1-14:公式放送

「たっだいまー!翔ー!帰ったよー!」


「あぁ、おかえり。ご飯出来てるよ」


「さっすが翔!ありがとうー!」


 丁度ご飯の用意が出来たタイミングで帰ってきてくれた。最近帰ってくるタイミングがいいから楽で助かる。テーブルに並べて一緒に食べる。


「「いただきます」」


「あっ、そろそろSLAWOの公式配信じゃない?」


「あ!忘れてた!一緒に見よ!モニターに映すね」


 うちはテレビを見ないので、リビングに置いてあるのはただのデカいモニターだ。普段はタブレットで見てるが、こうして大きい画面で見たいときは、モニターにBluetooth接続して映像をうつしている。あとは一緒にゲームするときにも使ったりする。



【SLAWO情報通信局:第一回放送『ver1.01 アップデート情報公開』】


『皆さん、こんにちわ。これよりSLAWO情報通信局:第一回放送をお送りいたします。進行は私、水瀬伊織が務めます。本日はプロデューサーと開発ディレクターの二名に来ていただいてます。まずは自己紹介をお願いいたします。』


『こんにちわー。SLAWOプロデューサーの瀬戸内修一です。よろしくお願いしますー』


『こんちにわ。開発デュレ・・・失礼しました。開発ディレクターの佐藤由実です。本日はよろしくお願いします。』


・キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

・wkwk!

・アップデート情報はよ!

・何か新情報あるのかな!?

・いきなり噛んでて草


ちょうど始まったとこみたいだ。コメントもたくさん流れてる。


『たくさんのコメントありがとうございます。由実さん大丈夫です?緊張してます?』


『えぇ、少っ、、し、緊張、してます』


『あっはっは!!緊張しすぎでしょ!!!』


『プロデューサーは少しうるさいです。』


・めちゃめちゃ緊張してて草

・だが可愛い

・てか顔面偏差値が高くない?

・それな

・情報はよはよ!


『えー、茶番はここまでにしまして、まずは本日の放送内容をお伝えいたします』


ーー放送内容ーー

・来週行われるアップデートの主な内容

・7月のイベント情報

・海外展開について

ーーーーーーー


・おおー!!

・アップデート情報待ってました!

・イベントktkr!!

・海外展開!?

・アップデート情報だけかと思いきや3つもあって草


『さて、まずはアップデートの主な内容から発表しましょうか。瀬戸内さんお願いします』


『はい。アップデートは1週間後の6月12日の12時から行います。内容はいま画面に映ってるテロップの通りです。』


ーーーーーアップデート内容ーーーーー

・体感時間加速機能を実装します。現実の1時間がゲーム内では3時間になります。

・海外展開に伴い、地域ごとにワールドを分割いたします。

・セクシャルガード機能が追加されます。

・リアルモードを追加いたします。全ての感覚を完全再現します。

・通報機能を追加いたします。これにより迷惑プレイヤーに対して罰則を与えることが可能になります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・やっと加速機能きたぁ!!

・これを待ってた

・昼プレイできない人は夜目必須だったもんな

・夜の森めっちゃ怖かったから助かる。

・セクシャルガード機能追加されたの助かる。ストーカーされてて困ってた。

・いや、そもそもなかったんか。

・ある前提でプレイしてたわ。

・リアルモードがあまりにも鬼畜仕様すぎる。これでやる人いるんか?

・制限なく切り替えできるのであれば、性欲のためにやる人がおるかもしれん。

・さすがに1日に一回しか選択できないとかだと思うけど。

・通報機能も気になる。そこまでの害悪プレイヤーとかいたか?

・わからん。少なくとも掲示板では見かけてないな。


 体感時間加速はありがたいかな。あとは特に気にすることもなさそう?リアルモードにしたら何かメリットあるのかな?


「おぉ!やっと時間加速きたね。リアルモードってこれ殆ど今の翔がプレイしてる環境と一緒じゃない?」


「だね、てか性欲の再現が地味に気になるかも」


「えっ!?もしかして浮気!?!?」


「いやいや、ゲーム内でも一葉とイチャイチャできるなって思ってさ」


「そういうことかー!!焦ったー・・・、ふふっ、今日の夜はたくさんしようね。」


あら、今日の夜は長くなりそうですね。明日に影響でないといいけど・・・。


『おぉ、コメントが沢山ながれてますね。気になることもたくさんあるでしょう。上から一つ一つ説明していきますね。まずは加速機能ですが、これは書いてある通りですね。まだ発売5日目なんですけど、結構な苦情が入ってましてですね。最優先で開発しました。ご不便をおかけして申し訳ありません。』


