第4話 人物構成

桜井会長の自宅には、現在四人が居住している事が分かった。

住人については、以下のとおりだった。


桜井さくらい おさむ…父 桜井コーポレーション会長 


・桜井 澄子すみこ…妻


・桜井 つよし…長男 桜井コーポレーション社長


菅原すがわら 清子きよこ…桜井家の住込み家政婦


 なお、会長の子供は、ひかるという次男もいるのだが、随分前に家を出ていた。




 黒川は、桜井家に訪問する前に、まず会長を搬送した救急隊員から話を聞いた。

そして会長の部屋に彼を起こしに行ったお手伝いの女性や、息子である剛社長から話を聞く必要があると判断した。



 次に搬送され、現在も会長が入院している病院で話を聞こうとしたのだが、『担当医が診察時間中の為、一切お答え出来ません。』という回答だった。


 結局黒川は、話も聞けず、桜井会長の病室にも行けず、全てで門前払いの扱いを受けてしまい、ここでの情報を何も仕入れる事が出来なかった。




 そして黒川は、桜井宅を訪問した。


 インターホンを鳴らし、通話が可能になったのを確認すると、黒川は話しを始めた。

 「お忙しい時刻に突然失礼致します。警視庁捜査一課の黒川と申します。


 実は現在意識不明になられている桜井会長について、警察に匿名の電話がありました。


 そこで会長の発見当時の様子や病状について少々確認に参りました。


 もしお差支えが無ければ、お話を聞かせいただけませんでしょうか。」

 黒川は、事前連絡無しの桜井家の訪問に失礼が無いように、いつも以上に丁寧な挨拶をした。


 「匿名の電話…。

 そしてあなたは警察の方なのですね?」

 インターホン越しに女性の声が聞こえて来た。


 すると、近くに居たのであろうか?その声を遮るように、急に男性の声が聞こえて来た。


「清子さん、代わりなさい。

この男には、私から答えるから。


警察が父の容態について何を調べていると言うのですか?


特にこちらからお話をするような事はありませんが…。」



(父と言った…。どうやら、今インターホンに出ている相手は、剛社長のようだ。

そして最初の女性の声が、お手伝いの女性。


なぜこんな日中の、出社しているであろう時刻に、剛社長は自宅にいるんだ?


しかしこの反応は少々まずいぞ。このままでは剛社長にインターホンを切られるかもしれない…。)



「そこを何とか…。会長の詳しいお話を聞かせて下さい。


 もしもこのまま私が手ぶらで戻りますと、事実確認の為に次回はもっと大人数で訪ねて本格的に話をお伺いしたり、調べたりしなければいけなくなるかもしれませんが、それでも宜しいのでしょうか…。」

黒川は少々仰々しく話したのだが、どうやらこれが剛社長には効いたようだった。



「…分かりました。

ではご期待に添えるような話かは分かりませんが、少し話をする事に致しましょう。


今門を開けますので、中にお入り下さい。」

剛社長がそう答えると、インターホンが切れて、屋敷への門のロックが解除された音が聞こえてきた。

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