転生陰陽師の百機鵺光
小狗丸
一話
この世界に「それ」が現れたのは、今から三百年以上昔のことであった。
からくり仕掛けの巨人と共にこの世界へやって来た巨人の操縦士は、全員が元いた世界で何らかの問題を抱えていたり大きな戦いに参加していた。そして操縦士が異世界からやって来る度に、彼らが持ち込んできた問題や戦いによってこの世界は大きな被害を受けることになる。
人々の多くは異世界からやって来るからくり仕掛けの巨人とその操縦士を恐れるようになり、様々な異世界から彼らがやって来るこの出来事をいつしかこう呼ぶようになった。
異世界より「百」人の兵士に勝る「
即ち「
※ ※ ※
ピィー。 ピィー。 ピィィー……。
「? 何だ、この音?」
森の中を一人で歩いていたら松永ライゴウは、突然聞こえてきた音に足を止めて周囲を見回した。
ピィー。 ピィー。 ピィィー……。
「鵺の鳴き声? それにしてはちょっと違うような……まさかっ!?」
以前聞いたことがある鳥の鳴き声かと思ったが、どこか違うような気がすると首を傾げたライゴウは、一つの可能性に思い至ると音が聞こえる方へと急いで走り出した。そして彼が鳥の鳴き声のような異音が聞こえてくる度に立ち止まり、少しでも音が良く聞こえてくる方へと向かっていると、突然森の木々の向こうから眩い光が生じる。
「くっ!? 鵺の鳴き声の後に強い光……これがもしかしてそうなのか?」
突然生じた強い光から目を腕でかばいながら一人呟くライゴウは、期待と興奮で自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じていた。
光がおさまった後、ライゴウが慎重に木々の向こう側の様子を伺うと、そこには十人くらいの男女の姿があった。十人のうち五人はまだ十代の男女で、全員がこの辺りでは見慣れない服を着ている。
そして十人の男女の近くには、十間(約十八メートル)近くある鋼鉄の巨人が二体、地面に両膝を着けた体勢のまま沈黙しており、ライゴウは鋼鉄の巨人の姿を見て思わず呟いた。
「あれがからくり仕掛けの鋼鉄の巨人……いいや、あれはロボット。やっぱりロボットだ」
木々の陰に隠れながら鋼鉄の巨人、ロボットを見るライゴウは堪えきれず歓喜の声を上げる。
「はは……! まさか異世界のロボットを実際に見られる日が来るだなんて。百機鵺光を待ち続けたかいがあったよ。本当に『この世界』は最高だ」
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