第12話 病院到着

 「そんな、こちらこそ。


  清子さん、自分を信頼して大切な話を教えて下さって、どうもありがとうございました。


  清子さんの話を基に、更に調査を進めていきたいと思います。」

  黒川が決意を新たにしながら言った。



 「ところで、光さんの所に私が訪ねて行くことは可能でしょうか?


  清子さんの話を伺って、一度光さん本人からも、話を伺いたいと思ったのですが…。」



 「多分、大丈夫だと思います。


  ただ、いつもの連絡方法ですと手紙で知らせているので時間がかかるのです。


  ですが、この話は緊急事態の出来事ですし、ご自宅に電話をして確認してみます。

  光さんは、遅くまで働いていらっしゃるから、今日中にはお話出来ないかもしれませんが、なるべく早く確認を致します。」



 「お手数をお掛けします。そうして頂けると助かります。


  それでは、自分の連絡先を渡しておきます。

  何かありましたら、いつでも連絡して下さい。」

  黒川が名刺を渡しながら礼を言った。



 「ありがとうございます。」

  清子さんが、丁寧に両手で受け取りながら言った。




  二人が病院に着き、最初に会長が眠っている特別室へと向かった。



  清子さんは、まず換気をする為に窓を開け、部屋の花瓶の花を新しくしていた。



  黒川は、会長が寝ている隣で、その顔を眺めていた。



  今すぐにでも目を覚ましそうにも見える、血色の良い顔色に見えた。


 「会長、お元気そうな顔色に見えますね。」

  黒川が素直な感想を述べた。



 「ええ、そうなんです。


  私もこうして部屋の中を綺麗にしていると、突然目を覚まして、私に話しかけて来て下さるのではないかと、いつも思っています。」

  清子さんも答えた。




  しばらくして、清子さんがスタッフステーションに着替え等を渡しに行くと言うので、二人は部屋を出た。



  清子さんは看護師さんと話した後、桜井家に戻るので、二人はここで別れた。


  

  黒川は西塔先生に話が出来るかを看護師さんにたずねた。


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