第33話 AIが既に社会に溶け込んでる!?
「ふぅ。どいつもこいつもAIによる自動化、か」
仕事を終えて、
「お仕事終わりかー。こんな時間までお疲れ様」
「おお、兄貴か」
「俺たちが先に夕食食っちまってすまなかったな。夕食置いとくぜ」
そう言って竜一は竜二の分のうどんと天ぷらを渡した。
「ちょっと立ち聞きしたけどAIがどうのこうのとか言ってたよな。
昔はRPGにAIが搭載されて自動でコマンドを選んでくれてたんだよなぁ。まぁ結局は自力で操作した方が的確な動きが出来たから使わなかったんだけどね。
令和の時代のAIってどうなんだ? スゲェのか?」
「スゲェのかどうかは分からないけど、30年前と比べてAIはずいぶんと進歩してて、もう簡単な窓口での業務対応はAIが人間の代わりにやってるよ。
行政の窓口にもAIによる対応や自動翻訳機能が使われているっていうし、駅でも接客に『AIさくら』っていう人工知能が一部で使われてるって聞いてるけど」
「な、何ぃ!? AIによる接客や自動翻訳機能だとぉ!? 2023年はもうそこまで行ってるのか!?」
思ってたのよりは数段も進歩しているAIに竜一は大いに驚く。まさか窓口での受付対応や自動翻訳機能が搭載されているとは思ってもみなかった。
「あ、ああ。他にもAIで倉庫作業の自動化とか、道路の点検業務の効率化とかいろいろやってるそうだよ。
あと採用人事にも使われたりしているよ。俺が務めてる会社でも今年中に導入予定だそうだ。他には……そうだ、白黒写真の着色にもAIが使われているって聞いたことはあるな」
「ス、スゲェ! AIがそこまで活躍しているのか!? あ、でもAIに依存しすぎるのも問題だぜ? AIに頼りきりだと反乱起こされたときに取り返しのつかないことになるぞ!?」
重度のSFマニアである竜一にとって、AIとは「人類に必ず歯向かうもの」とすっかり条件反射で反応するようになっていて、AIに対して1人で警戒していた。
「兄貴、現実と
割と本気で人類の危機を感じていた竜一だったが、弟はしょせんは夢物語だとタカをくくっていた。
「オヤジ、
そこに様子を見に来た
「ああ、竜也か。兄貴とAIについてちょっと話してたところさ」
「ふーん。AIねぇ。AIって言えば将棋や囲碁みたいなテーブルゲームのプロを負かしたってのは聞いているけど」
「な、何ぃ!? プロがAIに負けただと!? そこまで進歩しているのか!?」
「うん。
「ええ!? もう人間によるプログラミングなしでAIが独自の方法で学習して人間に勝てるようになっているのか!? スゲェ! もう完全にAIが人類の手から離れているじゃん!
っていうかそろそろAIを規制しないと反乱起こされてえらいことになるぞ!?」
竜一はしつこい位「AIに反乱を起こされる」のを
「兄貴、今のところはAIに反乱起こされても即座に命取りってわけじゃあないぞ?」
「そうだよ伯父さん。まだまだ人間の手でしか出来ない事なんて山ほどあるんだし」
「おいおい! 2人ともそんなにもAIに頼りきりだと反逆されたときに取り返しのつかないことになるぞ!
AIの反乱だぞ!? AIが人類に反乱を起こすなんてSFじゃ定番中の定番じゃないか! 何をそんなのん気に構えていられるんだ!? 平和ボケしてんのか!?
聞いた話じゃ2045年にシンギュラリティが起きるそうだし、AIが保守を怠ると「野生化」するそうだぞ!?
これだって人類への反乱のきっかけになるかもしれないんだぞ!?」
AIとは必ず人類に反逆を起こすもの。というSFしぐさがすっかり骨身に染み付いた竜一は、2045年にはシンギュラリティ……
さらには業務で使われているAIは保守を怠ると「どういう原理で動いているのか誰にも分からない」という「野生化」することもある、とあってやたらと警戒していた。SFに関しては一般人よりかは詳しい程度の竜二や竜也は「どうせフィクションの話だからそんな大ごとにはならないだろ」とタカをくくっていたのだが。
「兄貴、お前SFの見過ぎだぞ? SFなんてそれこそ「サイエンス・フィクション」でウソの話なんだから現実とごっちゃにするんじゃないよ」
「オヤジの言うとおりだよ伯父さん。そんなに焦らなくても偉い人が何とかするから大丈夫だって」
「うー……納得いかん! AIは必ず人類に反乱するものなんだって! そうだと決まってる! そうじゃないとおかしい!」
竜一は弟と
この後2人は30分ほどかけてSFマニアを何とか説得してその日は終わったという。
【次回予告】
6月の末、竜也は竜一に今度の週末一緒に映画行かないか? と誘う。
30年後の映画館もすごいもので、そのチケットの取り方もSFの世界のような出来事だった。
第34話 「映画はSF」
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