断(章)/jack
夜の街を走る、走る、走る。
出来るだけ遠くへ、関係のない場所へ。
自分は何もしていないのだと、全力で逃げる。
全ては上手くいった。後は描いたストーリーの様に、物事が運ぶだろう。
息を切らしつつも、足取りは軽い。
このまま意味もなく走って、どこにでも行けてしまうのでは無いだろうかという全能感を味わいながら、ひた走る。
とうとう街を抜け、都市部から少し離れた林道に入る。
警察にさえ気をつければ深夜のこんな寂れた場所だ、誰もいるはずがない。
いるはずがないのだが。
「こんばんわ。今夜も月が醜いな」
前方から声をかけられる。
まるで逃げている事を先読みされていたかの様に、男女一組が並んでこちらを見ていた。
「・・・こんばんわ」
挨拶を返しつつ、頭をフル回転させる。
何故こんな時間にここに?
何者だ?
ただの通りすがり?
否、寂れた場所というのもあるが、事件で深夜に一般人は出歩かない。
「何故こんなところに人が?って顔してるな。それは簡単な話だ。あんたが斑井幸古とフードの人物が戦い始めた場所から、走り去ったのを見てたからな。簡単に先回りできたよ」
「何の事でしょうか。分かりかねますな」
「惚けるなよ。あんたの描いた、寒いストーリーはもう暴いてるんだ。八つ裂きジャック、いやこう呼んだ方が観念してくれるか?連続殺人鬼、津代中尉」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます