第12話:ドワーフ族
帝国暦1121年・神暦1021年・王国暦121年2月20日・ロディー視点
ロディー15歳
創造神はよほど俺の作る料理と酒に執心しているのだろう。
料理人スキルを魔力でも使える付属スキルに分類しやがった。
それが私利私欲である事は、御供えしてから分類が変わったので明らかだ。
しかも魔力生産と魔力増幅までスキル化されていた。
レベル1にもかかわらず、時間当たりの魔力生産力が倍増している。
太陽に浴びながら魔力を経絡経穴に従って循環させるだけで倍増する。
俺は何時から光合成ができる樹人になったのかと文句を言いたい。
ほんの少し心の片隅で思うだけで、実際に口にしたりはしない。
それだけ俺の作る料理や酒を美味しく思ってくれているという事だからだ。
だが、同時に面倒だと思う所もある。
もらったスキルの分だけ御供えをしなければいけないからだ。
ドワーフからの酒造り要求を避けたと思ったのに、結局は創造神の為に酒に加えて料理まで作らなければいけない事になったのだ。
だが、まあ、俺も美味しいモノを食べたい気持ちはある。
だから魔力を使って強引に陸稲を作って新米でご飯を炊いた。
「美味しいです、こんな美味しい物は初めてです!
わたくしにも手伝えることはないですか?
騎士様には助けていただいた御恩があるのに、何も返せていません」
西ロマンティア帝国皇帝家の末裔であろうアルフィンがそう言ってくれるが、何を手伝ってもらえるかもわからない。
「気持ちはうれしいが、今やっている事は全部魔力で強引にやっているのだ。
他の人に助けてもらう事はできない。
だから、俺の代わりに馬たちの世話を頼みたい」
「分かりました、アールヴァクたちの世話は任せてください」
アルフィンは喜び勇んで愛馬たちの世話をしてくれる。
愛馬たちの世話をしなくていいだけで、時間的にかなり楽になる
「これを造ったら、あの強烈な酒精の酒を飲ませてくれるのだな?!」
俺の注文通りに大型の蒸留器を造っているジェイミーが、何度も確認してくるが、俺の答えは何時も同じだ。
「自分で酒の材料となる作物を集めて来て、醸造から蒸留までやるのなら、創造神の分と俺の分を除いた三分の一は飲んでいい。
この蒸留器は勝負に勝った俺の物なのだから、使うのなら使用料をもらう」
「使用料をとられるのはしかたがないが、三分の二は取り過ぎだ」
「一生の忠誠を使った家臣や領民なら命さえも捧げて当然だろう。
この国の税は十分の九だぞ。
三分の一ももらえるのは破格の待遇だと喜んで当然なのだぞ。
わかっているのか、家臣ジェイミー」
「材料になる食物を買って来る金はどうなるのだ?!」
「買い金がもったいないというのなら、農地を開拓して自分で作ればいい。
十分の九の税を納めている農民は、1から自分で作物を作っているぞ」
「だが、それでは酒になるまで1年も2年もかかってしまうじゃないか!」
「開拓から酒が完成するまでの時間が待てないのなら、狩りで手に入れた獲物を売ったり、造った剣や槍を売ったりして材料を手に入れればいい。
そうすれば、少なくとも材料を育てる時間は短縮できる」
「材料を買ってそろえたとしても、醸造して酒にするまでに時間がかかってしまう。
騎士殿が魔力で醸造してくれれば、直ぐに完成する。
私が材料を集めてきたら、醸造してくれるか?」
「醸造するのに使った魔力と時間は何で返してくれるのだ?