『補足しますと、本来は実装予定だったんですが、β版の直前にエラーが発生しまして・・・。その解決に時間がかかってリリースに間に合わなかったという形です。遅れてしまい申し訳ありません』


・エラーなら仕方ない。

・何はともあれ実装されるのだから問題ない

・対応が早いからセーフ

・まぁ、よくあることだし仕方ない


『優しい方が多いのですね。ありがとうございます。次ですね。この後もまた話しますがSLAWOの海外での発売が来週の土曜日から行われます。それに伴い地域ごとにワールドを分割します。日本は日本ワールドですね。今後、全世界での統合ワールドを用意する予定ですので、海外プレイヤーと一緒にプレイしたいという方は少々お待ちください。』


・この辺はそこまで関係なさそう?

・そもそも国外に友人がいない

・全世界での統合ワールドって本当に出来たら世界初では?

・謎技術の塊


『では3つ目。セクシャルガード機能が実装されます。プレイヤー同士の下心ありの接触が禁止されます。意図せずぶつかるという場合は今まで通りですね。互いにこの機能がオフの場合にそういう接触が可能になります。

この設定はフレンドに登録してるプレイヤーごとにも設定可能です。この後説明いたしますが、リアルモードでプレイした場合はこの機能はありませんのでご注意ください。これも数は少ないですけど要望が入っていたのでね。無事、実装される流れになりました。』


・これはまぁ、よくある機能だね

・むしろなかったことにビックリ。

・クレームがそんなにないこともビックリ

・今かなり治安いいものな

・オンラインゲーム史上初の奇跡と言えるレベル

・第二陣が入ったらわからんけどな

・平和のままであることを願う・・・


「やった!翔、僕に対してだけ外しておいてね!」


「わかった。けど私強制的にリアルモードでのプレイの可能性あるから意味ないかも。」


「さすがにないでしょー・・・ないよね??」


「私に聞かれても知らないよwww」


『4つ目になります。リアルモードの実装です。色々書いてますが、要は現実と同じ感覚を持ってプレイできますよというモードです。これは口頭で説明するの大変なのでテロップをお願いします』


ーーーリアルモードについてーーー

・空腹や便意、性欲、睡眠欲など、現実で感じる全てを再現します。

・痛覚遮断機能・セクシャルガード機能・システムアシストはオフになります。

・ログイン時に通常モードとリアルモードのいずれかの選択が可能になります。

・モードの切り替えは一週間に一度だけ可能です。

・リアルモードでプレイ中はスキルの習熟速度が2倍になり、新たなスキルを覚えやすくなります。

・ランダムで選択される種族の中にはリアルモードでしかプレイできない種族も存在いたします。

ーーーーーーーーーーーーーーーー


「あ、これ多分私リアルモードだわ。だからセクシャルガードとかない」


「・・・ほんとにあったね。あ、僕は翔に対するセクシャルガード切ってるからいつでもOKだよ!!」


「はいはい。」


・全世界での統合サーバーと言い本当に謎技術だな。

・ここまで再現したのは世界初では?

・現実世界に影響ありそうで怖い

・スキル習熟速度2倍はやりすぎでは?

・このモードでプレイするのは余程の変態くらい

・強制リアルモードって怖いな・・・、ランダムって引き直し不可だったよな?

・確かに

・既にこの条件に当てはまってる種族の人はどうなるんだろ

・九尾の妖狐を引いた人はほぼほぼこれだろ。

・既にシステムアシストオフ・痛覚遮断機能オフだしね

・よくその状態でやるよな・・・

・AIから変態認定された人か

・言い方www


ちょっ、コメントで私変態認定されてるし!違うし!やったら出来ただけだし!


『お、ランダム選択時の引き直し不可についてのコメントありますね。アップデート以降はランダムで出た種族か人族のどちらかを選択できるようになります。それとキャラリメイク券をお配りしますので、思ってたのと違う、もしくは種族的に強制リアルモードになってしまい無理という方はお使いください』


