想い人は、1週間だけの宇宙人
ゆりえる
Ⅰ 全ての時間を捧げたいくらいに
鈍行列車並みの自分の走る速度が、分からない授業のようにもどかしい!
セーライなら、一瞬でテレポーテーション出来るのに!
地球の文明は、クレリア星に比べて、700年分も遅れているのだそう。
クレリア星は、天の川銀河の果てに存在している、セーライがやって来た星。
その遅れているという地球人の中でも、目を覆いたくなるくらい体育の成績が悪い私、前島
私が、どれだけ頑張ったら、セーライのように俊敏になれるんだろう?
毎週、水曜日は全ての部活が休みになる。
元々、帰宅部の私には、それは関係無いんだけどね。
部活している友達と、水曜日恒例のゲーム三昧の予定が有ったけど、きっぱり断った。
それだけじゃなく、友達とダラダラおしゃべりしながらノンビリ帰るのも止めて、運動音痴の私が走って直帰しようとしている。
だから、友達は不思議そうに、私の方を見ていた。
「星来、どうしたの?」
一緒に遊ぶ予定だった、二浦
「急ぎの用事が入っているの!」
その返答だけで、友人達は納得した様子。
人目を浴びて恥ずかしい時間は終わった。
後は、一刻も早く家に着けるよう、ペースを落とさないで走る事。
持久走って、苦手だと思っていたけど、目的が有ると、こんなにも頑張れるものなんだって、初めて気付いた。
これからは、体育の持久走の時間に、目的を無理矢理作って、挑戦してみる事にしたら、体育の成績も少しは上がってくれるかも知れない。
だけど、この先ずっと、どんな目的を探そうとしても、今以上の目的は出来ないかも知れない!
それくらい重要なの!
毎週恒例の友達の誘いよりも大事なの!
今の私に有る全てを捧げてもいいくらい、セーライと過ごすのは、何にも代えがたい大切な時間なの!
でも、そう思っているのは、私だけなのかな......?
セーライも、私の十分の一くらいは、そう感じてくれているのかな?
だとしたら、少しは私のこの気持ちも報われるのだけど.....
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