第27話 作戦会議

 「それにしても、純情さんの行きつけの店は、珈琲の美味さも格別ですね。」

 黒川は、珈琲を一口飲んでから言った。



 「黒川さんがじっくりお話しを出来る場所をご所望なさっていると思いまして、このお店にさせていただきました。


  気に入って頂けて良かったです。」

 姫子も、運ばれてきた珈琲を飲んでからゆっくりと答えた。




 二人が居るのは、落ち着いた雰囲気の小洒落た喫茶店だった。


 入れたての珈琲の香りがする店内には、静かなクラシック音楽が心地良く流れている。


 黒川と姫子は、その店内の一番奥のテーブル席に座っていた。




 黒川は、桜井会長が意識を無くした日から現在までの状況を姫子に細かく話して聞かせた。



 彼女は、頷きながら話を聞き、黒川の話が終わった時に、『ありがとうございました。それでは、ちょっと一息つきましょう。』と二杯目の珈琲を頼んでくれたのであった。





 「黒川さんの説明は、とても分かり易かったです。


  おかげで、これまでの状況がかなり理解できたと思います。」

 姫子が言った。



 「それは、どうもありがとうございます。


  それで、何か気が付いた事はありましたか?」

 黒川がたずねた。



 「そうですね、幾つかありました。

  ただそれをお話するのは、少し待っていただけますか?


  明日は、剛社長の弟さんの光さんと会う日との事でしたね。


  そのお話を聞いてからでも宜しいでしょうか?



  そして出来ましたら、私もご一緒させて頂きたいのですが…。」

 姫子は、遠慮がちにお願いした。




 「そうですね…。



  分かりました。


  今自分が積極的に捜査をして回るのはあまり好ましい状況ではないんです。


  ですから、自分が一人で光さんの所に行くよりも、カモフラージュの意味でも純情さんに同行して頂きます。」

 黒川が答えた。


 「ありがとうございます。」

 姫子が嬉しそうに答えた。


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