『現状、強制リアルモードの条件に当てはまるのは一人しかいませんし、AI的にもそれ含めて適性ありと判断されてるので問題ないとは思いますけどね。』


『あぁー、あの人ですか。初っ端からでるとは思わなかったですよねー。』


・例のあの人ね

・九本の尻尾の狐さん

・イケメンさん

・九本の尻尾なのに一本しかないけど

・後々増えていく仕様だから


『おやおや、コメントで誰か予想してるみたいですが詮索はダメですよ。答えませんからね。』


「ねぇ一葉、私配信に一回しか映ってないのになんでこんな話題にあがるの?ニュース記事にもなってたし。」


「え??そりゃぁユニーク種族だし、ルックスもいいし、インパクト強いし、僕の彼女だし。むしろ話題にならない理由がないよ??」


「えっ、うそっ。そうなの??」


「むしろ自覚なかったの!?!?」


 まじかぁ・・・話題にならない理由がなかったのかぁ。映ったのが一葉の配信でなければここまで出なかったか・・・?どっちみちか。


『さて、最後に指名手配機能ですね。これは住人・・・NPCから要望が上がってきたので追加しました。テロップをお願いします』


ーーー通報機能についてーーー

・迷惑行為を行うプレイヤーを通報し、罰則を与えることが可能になります。

・メニュー画面から通報、または各街の衛兵に直接伝えることで可能です。

・通報はプレイヤーのみでなくNPCも可能です。

・迷惑行為の内容により罰則の内容が変動します。

・通報理由が不適切な場合は、無効になります。

・通報が一定数を超えた場合、指名手配となり懸賞金がかけられます。

 懸賞金は指名手配者を倒した人に贈られます。

ーーーーーーーーーーーーーー


・NPCも通報可能なのか。NPCを蔑ろにするのは辞めたほうがいいな。

・ていうかNPCから運営に要望があがることもあるのか・・・

・神にお祈りしたら要望メールが届くみたいな仕組みがあるのかね

・内容はまぁ普通

・NPCから要望が上がったってことは、通報が必要な事例があったってことか?


『NPCから要望が上がったっていうのを気にしてる方が結構いるようですが、これを送ったのは皆がキャラメイクの時にお世話になったルシフェル君ですね。今は特に問題ないけど、第二陣以降はどうなるかわからないから、追加して欲しいということです。』


・AIでもそういう判断ができるのか

・てかAIのレベルも高いな。通報するか否かの判断ができるってことでしょ

・なんでこれだけの技術を持ってるのに最近まで埋もれていたのか謎だ。

・謎技術の塊や・・


『さて・・・、ここまで一息に話したわけですが、思った以上に長くなってしまいましたね。5分ほど休憩にします?』


『そうですね、情報量が多いですし消化するのにも時間かかるでしょうから。アップデート内容と詳細を表示したテロップは画面に表示しておきますね。』


『はい、そうしてください。ではみなさん。5分後にまたお会いしましょう』


そして画面が切り替わり、アップデート内容とテロップが全面に表示された。



「ご馳走様でした。情報量が多いね。夏イベは詳細まで発表されるのかな?」


「お粗末様です。どうだろうね。それも発表ってなると長くなりそうだけど。」


その後、食器を片付けてリビングのソファに座る。丁度いいタイミングで放送が再開された。



『はい、皆さんお待たせいたしました。5分の休憩を終えましたので再開いたします。先ほど説明したアップデート内容は公式ページに乗せてありますので、見逃してしまった方はそちらをご覧ください。次は皆さんお楽しみ。7月のイベント情報についてです。それでは瀬戸内さん、お願いいたします。』


『はい、7月は前半後半に分けて二回、イベントを開催します。前半は各々の力を競う闘技場イベント、後半は無人島開拓イベントを予定しています。それぞれの詳細についてはイベント開催の1週間前にお知らせしますので、楽しみに待っていてください。』


・おおおお

・楽しみ

・wktk

・戦闘系のイベントはよくあるけど、無人島開拓って中々聞かないよね。

・確かに

・どういう形になるのか気になる。

・ここの開発陣謎の先端技術だらけだからな。中々ぶっ飛んだものになるかも


『見てくださってる皆さんも気になってるようですね。ま、それはもう少しお待ちください。して次に世界各国への展開についてですね。先ほどもちらっと話しましたが、1週間後の6月13日から国外でも販売を開始いたします。対象地域は、ヨーロッパ・北アメリカ・南アメリカ・東アジアの4地域。2週間後の6月20日には他の全地域に向けて販売を開始いたします。』


・つまり全世界の人間が一つのワールドでプレイする日があるということか・・・

・そんなこと可能なんか

・さっきも思ったけど正気か・・・?


『瀬戸内さん、ありがとうございます。日本で見てくださってる方にはあまり関係ないでしょうが、後々、統合ワールドが出来る予定ですので楽しみにしていてください。これで本日の放送は終了となります。それではみなさん、またお会いしましょう。』


そして公式放送は終了した。ほとんどがアップデート内容についてだった。さーて、SLAWOやりますか。

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