2-10:北のエリアボス
掲示板で一通り経緯を説明した後、一旦ログアウトしてご飯を食べ、またSLAWOにログイン。一葉は仕事で帰ってくるのが遅くなるらしい。
私はTwoiterで配信のお知らせツイートをして配信を開始する。
【レイドボス】スノーウルフ討伐配信【やっちゃった】
・何やってんだー!!
・掲示板でいきさつ見たけど、あれは笑った
・どま
・ありがとなー!!
・嫌な・・・事件だったね。
「皆さん。こんばんわ。まずは、フィールドレイドボス倒しちゃってすいません。本当に運が良かっただけなので2度目はないかと。詳細は掲示板に書いたのでそっち見てください。」
・しゃぁない
・やっちゃったね
・「倒しちゃって」←圧倒的強者感
・フラグかな?
・次はラスボス登場とかかな?
「2度目はないでしょう・・・。さすがにないはずですが、それは神のみぞ知るというところですね」
・ないよな。
・神様運営様2度目はやめてください。
・神の味噌汁
・美味しそう
・ラスボスの素材から作った味噌汁かぁ
「さて、レイドボスについてはこれくらいにして、今日は北のエリアボス倒してくるね!湿地帯探索したかったけど、万能走法とかいうの手に入れたからそっちはそれの練習してからにしようかなと。」
・「倒してきます!」←負けるつもりゼロで草
・結構強いはずなんだけどな
・強者の風格出てますわぁ
・レベル的には適正だけどな
・その適正レベルはパーティ組むこと前提なんだよなぁ
・MMORPGでソロプレイするほうが変
・場所わかる?
「場所はわからないですけど、行けばわかるでしょう。たしか洞窟でしたよね?」
・そうそう
・まぁ、行けばわかるよ。
・雪原から更に北に進むと山があるからね。
「了解です。じゃぁ、ちゃちゃっと移動しましょう。」
それからエンジ北の雪原に転移して、奥に見える山を目指して移動する。道中の敵は倒しつつだが、流石に結構なレベル差がついてるせいで大体一撃だ。
「もうこの辺も弱いですねー」
・弱い(当社比)
・弱い(虐殺)
・殆ど一撃なのやべぇ
・紫炎すら使ってないもんな
・い つ も の
「いうてこっちはLv22、あっちは高くてもLv17じゃないですか。それだけ差があったらこんなものでは?」
・ステータスの振り方による
・攻撃力重視なら一撃かもしれないけど
・カケルくんは近距離攻撃の威力2倍だもんね
「ん?レベル差あってもSP振ってなかったら与えるダメージは変わらないの?」
・そこはまだ未確定
・レベル差による与ダメ判定は検証中だけど、恐らくレベル差による補正はないというのが現在の結論
・ステータス値を参照しているってのが有力
・防御力は多分VITかな?
・カケルくんがレベル差あっても森黒熊を倒せたのは多分それが理由
「なるほどねー、極論、Lv1の状態でもモンスターのステータスによってはLv100モンスターを倒せるというわけか」
・本当に極論だけどそういうこと
・普通は無理
・その理屈はおかしい
そんなこんなでリスナーと会話しつつ、雪原の奥地へ移動してると大きな崖が先の道を塞ぐように現れ、その中央にいかにもって感じの洞窟が見えた。
「あ、洞窟見えたよー。あれかな?」
・そうそれ
・YES
・急に崖が出てきたな
・雪で覆われてるから近づかないとわからんよなぁここ。
「じゃぁ、中に入ってみますか。」
洞窟の中に入ると、中は広い空洞になっており、辺り一面が氷で覆われている。そして所々から謎の光が漏れでており、それが氷に反射して明るくも幻想的な空間を演出している。
「めっちゃ綺麗ー・・・」
ピコン『ボスエリアに到達しました。30秒後にボス戦闘用エリアに転移いたします。』
景色を堪能しながらゆっくり歩いていると、ボスエリアに到達したというログが流れる。
「あっ、ボスエリアについたみたい。いってくるねー」
・はーい、いってらっしゃいー
・こここんな綺麗なんだな。
・地面凍ってるのによく滑らないな。
・狐には爪あるしね。
・頑張ってきてねー
そんなコメントを横目にみつつ、道中で消費したMPを回復していると戦闘用エリアに転移される。
転移された先は先ほどと同じ景色の場所。そして体長3メートルはありそうな大きく真っ白いウルフと、その手前に通常サイズのウルフが5匹。恐らくあの白いのがスノーウルフだろう。
「っと、いきなりくるのね。」
まずは看破からといきたかったが、それよりも先にスノーウルフが鳴き、それに従って配下のウルフが襲ってくる。それを見てとりあえず脚に魔力強化を使用して移動速度を上げて一旦逃げる。相手は中々にかしこく、2匹で私を追いまわし、残りの3匹が私の行く手を阻むように動くが、大した問題にはならない。
ひとまず逃げながら、狐火・白と蒼を展開。看破を使用する。
◆スノーウルフ:Lv26
◆ホワイトウルフ:Lv18
取り巻きのレベルも思ったより高い。けど、基本的な動きはウルフとさほど変わらないみたい。確かここは倒しても倒しても沸いてくるギミックがあったはずだから、ホワイトウルフは足を落として動きを止めるにとどめたほうがいいかな?
