第118話 メイド水着

小ネタ1 怪談~スオウ~


カナタ「夏と言えばホラーだけど、スオウはホラーとか大丈夫?」


スオウ「別に。ワタシはホラーやスプラッターは大丈夫だ。まあ好きとイウわけではなイが。でもワタシはともかく、ブラジルだと呪術みたいなものがわりと有名だな。呪術師なる輩がブラジルには多いんだ」


カナタ「え?なにそれ?まじ?」


スオウ「ブラジルには黒魔術とでもイウべきかな?そウイウオカルト文化が根付イてイる。まあ効くかどうかは知らないが、呪術師に呪われたと知ると人々はそれを恐れるくらイには社会に浸透してイるよ」


カナタ「へぇ。それはなかなか怖い話だね」


スオウ「だが怪異や幽霊やお化けや呪いなどよりも暴力を振るう人間の方がよほど恐ろしい。そして暴力を生業とする麻薬組織やミリシャ共がウじャウじャイるファベーラはもっと恐ろしイ。つまりファベーラのアるブラジルの方がお化けよりよほど怖イ」


カナタ「ちょっと待て!?比較のスケールがおかしい!?」


スオウ「本当に肝試しがしたイならファベーラを散歩してくればイインだ。生きて帰ッてこれれば人生観が変わるからオすすめするよ」


カナタ「そんなガチな肝試しは嫌だ!」





小ネタ2 怪談~ミラン~


ミラン「去年は浪人だったから本当に退屈だったんだ。だけど今年の夏は本当に楽しみだよ!」


カナタ「だな!浪人は本当に退屈だからな。俺も予備校に通うのが本当に苦痛で仕方がなかったのをよく覚えてる」


ミラン「だよね!ホント自習室とか今思い出しても…ぐぅ!がはっ!あばばばばば」


カナタ「思い出してトラウマってる?!どんな経験したのお前?!」


ミラン「あはは…そんな大したことじゃないよ…これはボクの友達の友達の話なんだけど…ある日自習室に来た時、三つの並んだ席が空いていたんだ。ボクはその真ん中に座った…」


カナタ「友達の友達って言ってるくせに一人称がボクってどういうことだよ。ガバガバなホラー調にするんじゃないよ」


ミラン「そしてボクは気配を感じて恐る恐る後ろを振り向いたんだ。するとそこには制服を着た二人の男女が立っていたんだ。そしてその二人はボクのことを挟むように両脇に座ったんだ…」


カナタ「ふんふんそれで?」


ミラン「だけどまだ視線を感じたんだ…二人がボクのことをじっと見ているんだよ!ボクはいたたまれなくて、いったん席から離れたんだ。そして振り返ると…その男女はいちゃつきだしたんだ…」


カナタ「…こわ!それ気持ちわかる!こわ!予備校の自習室でカップルに挟まれるの怖い!」


ミラン「だけど本当の恐怖はまだ終わらないんだ!その二人はなんと現役生でボクと同じ大学に合格したんだ…しかもまだちゃんと付き合ってる…あはは…ボクなんて浪人なのにぃ!きー!」


カナタ「わかるわー現役生で恋人持ちでしかも自分と同じ大学に受かるとか。なんかこう人生の質で負けた感じがするんだよなぁ…」


ミラン「そうそう。だから今年の夏はカナタ君に期待してるからね!あの二人よりも楽しい思いをさせて!ボクを楽しませてね!」


カナタ「くくく。まかせろ。楽しい夏にしてやるさ」




小ネタ3 怪談~キリン~


キリン「これは私の昔のセフレのセフレのお話なんだけどね」


カナタ「待って!その始まりがそもそも怖い!セフレのセフレを知っている事実がすごく怖い!」


キリン「その子はある日、彼氏とラブホで一発ヤってくつろいでいたの。そしてふっと何かの気配を感じて、彼氏のスマホを覗き込んだの。すると知らない電話番号からひたすら着信が入っていたのね」


カナタ「なんだろう。まっとうな怪談話っぽいぞ」


キリン「そして突然ドアをどんどんと叩く音が響きだしたの。そして彼氏のスマホには『み つ け た』の一言がショートメッセージで届いていたんだって」


カナタ「うわぁ。それドアの向こうに何かいる奴じゃん!?やばすぎ!」


キリン「そして彼氏はそのドアの音で目を覚まして、そしてケータイを見て顔を真っ青にしたんだ。きっときづいたんでしょうね。自分の居場所がバレている。狙われているって」


カナタ「まあ幽霊に狙われるのは怖いよな。それでそれで」


キリン「まだドアは叩かれ続けている。きっと観念したんでしょうね。彼氏はすべてに絶望したような顔でドアを開けちゃったんだ。するとそこには長い髪を振り乱だした女が!!わっ!!!」


