょ)】で……だから、【流(りゅう)】で……』




 ~~

 ~~

 ~~

 ~~

 ~~



 5000万年経過……

『まだ折り返し地点かよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! もういいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!』



 ~~

 ~~



 8888万年経過……

『……これが……命の答え……』



 ~~

 ~~

 ~~

 ~~

 ~~

 ~~

 ~~






 9950万年経過……

『あ、やっぱ違った。答えとかねぇわ。命って、なんの意味もねぇ』











 ――1億年、終了。






 ナイトメアソウルゲートの中で、

 『永(なが)き地獄』を耐え抜いたセンは……


 ……満を持して、現世に還(かえ)る。




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 名前『センエース』

 ・称号『永(なが)き時空を旅した敗北者』

    『常軌を逸した狂気の努力家』

    『絶望の運命に抗う冒涜(ぼうとく)者』

    『武の極みを垣間見た修羅』

    『半神』

    『ナイトメアソウルゲーター』


 《レベル》     【1】

 (存在値)     【17万2778】


 [HP]      【170万/170万】

 [MP]      【52万/52万】

 [スタミナ]    【89万/89万】


 「攻撃力」       【52万8000】

 「魔法攻撃力」     【3万2000】

 「防御力」       【12万】

 「魔法防御力」     【9800】

 「敏捷性」       【23万52】

 「耐性値」       【110万9080】

 「HP再生力」     【80012】

 「魔力回復力」     【5320】

 「スタミナ回復速度」  【162万2530】

 「反応速度」      【90万9800】


 「隠しパラメータ合計値」【370万6500】


 習得魔法「双牙雷術ランク150」「大治癒ランク98」「雷光弾ランク120」「幻影呪縛ランク88」「武装雷撃ランク105」「限定空間ランク80」「転移ランク70」「突貫雷槍ランク150」「豪将剣気ランク110」「プロパティアイ」「異次元砲」「フルパレードゼタキャノン」「オーラドール・アバターラ」「ドリームオーラ」「マリオネットゲイザー」「みんな死ねばいいのに」「他、多数」

 グリムアーツ「閃拳」「神速閃拳」「龍閃崩拳(りゅうせんぽんけん)」「逆気閃拳」「深淵閃風」「他、多数」


 スペシャル「不屈の魂魄」「サイコパス」


 戦闘力評価「★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★」

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