第7話

「ふぅ~今日も疲れた~」

湊の隣に、雪乃が引っ越してきて数週間が立った。湊は、数日前に、ゲームセンターで、あった事を湊のコミュ力のせいなのか、中々言い出せずにいた。

(やっぱり気になるなあ…)

ピンポーンと甲高いインターホンの音がした。

「はーい」

「もうこんな時間だったのか。今から行くね」

「時間になっても来なかったから来ちゃった」



「それじゃあ今日もよろしくね?月城君!」

「よし!今日作るのは~?」

「今日作るのは~?」

「だし巻き卵です!」

初めて、料理を作った時からどれほど上手になっているのか、湊は、少し確認してみたかったのだ。

「も、もしや…」

「そう!浅倉さんが隣に引っ越してきた時から、どれほど成長しているのか、審査をしに来ました…」

「そっか~結構、私たちが出会ってからそんなに、時間がたってるんだ」

「あの時はびっくりしたよ。完全無欠な“浅倉雪乃”から、料理ができない子供な“浅倉雪乃”に、なってたんだもん」

「そこまで言わなくてもさぁ…」

「ごめんごめん」


「そ、そーいえばさ私、食材とかのお金払ってないよね…」

「え?…あ。」

(最近、地味に食費が高いなーと思ってたらそういうことだったのか!?)

「本当にごめん!何円くらい払えばいい?」

雪乃が自分の財布を取り出してこちらに近づいてきた。

そして、なんということでしょう。札束が手元にわいてきました。

「絵面がヤバい。さすがにこんなには、いらないよ?」

「じゃあ、どれぐらい用意すれば…」

「それじゃあ、今度からは食材を買うときに割り勘にしよ」

「いいの?ありがとう」

「それでも、いつも作ってくれるからなんかお礼をしないと…」

湊と雪乃は、親しい中になっていった。雪乃は、湊のおかげで一人暮らしを続けられるし、湊は、雪乃といることで毎日が充実している。湊にとって、winwinの関係なのだが、雪乃はそうと思っていないらしい。

「それじゃあ、買い物しない?近くのショッピングセンターで」

(それってデートじゃ…)

「俺といて大丈夫なの?浅倉さんの価値が下がりそうなのと、ばれた時の男子からの目線がきつそうなんだけど…」


「それじゃあ、髪型とか変えれば、ばれないんじゃない?」

「それくらいで変わるかな?」

「私が通ってる美容師さんに任せれば、大丈夫だよ!」

「ほら!この人!」と見せてきたのは、凄くイケメンでおしゃれな人だった。


「確かにこの人なら大丈夫かもしれない…」

「じゃあ、きまり!」

「いつにする?」

「今週の土曜日はどう?」

「分かった。多分予定ないから大丈夫だよ」

デー…いや、買い物に行く予定が決まった二人は、初めて会った日のことや、生徒会のことなど、たくさん話をした。

いつの間にか、話が止まらなくなってしまい、空は暗くなっていた。

「なんか、料理作る気失せちゃったね」

「だね、はなし疲れちゃった」

「あ、カップラーメンでも食べる?」

「食べる!たまにはこういう日もいいね」

「そうだね!」


だし巻き卵を作る日は、まだ、遠くなりそうだ。

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