この地を護る領主の魔力を酒造りのために使わしておいて、その対価をどう保証してくれるというのだ、家臣ジェイミー。
その間に人間や魔獣がこの地に攻め込んで来たら、どう責任をとる!?」
「私が戦う、この戦斧にかけて、エンシェントドワーフの力でこの地を護る」
「言葉だけでは信用できないし、信用してはいけないのが領主だ。
ガタガタと口だけでさえずる前に、信用されるだけの事をやってみせろ。
交渉する以前の問題だぞ!」
「分かった、騎士殿に信用してもらうための実績を作ろう。
酒造りの原材料を集める事と、使ってもらう魔力と時間の代価を払う事。
何よりこの地を護れる戦力を確保する事だな」
ジェイミーはそう言うと完成させた大型蒸留器を残して城を出て行った。
俺は城壁が完成した里を自分の居城としたのだ。
身分を隠しているアルフィンは黙って俺の決定に従った。
領民となった方が安全に暮らせると判断したのだろう。
ジェイミーが出て行ってから、俺は自重を止めて作物を大量に作り続けた。
創造神がくれた魔力生産と魔力増幅を料理と酒造に使わなければいけない。
酒の原料となる大麦、小麦、陸稲、砂糖黍、砂糖大根などを大量に作った。
そのまま直ぐに食べられるイチゴ、バナナ、ベリーなども大量を作った。
直ぐに食べられる作物を常時食べながら、農作業に従事した。
耕起から種蒔き、農薬や肥料の散布、水撒きから収穫まで魔力まかせだ。
当然莫大な魔力が必要になる。
その魔力を補填するには、魔力を経絡経穴に流すだけでは足らないのだ。
だが、大量に食べて経絡経穴に魔力を流していると、魔力生産レベルも魔力増幅レベルも信じられないくらい早く上がっていった。
しかもレベルが1つ上がるたびに、倍々ゲームで食事当たりの魔力生産力も時間当たりの魔力増幅力も上がっていった。
5日過ぎる頃には、収穫に使うための魔力よりも生産増幅させる魔力の方が多くなっていたので、多少は蓄えに回したが、増えた分も農業と酒造に使った。
もちろん酒造りに必要な大甕作りも行った。
当然だが大甕を作るための登り窯も造った。
だが食物を作って醸造する量に比べて大甕の製作が間に合わない。
西洋式の樽を作る技術はあるが、枠になる鉄がない。
だから日本式の鉄を使わない樽と桶をを作る事にした。
清酒を醸造する桶は20石(3600リットル)の容量だ。
完成した清酒を入れておく樽には1升(1・8リットル)1斗(18リットル)2斗(36リットル)4斗(72リットル)がある。
だが樽には鉄枠の代わりに竹で作った竹の輪は必要だ。
だから木々を伐採してできた城外広場の一角に竹林を作った。
「騎士殿、領地を護る戦力を連れてきたぞ。
しかもこいつらは戦闘力だけでなく建築や鍛冶、酒造りも得意だ。
ただ忠誠を誓わせるには美味い酒が必要だ。
こいつらが納得するまで試飲させてやってくれ」
ジェイミーが出て行ってから10日が経っていた。
もう戻ってこないだろうと安心していたのに、困ったモノだ。
俺の生産力が、創造神の像が求める料理と酒の量を超えるようになっていたので、片手間で料理や酒造ができるようになっていた。
今更多くのドワーフがやって来ても正直なところ邪魔でしかない。
不味い酒を飲ませて追い払う方法もあるが、そんな事をしても、俺の作った酒の味を知っているジェイミーは納得しないだろう。
ここは酒造りの方法だけを教えて、勝手に作ってもらった方がいいだろう。
「そうか、だったらまずは清酒を飲んでもらおうか」
「何故だ、私の時はイチゴから造ったエルドビアという奴から飲ませてくれたぞ?」
「あれはとても甘い酒だから、食前酒として飲むのがあっている。
今回は料理のない試飲だから、直ぐに清酒から飲んでもらう」
「いや、料理も作ってくれ、騎士殿。
私はみんなにあの美味しい料理も自慢しているのだ」
「ジェイミーが誰に何を自慢していようが俺の知った事ではない。
だいたい、俺に100人以上の料理をさせようというのが図々しい。
何よりここに100人以上のドワーフを満足させる食材などない。
どうしてもあの時のような料理を作れというのなら、食材と助手はもちろん、料理代も支払ってもらうぞ!」
「そう言うと思って大森林で魔獣を狩ってきている。
酒造りに必要な大森林の果物も大量に確保してきた。
両方とも人の地に育つ獣や果物に比べれば飛び切り美味いぞ。
それを提供するから料理を作ってくれないか」
……美味しい物を食べたい気持ちは人一倍ある。
農業に専念していたから肉がなくなっていたのだ
それに、人里では絶対に獲れない魔獣肉はどうしても食べてみたい!
「とても美味しい食材があるというのなら、俺に異存はない」
『ロディー』
種族:ホモサピエンス
神与スキル:農民 ・レベル626
:自作農民・レベル336
:開拓農民・レベル342
付属スキル:耕種農業レベル626
耕作 レベル626
種蒔き レベル541
品種改良レベル541
農薬生産レベル541
農薬散布レベル541
選定 レベル541
収穫 レベル541
剣鉈術 レベル572
戦斧術 レベル572
:工芸農業レベル212
木工 レベル212
紡績 レベル212
織物 レベル212
:開拓 レベル342
伐採 レベル342
建築 レベル342
石工 レベル 21
魔力生産レベル 76
魔力増幅レベル 76
:自作 レベル336
燻製 レベル 68
酒造 レベル336
発酵 レベル336
陶芸 レベル225
料理 レベル 93
一般スキル:戦闘術レベル9
剣術 レベル9
槍術 レベル9
戦斧術レベル9
弓術 レベル9
石弓術レベル9
拳術 レベル9
脚術 レベル9
柔術 レベル9
戦術 レベル9
馬術 レベル9
調教術レベル9
:魔術
:生産術レベル9
木工 レベル342
絵画 レベル9
習字 レベル9
算術 レベル9
料理 レベル 93
刺繍 レベル9
裁縫 レベル9
大工 レベル342
石工 レベル 21
「基本能力」
HP: 32855
魔力:1794329
命力:1386537
筋力: 29256
体力: 28874
知性: 21428
精神: 18992
速力: 13040
器用: 13040
運 : 13053
魅力: 13040
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