カナタ「きゃああああああああああ!!」


キリン「そしてその女は彼氏を突き飛ばして、女の子の方にすごい速さで近づいて、恐ろしい顔で一言言ったの…」


カナタ「(;゚д゚)ゴクリ…」


キリン「この泥棒猫!!」


カナタ「ぎゃああああぁあ?あ?ん?んん?(;´・ω・)」


キリン「その女の正体はなんと彼氏の本命の彼女だったの!!なんと本当は私の元セフレのセフレちゃんは本命の彼女じゃなくて浮気相手だったんだって!こわいよねー。ラブホまで追いかけてくるなんて本命の彼女ってすごいよねぇ」


カナタ「('ω')それって怪談ですかね?」


キリン「え?でも普通に怖くない?ラブホまで追いかけてくるって相当でしょ」


カナタ「まあそれは怖いけど」


キリン「そしてそのあとは修羅場って気がついたら3pしてたらしいよ。そして三人はとりあえず三人で付き合うことになったんだって」


カナタ「3pがオチになると思ってんじゃねよ!オチてないよ!もっとまっとうな階段を聞かせてくれぇ!!」




小ネタ 怪談~ヨッメー~


リリセ「私さ。霊感があるって子に昔言われたんだ」


カナタ「なんかやばいのでも憑いてるの?」


リリセ「ううん。そうじゃなくて、私ってどんな幽霊も怪異も寄せつけない。それどころか向こうから逃げていくレベルなんだって。その霊感ある子は私が怪奇スポットに近づくと地縛霊とか祟り神がダッシュで逃げ出していくのを何度も見たんだってさ」


カナタ「俺はそれを聞かされてどう思えばいいんだろう?」


リリセ「だよねー。困っちゃうよねー。ところでさぁ、友達から美味しいラーメン屋さんの話聞いたんだけど、駅から遠いから」


カナタ「わかった車出すよ」


リリセ「わーい。ラーメン、ラーメン!楽しみーうふふ」


カナタ「オチがないけどまあいいか。ラーメン。ラーメン!あはは」









 夏休みに入っても俺たちは相変わらず駒場キャンパスにたむろっていた。そして例によって学食にてランチをしているときに楪がポツリと声を出した。


「すみません。誰かわたしにバイトを紹介してくれませんか?」


 俺と綾城とミランは首を傾げた。楪がバイトをする。その光景がうまく想像できなかった。


「お金に困ってるのかしら?ならそこの反社のセカンドに専念するといいわ。がっぽりくれるはずよ」


 綾城が俺のことを弄ってくる。勘弁して欲しい。愛人を囲うとか大学生らしからぬ行為である。リア充からは程遠いだろう。


「それは魅力的な提案なんですけど…うーん。わたしはお金が欲しいわけじゃないんですよ。給付型の特待生奨学金貰ってるんで。勿論お金くれなくてもカナタさんのセカンドしますけどね」


 やだぁどっちに突っ込めばいいんだろう?とりあえず事情をちゃんと聴きたいところだ。


「金目当てじゃないけどバイトしたいってどういうこと?なにがあったの?」


「それなんですけどね…ふぅ…実家の父と母から言われたんです。『算数ばかりじゃなくて、少しはバイトなんかをして世間様の厳しさを学びなさい!』って…コミュ障のわたしにそんなこと言われてもねぇ…はは…」


 楪が陰のあるヘラヘラした笑みを浮かべている。すごくバイトしたくなさそう見える。


「まあ確かにそうだよね。バイトすると社会の厳しさみたいなのを少しは理解できるよね。うんうん。ボクも去年はバイト漬けだったからご両親の気持ちがよくわかるよ!」


 ミランはわりと苦学生っぽい生活を去年はしていたし、今も芸能界という厳しい実力社会に生きている。俺だって社会人経験はあるから、社会の理不尽さはよくわかっているつもりだ。


「なるほどね。たしかにバイト経験とかは就活でも聞かれるそうだし、しておいた方がいいんでしょうね。でも楪は何があうのかしら?」


 たしかに綾城が言う通り楪ってどんなバイトが合うのかよくわかんない。勉強できるけど、教えるのは苦手そうだしなぁ。そんな時ミランがニヤニヤと楪の肩を叩いて言った。


「いいバイトがあるよ。大丈夫コミュ障でもちゃんとできる素敵なバイトだよ!カメラの前でちょっとエッチなポーズを取るだけの簡単なお仕事!そのおっぱいならきっとグラドル界の覇権を取れるはず!!」


「ひぇ?!グラビア?!む、むりですぅ!気がついたら枕営業の餌食に…ひぇえええ」


 楪はガクプルに震えている。世間様の芸能界のイメージはすこぶるわるいものだ。


「美魁の紹介するバイトだとそもそもご両親が望んでいる社会勉強からは程遠いのではなくて?常盤、なにかいい感じのバイト紹介できないの?」


「うーん。俺の伝手だとあんまりないな。こういう時は頼れる先輩を頼るか」


 俺たちは田吉寮に向かった。ケーカイパイセンが両脇に可愛い女の子を侍らせながら田吉寮の中庭のビニールプールで遊んでいた。まさしくリア充の王!