「オォン!」
どうしようか考えながら逃げ回ってると、私を追いまわしてたホワイトウルフが氷の矢を放ってきた。折角なので展開中の狐火・白に当てて解析を進める。狐火にあたったアイスアロー?は当たった途端に霧散していった。この程度であれば全部吸収しきれるらしい。
にしても魔法使ってくるなら取り巻きは倒した方がらくか。ささっと倒してしまおう。
考えがまとまった私は壁を蹴って反転。私を追ってきていたホワイトウルフに爪撃を放ちダメージを与え、そのまま走り抜ける。そして残りも同様にヒットアンドアウェイでダメージを与えていき、そのまま最後の一匹が倒れて全滅。これでしばらくは取り巻きも出てこないだろう。
取り巻きが全滅すると、今まで動きのなかったスノーウルフが遠吠えを上げ、周囲に5本の氷槍を展開し、一本ずつこちらに飛ばしてきた。無論私は走って回避しようとするが、どうやらかなり強力な追尾機能があるようで、私の走ってる先に氷槍が飛んでくる。しかもスノーウルフの方に向かおうとしても、そっちに行かせないようにルートを侵害してくる。
「ちぃっ!」
私は現状を打破するため、追ってくる一本に狐火・白を当てて吸収させようとするも、当たった途端に狐火がはじけ飛んだ。だが、それにより追尾機能は失われたらしく、狐火に当たった一本はそのまま壁まで飛んでいった。
「これなら!」
私は狐火・白を4つ展開して残りの4本にぶつける。これにより、私を追ってきていた残りの氷槍も追尾機能が亡くなりそのまま壁に激突していく。それを横目にスノーウルフに向かっていく。
氷槍を失ったスノーウルフもまたこちらに向かってくる。そして体の大きいスノーウルフが先に攻撃態勢に入り、鋭い爪を振るってくる。なにやらそれなりの魔力を纏っているようだが、当たらなければ問題ないはず。私はそれを避けて懐へと潜り込み、下から首にむかって爪撃を放つ。
サシュッ!
当たりはしたものの、かなり毛が固く、浅く傷が入った程度にしかならなかった。
ドンッ!
直後、爆音と共に地面が揺れ、スノーウルフが上空に飛んでいく。
ドンッ!
上空に飛んでいったスノーウルフはそのまま天井に着地。そして再度爆音を上げながら天井を蹴り、私に攻撃してきた。
「ガァオ!」
ドオオン!!
「うわっ!危なっ!」
私が直前までいた場所にはスノーウルフの前脚が関節あたりまでめり込み、地面は小さいクレーターのようにへこんでいた。私は前脚が埋まってるのをチャンスとみて、反転してスノーウルフに向かっていく。
「ガァァァアア!」
しかし、直ぐに足を抜いたスノーウルフは再び周囲に氷槍を展開して私に飛ばしてくる。が、先ほどと同じように狐火で対抗し追尾機能を消す。
ピコン『アイスランスの解析が完了しました。以降、本来の威力・MP量で使用可能になります。』
10本目を狐火に当てたことで何かのログが流れたが、今はそれを見てる暇はない。
そのまま氷槍を避けてスノーウルフの元に駆け込み、今度は先ほどよりも強めに魔力を通した爪撃で前脚を攻撃。
「ガガァァァアア!?!?」
今回はかなり深く切り裂けたようで大きく怯んだ。その隙に更に後ろ脚も攻撃して機動力をうばっていく。
「ガガッ、ガァァァアアア!」
「おっと」
しかしそれだけで何もできなくなるようなボスではない。咆哮とともに私の足元から氷の槍が飛び出してくる。魔力感知で読めていた私は難なく回避。しかし、私のいく先々へ次から次へと生えてくる。
更には氷槍も飛んでくる。が、これは解析が完了したのか、狐火・白に当てると氷槍に込められた魔力が完全に吸収され、氷の槍は消えていく。更には魔力も微量だが回復した。
その後攻撃を避け続け、それなりの距離まで離された後、スノーウルフは咆哮を上げて仲間を呼び寄せる。今は配下のウルフに任せて、自分は後ろに下がって回復に努めるつもりらしい。
そんな悠長なことはさせない。脚にかけてる魔力強化を強め、取り巻きを置き去りにしてそのままスノーウルフの元へ直行。取り巻きのウルフはアイスアローを放ってくるが、追尾機能がないからそのまま走っていれば当たらないはず。
いっきにスノーウルフまで近づいて爪撃で攻撃。右前脚でガードしてきたため止められはしたが、ガードに使った前脚を深々と切り裂く。更に痛みで歪んでいる顔面へ紫炎を放ち、そのまま距離を取る。
以後、そのまま取り巻きを無視してヒットアンドアウェイを繰り返して、特に何事もなく討伐完了した。
ピコン『スノーウルフを討伐しました。第二の街:ノスタル への通行券が冒険者ギルドから送られます。1分後に通常エリアに転移されます。』
ピコン『レベルがUPしました』
ピコン『魔力強化のレベルが上がりました』
ピコン『魔力感知のレベルが上がりました』
ピコン『魔力操作のレベルが上がりました』
