第31話 通販サイトはSF
「えーと、お。呪術大戦の最新刊かー。本屋じゃ売り切れだったんだよなー」
「おーい
竜也が
「
「へー、Mamazonって通販もやってるのか。Mamazonプライムだけじゃないんだなー。通販って要は『通信販売』なんだろ? 昔はマンガ雑誌に広告として載ってたページや分厚いカタログ本の中から探して電話してたなー。
いつ届くのかが分からないから届いた時には注文したのを忘れてた、なんてこともあったよ」
「へー、昔は雑誌に掲載されてたのか。今ではMamazonが世界最大手だからそこしか使ってないよ。というかMamazonは通販が今でも主力なんだけどね」
Mamazon……「
地球規模のネットワークを構築したそのサイトは2023年では「世界の覇者の一角」と言ってもいい圧倒的な権力を持っていた。
「へー、これが30年後の通販の形かー。もうスマホ1つさえあれば雑誌やカタログを見なくてもいいのか」
竜一は竜也が操作するスマホをのぞき込むような姿勢で見ていた。竜也の指は慣れたものでパパッとタップして購入手続きを終わらせた。
「へぇ! 数回タップしただけでもう商品が買えちゃうのか! スゲェな! ところでお金はいつ払うんだ? 確かクレジットカードが必要だとか聞いてたけど」
「別にクレカがなくても代引きができるしコンビニ払いも出来るからそれで払えばいいんだ」
「代引きは分かるけど、コンビニ払いって何だ? コンビニって、あのコンビニ?」
竜一は竜也と意見をすり合わせるようにそう言う。コンビニって、あの24時間営業をしている、あのコンビニの事だよな? と。
「丁度いいや。さっきの商品はコンビニ払いにしたから見せてあげるよ」
そう言って竜也は竜一を連れて自宅近くのコンビニへと向かった。
コンビニにたどり着いた竜也は店内に置かれているチケット発券端末を操作する。しばらくして、レシートのような紙が出てきた。
「何だこりゃ? バーコードが印刷されてるけど」
「これをレジの人に見せて支払いを済ませれば、Mamazonにお金を払ったことになるんだ」
そう言って竜也はマンガ本の代金を店員に払った。
「へぇ! これでもう支払いは済んだって事になるのか! 進んでるなー。
でも到着する日がいつになるか分からなくて不安にならないか? 俺の場合1ヶ月位待たされたこともあったんだよなー」
「伯父さんの時代は不便だったんだなぁ。今ではモノによっては2~3日で着くし、今荷物がどこにあるのかも大体は把握できるよ。
発送主から出荷されたとか今日中に届く予定とかもメールで伝えてくるよ」
「な、何ぃ!? 荷物のある場所が分かるのか!? ス、スゲェ! 通販は30年かけてそこまで進歩しているとはなぁ!」
竜一が抱いていた通信販売のイメージは、どちらかと言えばアンダーグラウンドな雰囲気で怪しげなものだったが、Mamazonの存在が全てを変えてしまったらしい。
「ところでお前が買ったものって何だ? たしかマンガで呪術…何だっけ?」
「呪術大戦。今乗りに乗ってるマンガだよ」
「ふーん。確か週刊少年ジャックに載ってるやつだっけ?
俺は幼稚園児だった頃からSF読んでて、ジャックのマンガはドラゴンキューブぐらいしかはっきりとは覚えてなかったなぁ。
幼稚園児のころからジャックと並行してSFを読んでたけど覚えているのはSFの話ばっかりで、ジャックのマンガは全然覚えてなかったなぁ」
竜一は自分の過去について、偏り過ぎていてあまり参考になる部分は無さそうだが語った。
「伯父さんがSF好きってのは知ってるけど筋金入りだね。幼稚園児の頃からSFファンだったんなんて」
「昔は宇宙スゲェ! って思ってたからそこからスターウォーズを知ってあとはSFの世界に、ってとこかな。
この手のSF愛好者は俺以外にも結構いそうだと思ったんだけどついに会う事は無かったなー。
いてもあくまで「スターウォーズファン」であって「SFファン」じゃなかったな」
「違うの?」
「違う違う。大違いだよ。そもそも……」
この後竜一は竜也にSFファンとスターウォーズファンの違いを語ったが、竜也には今一つ伝わらなかったらしい。
【次回予告】
見逃してしまったTV番組は録画でもしていない限り2度と見ることはできない。再放送がされることもあるが、それはごく一部の限られた事例だ。
そのTVの常識をネット配信が変えてしまったらしい。
第32話 「見逃し配信はSF」
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