この続きを書いて下さい!!【エイルの挑戦状2】(3145文字)ジャンル 異世界ファンタジー……多分
勇者に勝てるのか?
異世界に転移して、魔族を助けたら魔王になった。
魔王とは魔族と呼ばれる人々から選挙で選ばれた、リーダーの呼称だ。
なぜ選ばれたのか?それはジェノサイド、つまり迫害を受けており、希望として選ばれたのだ。
魔族を迫害し、絶滅へ追い込む存在は人間である。そして最大の脅威は
支えて共に戦ってくれていた魔族の戦士達は勇者の情報と引き換えに皆殺しにされた。
もし負ければ魔族にもう戦える者はいないので女も子供も皆殺しにされるだろう。
魔族を守るために、希望を託して死んでいった者達のために、負けられない戦いが始まる。
だってチート勇者がやる気満々で目の前にいるのだから。
勇者の情報を今一度思い出そう。
職業 勇者 人間
状態 魔族を絶滅させる祝福
HP 10/10
MP 0/0
STR 9999京9999兆9999億9999万9999
VIT 1
AGI 9999兆9999億9999万9999
DEX 1
INT 1
スキル
脳筋勇者め、頭悪すぎて交渉すら出来ないじゃん!!それに主人公補正とそのオーバーキルな力は卑怯だぞ!!こうなればこちらも奥の手だ。助けて!!
魔族の神様に願った、勇者と同じ世界の人間を転移させてください、と。
勇者も自分と同じ転移者だと考えているからだ。そうでなければ、京などというふざけた単位が付くはずがない。
転移者特典だ。
魔王も転移者特典で他の魔族より数値は高いが、せいぜい倍、勇者には無いLUKがある、それくらいだ。
願いがかなったのだろう、勇者と同じ年頃の女性が現れた。
あれ? この女性、勇者と何となく似……。
「姉ちゃん⁉」
勇者の焦った声が聞こえる。
だが、勇者の声をかき消すようなお姉さんの大きな声が響き渡る。
「何やってるの、あんたは! 急にいなくなって! お母さん、心配しすぎて倒れたのよ!!」
勇者のやる気がしぼんでいくのが分かった。
休戦というか、戦いがうやむやになってしまったので、説明のためにお姉さんを魔族の陣営に案内する。
が、なんで勇者もついてきてるの? 敵側でしょアナタ、ついてくるなよ。
言いたいことは多々あるが、うかつなこと言うと潰されそうなので黙っておく。
お姉さんがいれば魔族への攻撃は無さそうだし。いつまでもつかは分からんけど。
半壊した陣営の中の一番まともな部屋へ案内し、お姉さんへ説明をするが、黙ったまま聞いているお姉さんの表情が怖い。
お姉さんは勇者を転移させた人間の神様に怒っていた。すごく怒っていた。
恐る恐るお姉さんのステータスを聞くと、数値は人間の倍で、残念なことにチートではない。でも、INT1じゃないので、よしとする。
スキルは微妙。
スキル
姉の命令 効果 弟のみ有効。どんな無理難題でも従わせることができるが、弟
が泣いていやがったら無効となる。
お姉さんが一番物知りな魔族に会いたいと言ったので、フクロウ侯爵夫人に会いに行く。
会いに行くんだけど、なんで勇者もついてきてるの?以下略。
お姉さんとフクロウ侯爵夫人の会話を聞いていると、血の気が引いてくる。
それって、運を天に任せすぎじゃないの。
夫人も笑ってないで止めてくださいよ。
夫人の転送魔法である場所に着く。学生時代に歴史の授業の一環で来たことがあったらしい。なんで勇者もついてきてるの?以下略。
ここには歴史上一番の天才大魔導士と言われた魔族の男が封印されている。
封印されて千年もたつのに、綻びがない。
大罪人が二度と世界に出てこられないように強く封印されている。
天才大魔導士がなぜ大罪人となったのか―――天才だったからとしか言いようがない。
歴史書は伝える。
この男の生まれは平民だったが、貴族にしか使えないと言われていた魔導を使えた。