「お?何の用だ?ピザでも食うか!?ぎゃはは!」


「いや今日は別の用件で…かくかくしかじか」


 俺はケーカイパイセンに事情を説明する。


「わかった。なるほどな。その子にぴったりなバイトなら、新宿と池袋と吉原があるけどどれがいい?」


「それ絶対ダメなバイトじゃないですか!?」


「だけど適材適所じゃないか。あるものは生かすべきだろ!ぎゃはは!」


 この先輩のバイトはダメだ!碌なもんじゃない。


「さて。まあジョークはともかく。社会勉強のバイトならやっぱり客商売がいいと思うぞ」


 ケーカイパイセンが少しだけ真面目な顔になった。だけど両脇の女の子のおっぱいを揉み揉みしている。まじでリア充。


「客商売ですか。なんかいいところあります?」


「あるぞー。ちょうどいい単発のバイトが。明日俺が手伝いに行く予定なんだけど、お前らも一緒に来いよ」


「じゃあそれやらせてください」


「オッケー。じゃあ話は通しておく。くくく、最高の思い出を作ってこいよ。ぎゃはは!」


 ケラケラとケーカイパイセンは笑っている。まあこの人はちゃんと約束を守ってくれる人だし、俺もついていけるなら楪も安心だろう。こうしてバイトが決まったのであった。










 そして次の日。俺と楪がやってきたのは千葉県のとあるビーチにある海の家だった。


「ひぇ?!海の家ですよ!リア充です!体が!体がとろけるぅ!まぶちぃい」


 楪はまるで太陽を直視しているかのように目を細めている。逆に俺はテンション上がっていた。海の家でバイトとか!最高に大学生って感じだ!


「おう。お前ら早速着替えてくれ!カナタはこれ、メガネっ子はこれだ。ぎゃはは!」


 俺たちは衣装を渡された。そして更衣室に行って着替えた。先に出たのは男の俺だった。衣装はアロハな柄の甚平。実に夏っぽくていいと思う。頭にタオルを巻けばまさに!?


「おまえ、頭にタオル巻くな。反社にしか見えねよ。ぎゃはは!」


「やめてくださいよぉ!あんただって同じようなもんでしょうが!!」


 ケーカイパイセンも俺と同じ甚平と頭にタオルを巻いている。この人もなんかそっち系の人にしか見えない。隠しきれないワルの匂いがする。


「あ、あの…本当にこの衣装なんですかぁ?!」


 後ろから楪の声が聞こえた。どうやら着替え終わったらしい。楪が甚平を着ていたらきっと可愛いだろう。もしかしたら甚平ではなくて浴衣かもしれない。それはそれであり。と思ったのだが。そこにいたのは…。


「カナタさん…わたし、似合ってますか…」


 ブルンとおぱーいが揺れているのが見えた。楪はとても大胆な衣装を身に着けていた。頭にはフリフリなカチューシャ。首には襟付きのリボン。両手首にも襟だけがついている。そして問題は体の方だ。胸は黒を基調としてブラの水着でおおわれている。ところどころに白いフリフリした布がひらひらしている。くびれの下には短いエプロンが巻かれていて、下の黒のショーツがちらちらと見え隠れしてエチエチしている。この格好を人はこういう。メイド水着と!!


「すごくかわいいよ楪。うん。本当に可愛いの」


「ありがとうございます!カナタさん!えへへ。恥ずかしかったけど着て本当に良かったです!」


 楪は俺に褒められてうれしそうだけど、俺は戸惑いを隠せなかった。


「ケーカイパイセン!」


「なんだいカナタくぅん?ぎゃはは!」


 ケーカイパイセンは楪と同じくメイド水着を着た女子たちを両脇に侍らせて、エプロンをめくって遊んでいた。


「この海の家のコンセプトがわかんねーよ!!!」


 男は甚平、女はメイド水着。意味がわからない!ビーチというリア充空間に現れた謎の特異点がきっとこの海の家なんだろう。果たして楪はちゃんとロストバイトヴァージン出来るのだろうか…?














***作者のひとり言***



コメント欄の皆様の意見を融合させた結果、『海の家でメイド水着でウェイトレス』することになりました。


絶対この店だけ周囲から浮いてそう。


楪にメイド水着って絶対に似合うと思うの。


それと次回は意外なあの人が登場します!




面白かったらフォローと星★をいただければ筆者はすごく嬉しいです!


ちなみにバイト話の次はムーちゃんの偽彼氏話をやります。


それから今回のように思いついた小ネタをバシバシ入れていくと思います。



これからもよろしくお願いしますね。



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