僕たちを召喚したのはこの世界のラスボスでした

ノリ餅

プロローグ

「異世界召喚」。

この単語を聞いてみんなはどう思うだろうか?

物語を面白くするためのフィクションに過ぎないと思う人もいれば、

もしかしたら自分もいつか なんて夢を見ている人もいるかもしてない。

なぜ ”自分もいつか” なんて思う人がいると思う?

答えは明確。

この世界に飽きているからだ。

かわいい猫耳、犬耳の女の子がいるわけでもなければ魔法だって使えない。

とどのつまり、異世界ファンタジーを夢見る人間全員、

この何の変哲もない世界に嫌気がさしているのだ。

だが心の底ではみんな気づいているのだ。

異世界召喚、転生などはアニメやゲームの中でしか存在しない。

人間が作り出した都合のよいただの空想にすぎないと。

そんな中、とある行動をすれば異世界に行けるといわれている方法がこの世界には多数存在することはご存じだろうか?


例えば  10階以上ある建物のエレベーターで異世界に行ける。


例えば  ”飽きた”と紙に書いてそれを枕の下に敷いて寝る 起きたとき紙がなかっ             

     たら成功。


例えば  タットワの技法と呼ばれる様々な図形がかかれた紙を見続けると異世界に    

     行ける。


合わせ鏡、電車、幽体離脱、エトセトラ

このように、この世界には無数の異世界に行く方法がある。

だが、これらを信じる者は少ないだろう。

なぜなら、これらも異世界転生、召喚と同様この世界に飽きた人が作ったもの。

いわゆる ”都市伝説” のようなデタラメだからだ。

そんな中、それらのデタラメを心の底から信じ、いつか自分も異世界へとデタラメを試し続ける者たちがいた。

都市伝説をデタラメと言ったが、もしかしたらその中に真実が埋もれているかもしれない。

彼らはきっとその真実を求めているのだろう。



ー------------------------------------ー

「クッソ! これもだめかー 」

「………ムシャムシャ………   もう何個目だろうね?」

「いいから早く次のやつ試すぞ。てか俺がこうして作業してる間にお前は優雅にお食事ですか…」

「私昨日作業したじゃん てかお前もう2日は何も食べてないでしょ」

「俺はこんなつまらない世界早くおさらばしたいんだよ。食事をしてる場合じゃないんだよ!てかいま何月の何日だ?」

「私たち学校ってないんだからかんけいなくね?」

「あるだろっ!日にちが1日ずれただけで成功しないやつだってあるんだから。」

―と。異世界に行くため作業をもくもくと進める2人の男女。

今二人がいるのはとある高層ビルの屋上。

2人が古本屋で購入した ”簡単!誰でも異世界に行ける方法!” という何とも

怪しげな本に高い場所で行うと良い、と書いてあったのだ。

準備ももうすぐ終わるというときに二人は言う。

「お前頭良かったのに何で学校辞めたの?」

「お前こそ…」

以後、準備が終わるまでの間2人の間で言葉が飛び交うことはなかった。


男 — 青(じょう)16歳。 中二病・モテない。

ジーパンにラフなシャツ。非モテとは思えない服装に生まれつき赤黒い髪の色が特徴。カップルを見ると間を通りたくなる・


女 — 初(うい)16歳。 元優等生・引きこもり。

白い肌に、白、紫、青が組み合わさったきれいな長髪が特徴だ。

成績優秀、スポーツ万能な彼女は優等生としてするまうことが辛くなり、学校の制服を見ると無性にイライラする。


と。

こんな何の接点もなく友達もあまりいなかった2人が出会うことができたのだから人生というのは何があるか分からない。


さてここまで彼らについて少し知ってもらった。

そう、彼らは何の面白みもないこの世界に飽きてしまったのだ。

そんな世界を脱したいと彼らは本気で思っている。

彼らほどの熱意を持っている者を見るのは初めてだ。


なら手を貸すほかないだろう?

