第25話 新しい季節

気温は日に日に上がっていって、暖冬のせいで今年の桜はもう咲き始めている。

先生と花見に行こうかなんて話してたから、今日は土曜日で診察も早く終わるから夕方にでも行ってみようか。

俺は先生の携帯に一応連絡を入れてから家を出た。


桜がもう咲き始めたって。

夜桜で良ければ、今夜行ってみない?


夜は冷えるだろうから上着を手に持って、財布と携帯だけをポケットに入れて家を出た。


病院の受付の前に人影が見えた。

診察がまだ長引いているかな。

土曜日は急患が多いって言ってたから。

別に構わない。

だって桜は逃げないし、今度こそ俺たちの時間はもう邪魔されるはずがないから………。


病院にいる患者らしき人物が窓越しにこちらを見た。


嘘だろ、何で………。


俺は立ち尽くした。


和哉だ。

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