それを見出され、領主であった伯爵の養子となった。
男は伯爵に感謝し、勉学に励んだ。
複数の優秀な魔導士の家庭教師、伯爵家の数多くの魔導書から知識を得る。知識だけではなく高い技術も。
貴族が通う王立学院に入学するころには、学院の教師よりも優秀になっていた。
特別に魔導の授業だけは、王立魔導院という優秀な魔導士たちが働く施設で受けることとなった。
そこで働く魔導士や、図書室の膨大な魔導書から知識を得て、技術を磨いた。
最終学年になるころには男に教えることはもうないとまで言われた。
しかし、まだまだ学びたかった男は魔導院に保管されていた禁書に手を出した。
その禁書を理解し実践したために、大罪人となり天才大魔導士は封印されたのだ。
で、今、その封印された場所にいるけど、どうするの。よく分からないな。現実逃避ジャナイヨ。
お姉さんの合図で勇者が封印に攻撃する。
「ぎゃー止めて、大魔導士を起こさないで―」
抗議むなしく一回で封印が壊れる。
あー、封印って物理で壊れるのかー。思わず遠い目になったが、大魔導士が出てきたので、目を見開く。
やせぎすで、顔色が悪いし、目の下にクマがある。天才大魔導士にも大罪人にも見えない。
魔王の城へ行き、大魔導士を療養させる。
療養中の話し相手になった。
大魔導士が話し出す。
「オレは農家の四男だった。五人兄弟の四番目。裕福ではなかったが、仲が良かった。でも、オレが魔導を使ったあの日、すべてが変わった。ケガを直したことが広まって、家族と引き離された。でも、家族の役に立てるように懸命に勉強した。寝食を忘れて勉強したよ。学校を卒業する年の初めには先生に驚かれたよ。よくがんばった、もう教えることはないってね。嬉しくって休みの日に初めて家に帰ったんだ。十年ぶり? それ以上か? でも家にはオレの家族はいなかった。引っ越してもいないし、死んでもいないよ。オレを家族としてではなく、貴族として有名な大魔導士として接する人たちしかいなかった。
ショックだったよ。今までしてきたことの意味は? 家族のためだったのに、家族がいなくなったんだ。神様を恨んだよ。恨んだから禁書に手を出したんだ」
禁書、それは神殺しの書
千年以上前の世界には、人間の神様、魔族の神様、中立の神様、合わせて五十五柱の神様がいたが、神々を殺し始めた大魔導士を封印したころには神々は三分の一以下に減っていた。無傷な神はいなかった。今にも消えそうな神が大半だった。
神々は融合して、人間の神様、魔族の神様の二柱だけになってしまったとフクロウ侯爵夫人が教えてくれた。
お姉さんのやろうとしていることは許されるのか、魔族を守る魔王として一人で悩んでいる間に、お姉さんは大魔導士と話をつけてしまいましたよ。
神殺しの話をね。
大魔導士 対 人間の神様
一対一なら大魔導士の勝ちでしょ。
確かに神がいなくなれば、スキル
勇者が魔族殲滅を諦めれば、チートな力が魔族に向かなければ、勇者の脅威はなくなる。
神が死んでも勇者が殲滅を諦めなければ、自分が相手をしようと、大魔導士は楽しそうだ。
勇者以外の人間が相手なら魔族の女性でも作戦次第で勝てる。
魔族の未来は明るい。
でも、神殺しには抵抗がある。
平和的に戦いが終わるようにしたい。
何とか説得して、神様を含めた数人で話し合いの場を設けることになった。
人間の神様、魔族の神様、お姉さん、大魔導士、勇者、魔王。
フクロウ侯爵夫人はアドバイザーとして参加する予定だ。
参加メンバーが偏ったのは許してほしい。
人間の代表者を参加させて余計なこと言い出したら、大魔導士がサクッと殺しそうだからさ。
明日の話し合いで未来が決まる。
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