第2話
「はあ…」
自室に入った後、湊は安堵のため息を漏らす。あまりにも予想外な相手と、予想外な展開にあの数分で、一日分の体力をつかってしまったように疲れ果てていた。
(っていうかいきなり部屋に入っちゃって大丈夫なの…?)
うぅと、唸るがそこでまたあることに気づく…
(服どうしよう…!)
待ち合わせまではまだ、30分もある。だが、逆に考えると30分かけて選べるようなファッションを考えなければいけない。
こういう時は親に聞くのが無難だ。と、思い聞いてみる。
『母さん、今から遊びに行くんだけど、何かいい感じの服の合わせ方とかある?あ、あんまりお洒落って感じを出しすぎないようにできると嬉しいんだけど』
『あら~湊がファッションを気にするなんて、彼女かしら?』
『俺に彼女ができるとでも思うか?』
『母さんがバカだったわ。湊に彼女ができるわけないわよね』
『そこまで言われると傷つくぞ』
『ごめんごめん。でも、素材は悪くないんだけどね~?鼻筋は通ってるし、目もパッチリしてるし。あ、でも、その長い前髪がね…そのせいで、印象が暗くなってる気がするわよ』
『余計なお世話だ。それより早く選んでくれ、時間が無い。』
『そうだったわねそれじゃあ────』
そして選ばれた服は、遊びに行くといったからか、少しお洒落をしすぎかもしれないが、まあこれなら大丈夫だろうといった感じだった。
さすが母親といったところで、家にある服で選んでくれた。
(そろそろ30分立つし出るか)
ガチャという音とともに湊は外に出る。
それじゃあ「浅倉さんの部屋に行くか」と湊が、思っていたら、同じタイミングで雪乃が出てきた。
ジーンズに少し大きめのオリーブ色のパーカーに着がえていた。そんな、シンプルな服装だが、やはりその美貌のおかげか、ものすごく似合っている。外に出ればモデルに間違われてもおかしくはないだろう。
「あ、浅倉さん」
「ナイスタイミングだね。月城君!」
「そ、それじゃあどーぞ」
少し緊張しながら、雪乃が部屋に案内する。雪乃の部屋は、予想よりも女の子!という感じの部屋となっており、クマのぬいぐるみなど可愛いものがたくさん置いてあった。
「それで、今回作るのは~?」
「作るのは?」
「……」
「……?」
「ごめんなさい。何も決めていません」
「何も決めてないんかーい」
「でも、それならちょうどいい、腕試しにだし巻き卵を作ろう」
「おお!だし巻き卵なら、いつもお母さんが作ってるのを見ていました隊長!」
なぜか少しテンションの高い雪乃だが、湊も雪乃の腕はどれくらいなのか気になっていたので、少しテンションが高くなっている。
「いつもそんなノリなの」
「いつもは違うけど…」
雪乃は少し、しゅんとする。
「よーし!それじゃあ、作っていくぞ~」
少し不安になりながらも、湊は、雪乃と料理をしているという事実に密かに胸を高鳴らせていた。
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