オリジナル ガーデン。

さんまぐ

第1話 サウスガーデン01。

《前書き》

本作はサンドボックス ガーデンの別の可能性の物語になります。

こちらを読まれる前に本編、サンドボックス ガーデンであれば143話「完全解決の決め手。」までを、加筆修正版のガーデンであれば41話「完全解決の筋道と解脱。」までをお読みいただければと思います。

最低限の説明はしておりますが、「サンドボックス ガーデン」「ガーデン」ではキヨロスの旅の経緯が細かく書かれております。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ガーデンの南、サウスガーデンの南の一の村に生まれたキヨロスは15歳を迎え成人の儀でS級アーティファクトの「時のタマゴ」を授かる。

「時のタマゴ」から孵った小鳥のトキタマと出会い、固有能力「時を跳ぶ」を知った時、国王が一の村に兵を送り出し、村中のアーティファクトを求めた。

戦力差は圧倒的で南の一の村は壊滅し、キヨロスの家族や幼馴染みのナックとリーンも無残な死を迎える。

この結末を受け入れられないキヨロスはトキタマの力で時を跳び兵達を退ける。


そして数日後に再び訪れた兵達には何度挑んでも勝ち目の無かったキヨロスは兵を従える[フードの男]の指示で三の村、四の村のトラブルを解決する。

その中で「時のタマゴ」の呪いについて知り、時を跳ぶ代償はキヨロスの魂で自身が人とは違う、死ぬ事も叶わない存在、死んでも成仏が叶わない存在であることを知る。


旅を経て自身も強くなり、仲間も出来たキヨロスだったがサウスの城で待っていた国王は最早人ではなくただアーティファクトを求める化け物、悪魔の姿になっていた。


数度時を跳んで挑んでも勝ち目のない中、「炎の腕輪」を使いこなす格闘家で二の村出身のカムカ、三の村出身で「紫水晶の盾」を授かった絶対防御を誇るフィル。四の村で造られた人形兵士のマリオン。そしてキヨロスを含めたパーティーに不足しているものを見た時、見えたものはキヨロス自身の攻撃力不足だった。

キヨロスの武器は成人の儀の夜に襲撃してきた兵士から奪った「兵士の剣」で、旅で共に育っていたがやはり国王相手では今ひとつ攻撃力が足りない。


それが見えたキヨロスは、長距離の時間跳躍は著しく魂を消費するがそれでも国王に勝つ為に仕方ないと成人の儀に跳んで新たなアーティファクトを授かってみることにした。


再び挑んだ成人の儀でキヨロスはS級アーティファクト「革命の剣」「万能の鎧」「瞬きの靴」を手に入れる事が出来た。

だがこれらは全てキヨロスの魂を糧に発動をするアーティファクトでキヨロスは旅をやり直す中で更に魂を消費してしまう。


そして迎えた国王との再戦。

攻撃力は追いついたが仲間達を危険に追い込んだ事でキヨロスは1人で国王に立ち向かい、辛勝の果てに魂とアーティファクトのバランスを崩し、自身が魔物の姿になってしまった。


意識を失い仲間達を襲うくらいならとカムカに介錯を願ったキヨロス。


カムカの一撃でキヨロスが死んだ瞬間、神の使い達の奇跡で死の一瞬を仲間達の協力でやり直したキヨロスは完全解決以外に助かる道はないと言われる。

そして「時のタマゴ」「革命の剣」「万能の鎧」「瞬きの靴」を使う際の魂の消費を肩代わりしてくれる存在として旅の同行者からキヨロスに想いを寄せるリーン、ジチ、フィル、マリオンが神の使いに選ばれた中、一の村から旅が始まる事でリーンが選ばれた。


生き返り前後不覚のキヨロスはリーンの介助で国王を倒して完全解決の筋道を見つけた。


キヨロスは完全解決の為に再度時を跳んだ。




「お父さんは本当に僕と時を跳ぶのが上手になりましたねー」

僕の肩にとまったトキタマが狙い通りの時間に着地できたことを褒めていて、僕の横でリーンが「本当だね」と言っている。


僕の完全解決は人間を誰も殺さない事。

それは今晩一の村を襲う兵士達すら殺さない事。

国王の持つ「支配の王錫」で自我を奪われている兵士達も助けるべき敵だし、何よりリーン達は僕が殺人を行う事を悲しんでいた。


「じゃあ行こう」

「はいです!」

「うん。行こう!」

僕の号令にトキタマとリーンが返事をする。


「でも…今アーティファクトを使うとリーンの魂まで使うから申し訳ない」

「いいから行くの!早く終わらせて、それで戻った魂になってよ」


「うん。じゃあ最初は高速移動で二の村との間にいるフードの男の所に行こう。「瞬きの靴」【アーティファクト】」

僕が高速移動を使うとあっという間に兵士を連れたフードの男の所に行く。


「おお!王よ!」

「今から王錫を貰いに行くからもう誰も殺すな」


僕は言うだけを言うと次に毒竜の居る山に向かう。

山の麓に着くと「革命の剣」から3本の光の剣を出して毒竜を一瞬で斬り殺すと山を登る。

山小屋ではガミガミ爺さんとフィルさんが僕を待っていた。

僕はすぐに毒竜の角をフィルさんに飲ませて休ませるとその間に毒竜の角を回収してくる。


そんな僕の姿にガミガミ爺さんが「なんだか流れ作業だな」と呆れて、僕も「なんかもう慣れちゃったんだ」と相槌を打つ。


申し訳ないがフィルさんが起きるのが待ちきれなかった僕は眠っているフィルさんを抱きかかえて三の村に帰るとジチさんとカムカが来ていた。


「おう、着いたぜ。でもフィルさん寝てんだな」

「うん。まだ毒竜の角で解毒してすぐだからね」


僕の腕の中で眠るフィルさんを見てカムカが「じゃあ起きるのを待ってから四の村か?」と言うが正直僕にはその気はない。


「…ううん。ジチさんとフィルさんでこのまま三の村で待ってもらうのはダメかな?」

「ダメでしょ!何言ってんのさ危ないって、ペック爺さんの家でフィルは寝かせておくから四の村に行けばいいのよ」


僕の言葉にジチさんが猛反発をする。ジチさんの言葉で方向性の決まった僕はガミガミ爺さんが村の人達に毒竜の死骸の始末を頼み終わるのを待ってから四の村に移動をした。

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