第41話 SNSはSF
学校が夏休みとなってしばらくの間、
学校の知り合いとは基本はSNS上でのやり取りになるからだ。
2人とも昼の暑さから逃れるためにエアコンが効いたリビングに寝っ転がりながら複数のSNSを器用に使い分けてコミュニケーションをとっている。
「おお、兄貴に竜也か」
今日は仕事が休みである
「兄貴も竜也もSNSやるのは良いけど、スマホ画面の向こう側には「生身の人間がいる」事を忘れるんじゃないぞ。
特に気に入らないやつがいるときはムキにならずに無視することも覚えろよ。それが出来ずにもめ事を常に起こし続ける連中も多いからな」
「ふーん、無視ね。小学生や中学生のころは「誰であろうと無視してはいけません」って先生から言われてたんだけどなぁ」
竜一は弟からの忠告にそう答える。30年前、SNSがここまで普及する前は「意図的に無視しろ」とは教わっていなかったのだ。
「SNSならそれこそ1万人以上の人間と簡単にアクセスできるけど、
それだけの数となると「お互い日本語で話しているにも関わらず言葉の意味が通じない」頭がおかしい奴とどうしても出会ってしまうものだ。
そういう奴とは関われば関わる程お互い
竜二はそう続ける。
SNSが普及して物によっては既に15年以上たつ。
最初はパソコンでアクセスしていたのだが、スマホの爆発的普及で今では誰もが手軽に情報発信や交流ができるツールをポケットサイズで持ち運べるようになった。
それだけ手軽にSNSが出来るようになると、どうしても「狂人」とぶち当たる確率は増える。それを円滑にこなすには「無視」のスキルがどうしても必要なのだ。
「それにしてもSNSってスゲェよなー。こうして顔も名前も知らない人とコミュニケーションが取れるなんて。
昔は雑誌の読者交流コーナーで手紙を送ってくれるように住所を載せてたんだけど、それをしなくてもスマホでパパっとメッセージを送れるんだぜ?
しかも一見すると凄そうに見えないところもスゲェよなー。特に竜也は物心ついた時にはSNSが既にあったんだろ? だったらなおさらスゲェと思わないじゃないか」
竜一の言う通り、竜也にとってのSNSは物心がついた時には既に当たり前のように存在しているものだった。
そのためか特に「スゲェ」とは思わず「朝になったら太陽が東から昇って来る」ような感覚でごく普通の日常の風景にしかならなかった。
「だからこそ気を付けなくちゃいけないんだ。今ではプロ野球チームのベンチに入り込んで監督やコーチの采配にいくらでも直接文句を言える時代だからな。
それも1人2人じゃなくて、何万人、何十万人が一斉に言えるんだ。やられた方はたまったもんじゃないからその中の1人にならないように十分気を付けるんだな」
「オヤジったらスマホ持たせてくれてからはずっと同じ話を繰り返し言ってるよねー。
「それだけ重要な話だから聞いてほしくいて言ってるんだ」
竜也は父親の方を一切向かずにスマホを見ながら彼の言う事を軽く流している。親身になって聞いている様子は「これっぽちも」ない。
「まぁ2人ともその辺は大丈夫そうだから良いけど、何かあったら遠慮せずに俺や
そう言って竜二もスマホを片手にMamazonプライムを見だした。親兄弟3人、似た者同士だ。
【次回予告】
かつて竜一が生きていた時代ではプロのスポーツ選手はプロ野球選手ぐらいしかいなかった。
それが令和の時代ではサッカー、ラグビー、バスケと数々のプロスポーツ選手が誕生しているらしい。
第42話 「令和はスポーツが盛んだなー」
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