彼らを僕の世界に招待しようじゃないか。


「やっと書き終わったー マジで疲れた。」

「お疲れさん。ずいぶん時間かかったねぇ。」

「お前が手伝ってくれればもう少し早く終わったんだがな。」

「あはははぁ ごめんごめん。で、これから何するんだっけ?」

青は本に書いてある方法を再度確認し、元から知ってましたけどと言わんばかりに説明を始める。

「まず俺らは今かいた魔法陣の中に入り少量の血を自分の真下に垂らす。そのあとこの本に書いてある言葉を俺が読み上げれば、異世界に行けるってわけよ!」

「血液を使うのは初めてのパターンだね。もしかしたら…」

期待に胸を膨らませさっそく2人は陣の中に入り血を垂らす。

それから青が中二病チックに体を動かしながら詠唱を始める。

こういう文章を読むだけなぜか噛まずに言い切るのだからすごいものだ。

青が最後の一行を読み終えた。

が、何も起こらない。

「お前なんか間違えたんじゃない?」

「いやいやいや、そんなわけが…」

その時だったあたりが暗闇に覆われ何も見えなくなった!

「な、なんだ?初!無事か!?」

「何とかね!」

混乱していると何やら声が聞こえる

”君たち2人は今の世界に飽き飽きしている。だから異世界に夢を見ている。そうだね?”

謎の声は2人に質問する。

2人は迷わずに声をそろえてyesと答える。

そんな2人の答えを聞き声の主はクスっと笑った。

まるで2人の答えを待っていたかのように。

その瞬間、今まで真っ暗だった空間は目も明けていられないほどの眩い光に包まれた。

「今度は何だ!?」

「…っ!」

光が引いて行ったのを感じ目を開ける。

目の前の景色に2人とも言葉を失った。

目の前に広がっていたのは自分たちが今までいた世界とは全くの別ものだ

見たことない飛行生物に、空に浮かぶ島。

そんな景色に興奮していると下の魔法陣が割れる音がした。

それと同時に2人は自由落下を始める。

「わー----!!!!!!」

「さすがに死ぬー-----!」

そうすればいい?

2人が脳をフル回転させてはじき出した答えはこうだ。



”無理”


上空何メートルから落ち始めたのかは知らないが人が確実に死ぬ高さだというのが宇分かるくらい高かった。

地面にあたる瞬間、何かにやさっしく受け取っめられた。

「なんだ?何で生きてる?」

「これは…風?」

2人は何かに受け止められ九死に一生を得た。

情報量が多すぎて混乱している2人の前に闇の中で話しかけてきた声の主が現れた。

「いやー 生きててよかったね♪ ここは僕の世界、ここでは魔法が使えるんだ♪

今君たちを受け止めたのも僕の魔法だよ。」

2人は頭の中でいろいろ考えていたが”魔法を使える”という一言ですべて吹っ飛んだ。

魔法が使える こんなに心が躍る言葉が存在するとは…

2人は顔を見合わせ笑った。

「はっはっはっは! マジか!」

「ついに来た!!!!」

2人の会話を遮るように声の主が言う。

「僕はこの世界の主、僕も君たち同様この世界に飽き飽きしてた。でもこの世界は僕の世界だから離れるわけにはいかないだろ?だから君たちを呼んだんだ♪」

どうやら俺たち2人をこの世界に呼んだのはこいつのようだ。

「君たちにはこれからこの世界を攻略してもらう。この世界で魔法を習得し僕に挑んできてくれ!君たちならきっと僕のもとに来れると信じているよ♪見てるからね。」

そう言うと名前も明かさずどこかへと飛んで行ってしまった。

いまだに信じられない。

俺たち異世界に来れたのか?

ぷかぷかと浮かぶ島、竜、空を見上げればすぐそこに見える大きな星。

間違えない!今まで俺たちがいた世界とは違う。まごうことなき異世界。

俺たちはついに来たんだ。

互いに言いたいことはたくさんあったが、安心したせいか体の力が抜けていき

2人は意識を失いその場に倒れた。























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