ピコン『爪撃のレベルが上がりました。』
スキルレベルも順調に上がってきている。妖術がいまだに上がらないのは狐火・紅を一度も使ってないからかな?さっきの戦闘でアイスアローとアイスランスを覚えたから強化でもしてみようかな。そして何事もなく通常エリアに戻ってくる。この前とは異なり、周囲で待機している人はいなかった。
「ふう、意外と大したことなかったね。体力が減ってきたら何か行動を起こすのかなって警戒してたけど特に何もなかたし。」
・いやいやいや
・カケルくんがおかしい
・突飛なことはしてないけど、安定感が異常
・まじで完封してて草
・初見でこれですか・・・
・ちゃんと体力が減ったときの行動取ってたんだよなぁ
「えっ!?そうなの!?そんなことしてたかなぁ?」
・ナチュラルディス
・スノーウルフ君が可哀想。
・頑張ってたのに
・天井蹴ったりとか地面から氷の槍を出すとかがそうやで。
どうやらそれらしい行動を取ってたらしい。普通の攻撃かと思ってた。
「ま、それはいいや。とりあえずSP振るね」
レベルは一つ上がって23になった。SPは10取得したので、MNDとDEXに5ずつ振ってこんな感じに。
■名前:カケル
■レベル:23
■種族:九尾の妖狐
■種族特性:擬装(妖狐族)
■個性:零距離戦闘陣
■職業:妖術師
■所持金:500,000z (ギルド預かり 150,162z)
■ステータス:
HP :110
MP :1700
STR:81 [74 * (1.1)]
VIT:11 [28 * 0.4]
INT:181 [79 * (1.8 + 0.5)]
MND:93 [55 * (1.2 + 0.5)]
DEX:65 [65 * 1.0]
AGI:75 [69 * 1.1]
SP :0
■取得スキル
妖術Lv1、封印(九尾)Lv2、鑑定Lv1、看破Lv1、言語Lv1、無手格闘術Lv1、魔力操作Lv8、魔力感知Lv9、魔力強化Lv5、軽業Lv2、爪撃Lv3、魔力視Lv1
■称号
暴徒鎮圧、身体ヲ破壊スルモノ、格上殺し
相変わらず初期に取得したスキルのレベルが上がらない。魔力感知と魔力操作はそろそろLv10になりそうだ。
「スキルレベルってMAXなんぼまであるの?10?」
・10
・10
・魔力感知のレベルがもう9になってる。
・上がるのはっや
・スキルレベルが10になって条件を満たしていれば何かしらのスキルが生えてくるか進化するよ。
「あ、そうなの?したら魔力感知も進化するか派生するのかな」
・あ、それ嘘やで
・正確にはあるかもねって話
・他のゲームではそういうシステムがあるからね
・スキルレベルが10になった人はいるけど、まだ派生したり進化したりは聞いたことない
・トッププレイヤーの一人に初期スキルになかった双剣使いがいるから剣術の派生かもっていわれてるだけ
・単に常に双剣で戦ってたから双剣スキルを取得したんだろうって見方が大半
「あ、そうなんだ。まぁ、あまり期待しないでおくよ。じゃ、このまま奥に進んでいって洞窟の外に出るまで配信やるねー」
・了解
・OK
・わかった
それから洞窟の奥へと進んでいく。道中、スノーバットとかスノースネークとかスノーゴーレムとか色々いたが、西の森よりは弱く、また紫炎に非常に弱いということもあり特に見せ場も何もなくそのまま洞窟を抜けた。
「わぁ!?」
抜けた先は猛吹雪の森。視界は5m先がギリギリ見えるかな程度。掲示板で見たけど本当に視界がわるい。しかも吹雪だからめっちゃ寒い。これもレイドボスの影響とかかな?一旦洞窟に戻ろう。
「ふぅ~、吹雪酷かったねぇー。掲示板で見たから知ってたけどあそこまでとは思わなかったよ」
・だよなぁー
・視界が悪い上に襲ってくるモンスター軒並み白いから気が付いたら死んでる。
・凍傷対策してないと体力減るしな
・吹雪のせいで音も聞こえないし。
・これでも西の湿地帯よりましっていう事実
「え、これで西の湿地帯よりましなの!?まえいった時はレイドボスに襲われたから知らなった。これは南の街で鍛えてそれから進めていくのが正規ルートかなぁ」
・多分ね
・ギミックがきつすぎる。
・東の街もゴリ押しで行けただけだしなぁ
「そっかぁ。エリアボスは突破できるけどその先がー、って感じなんだね。」
・YES
・そうそう
「よし、もういい時間だし目的も達成したから配信きるね!見てくれてありがとう!それじゃまたねー!」
・おつー
・お疲れー
・バイバイー
・またねー!
終わりの挨拶をして配信を切る。現実時間はまだ20時になったばかり。一旦ログアウトして少し休憩してから再ログインしよう。
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