第6話 出会い系はじめました_美容師_1

出会い系って

正直期待はなかった

メールや電話で話すだけの相手が欲しい


それはたてまえ


物足りなさを埋めるように

彼を会うことを決めた


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彼の名前は涼介りょうすけ

職業 美容師


就職して半年

現在 アシスタント


電話で話した印象はお兄ちゃん

月曜日が休みの彼に合わせて会う約束をした




初デートはドライブ

海岸沿いを走って港で時間を過ごす


間を埋めようと必死な私の話を

静かに聞いてくれた


自分のこと

初めて会った人に話すことなんて


今まであったかな


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仕事を初めて1年

始業の1時間前に出社して 


できる社員を演じる日々


先輩も上司もいい人ばかり

仕事も楽しい

けど

同期にも家族にも友達にも

本音を言えない自分がいる



高校の友達もほとんど学生

時間も感覚も少しずつずれてきた

楽しそうな様子に羨ましい気持ちと

勝ち誇った気持ちが織り混ざっている


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話しながら涙が出た

数年ぶりに流した涙だった


その涙を拭うようにキスが落ちてきた



頭をトントンと撫でてくれる涼くん


「大丈夫?」と聞かれて

本心ではないけれど

「大丈夫」と答える強がりな私がいた



背伸びをしすぎた私を受け止めてくれる

静かに話を聞いてくれる



付き合うという言葉が必要ではなかった

彼氏、彼女の関係もいらなかった

ただ、一緒にいて心地よい存在になった



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