1-2:スキルが使えない!?!?
「ん・・・おおー!!!!」
光が治まると共に街の広場に立った。いかにも中世ヨーロッパといった感じの綺麗な街並みが広がり、多くの人が行きかい賑わっている。
「おーい、カケルー!!」
「ん~?・・っおごぉ!!!」
一葉が物凄い勢いで突っ込んできて、思いっきり地面にダイブした。てかめっちゃ痛いんだけどぉ!?痛覚遮断とかないの!?!?
「いたた・・・・カズハ・・・でいいの?」
「うんそうだよ!さ、早速狩りにいこう!」
「う・・・うん、そうだね。早くいこっか。凄く目立ってるし。」
そりゃ広場で大きな声で突進してきたら目立つよ。一葉めっちゃかわいいし、私もまぁまぁイケメンだし?なんか凄い睨まてるけどあれはどっちに対する睨みですかね?私の胸に飛び込んだ一葉にですか?それともめっちゃ可愛い一葉を抱きしめてる私?ふふふ・・・羨ましいだろお前ら!!!
「ほら早く立って!」
「あっ、ちょっ、あの、お騒がせしましたぁぁぁぁぁぁ!!!」
一連の流れを見ていた周囲の人たちは「彼氏頑張れ・・・」と暖かい声援を送るのだった。
そして街の南の草原にて。
「はぁ・・・はぁ・・・とりあえずパーティー組もう。それとフレンド登録」
「あっ、うん、テンション上がって忘れてた。はい。」
一葉からパーティ申請が来たので承認ボタンを押す。それと同時にフレンド申請も来たのでこっちも承認する。
「ふう・・・てかカズハめっちゃ足早くない?」
「そう?あ、なんか個性で韋駄天が付いてるからそれのせいかも?」
「個性?何それ?」
「んー、よくわからないけど、作成時につくものなんじゃない。これの効果はAGIが2倍。元の値は50だから今は100だね。カケルもステータス確認したら?それよりも種族は何を引いたの?ランダムにしたんだよね?狐?」
「うん、私はランダムにしたよ。なんか九尾の妖狐?っていうユニーク種族だって。」
「ユニーク種族!?えっ、何それ何それー!初めて聞いたよ!!どんな感じなの?」
「うーん、魔法主体で戦う遠距離タイプ?かな。体力がめっちゃ低くて物理攻撃に弱い。種族補正は0.4。まぁその分他が高いんだけどね。あ、あと武器防具装備不可らしい。私の来てる装備も確認したらただの服って書かれてるし」
-------------------
見習い妖狐の巫女装束
・何の特徴もないただの服。不思議な力によって破損することは決してないが、防御力はない。
-------------------
「えぇ・・・えぐいね。スキルは?」
「えっと、詳細はよくわかってないけど、妖術ってのと封印(九尾)ってのが固定であるね。あとは鑑定・看破・言語の3つを取ったよ。妖術ってのはまぁ、説明見る限りだと全属性魔法みたいなものらしい。封印の方は、よくわからない。成長したら新しい力が使えるようになるらしいよ。まぁ、最悪使えなくても自前の格闘術があるし、後からスキル習得できるみたいだから第二の街に行くまでには何とかなるでしょ。」
「カズハはどんな感じにしたの?」
「こんな感じだよー」
そういって一葉はステータスボードを見せてくれた。
★ステータス
--------------------------
■名前:カズハ
■レベル:1
■種族:人族
■種族特性:韋駄天
■職業:神官
■ステータス:
HP :110
MP :650
STR:11 [10 * 1.1]
VIT:11 [10 * 1.1]
INT:65 [50 * (1.1 + 0.2) ]
MND:39 [30 * (1.1 + 0.2)]
DEX:11 [10 * 1.1]
AGI:55 [50 * 1.1]
SP :0
■取得スキル
光魔法Lv1、治癒魔法Lv1、鑑定Lv1、看破Lv1、魔力感知Lv1
「ふ~ん、ザ・神官って感じだね。サポート役を目指すの?」
「うん、どうせカケルは近接タイプだろうなぁって思ってたからね。魔法型になるとは思ってなくてビックリしたよ!でも近接もできるんでしょ?獣人なんだし。」
「まぁできないことはないかな。体力が低いってだけで筋力がないわけじゃないから。はい、ステータスボードこんな感じ。」
「ねぇ、なんか種族特性ってのもついてるけど?個性は零距離戦闘陣だって」
「え?何それ・・・・擬装と・・・零距離戦闘陣???いやっ・・・えっ!?・・・はぁ・・・」
なんかいつの間に知らないのが追加されていた。擬装は九尾であること隠すためのやつだけど、零距離戦闘陣はやばいでしょ・・・この体力で近距離戦闘行わないといけないとか。
「どうしたの?」
「みてこれ・・・・」
「うわぁ・・・カケルにぴったりといえばピッタリだけど・・・種族がねぇ・・・普通の獣人だったら・・・それこそ熊とか狼とかなら強かったんだろうけどねぇ。この組み合わせは・・・」
「まぁ・・・嘆いてても仕方ない。とりあえず狩に行こうか。」
「そうだね。」
周囲には結構人がいたので、人がいない奥の方まで歩いて進む。
「よし、この辺で狩しようか。まずはスライムからいこう。。」
「看破で確認したけどスライムのレベルは2だよ。頑張って!」
そういや看破ってそういうのだったな。次使ってみよう。
「ありがとう、回復と援護は任せたよ!」
「うん!」
とりあえずまずは妖術を早速使ってみる。
「妖術!」
『エラー。発動に失敗しました。正規の手順で発動してください。詳しくはヘルプを確認してください。』
「だよねぇ・・・なんかそんな気はしてたよ・・・まぁ、いいんだけど・・・ねっ!!!」
案の定スキルが使えなかったので普通にスライムを蹴り上げる。零距離戦闘陣の効果なのかわからないが、それだけでスライムが死んだ。
「あっ、死んだ」
「うーん、余裕そうだね。じゃ、次は僕ね。ライトボール!えいっ!おりゃぁ!」
次のスライムに向けて放ったライトボールが当たり、一発は耐えたものの距離を詰めて杖で殴り、スライムは倒された。
『LvがUpしました。』
「おっ、レベルが上がった。そっちは?」
とりあえずステータスは・・・VITに1振って残りはSTR・INT・AGIに3ずつ振っとこう。
「こっちも上がったよー!!」
「そっか、そしたらこの辺で狩しよっか!」
「うんー!」
『LvがUpしました。』
『無手格闘術Lv1を取得しました。詳細はヘルプを確認ください。』
それから30分ほどスライム狩りをしていると新たなスキルを手に入れた。ついでにLvも3に上がったので、さっきと同じようにステータスを割り振る。
で、えーっと無手格闘術ね。
◆無手格闘術Lv1
・無手の極意:無手で攻撃をする際、威力が1.1倍になる。
・強蹴:強い蹴りを放つ
・殴打:殴る
パッシブはまぁまぁ強いけどその下のスキルよ。ただ蹴って殴るだけじゃねぇか。意味あるのかこれ。使ってみるか。
「強蹴!」
『エラー。発動に失敗しました。正規の手順で発動してください。詳しくはヘルプを確認してください。』
エラーが発生するも放った蹴りはスライムに当たり再び消し飛んだ。
何だろうこのエラー。妖術の時も発生したんだよねぇ。いや、妖術の場合は無手格闘術と違ってアーツとかなかったしな。でもアーツを使おうとしてもダメだったし。
一葉に聞いてみるか。どうやって使ってるんだろ。
「カズハー、ちょっときてー!」
「はいはーい、いまいくよー!っと。・・・どうしたの?」
「あのさ、アーツってどうやって発動してるの?」
「どうやってって・・・こんな感じで『ライトボール』ほら。ただアーツ名をいうだけだよ?」
「なんか私がやると発動に失敗しましたって出るんだけど。」
「あー、もしかしてアシスト切れてるんじゃない?こういうタイプのVRゲームってスキル発動時にシステムアシストが入るようになってるんだよね。でもそれを切るとマニュアル操作になって自分で何もかも扱わないといけない。
例えば魔法なら魔力操作して魔法陣展開して云々ってのをやらないといけなかったりね。その分マニュアルだと発動条件さえ満たせばモーションとかタイミングとか自由に調整できるから一部の変態プレイヤーはアシスト切ったりしてるよ。
まぁ、最初から切るような人はいないけどね。ある程度慣れてから切るって人はいるけど。設定確認してみたら?」
「へー、そうなんだ。設定切った覚えないんだけどなぁ・・・ま、見てみるよ」
★システムアシスト:オフ ※ユニーク種族の所有者はシステムアシストを使用することができません。
・
・
・
★痛覚遮断機能:オフ ※ユニーク種族の所有者は痛覚遮断機能を使用することができません。
「げっ・・・まじか・・・・」
「どうしたの?」
「ユニーク種族だとシステムアシスト使えないって・・・、あと痛覚遮断機能がないってさ・・・」
「えっ!?そんなことあるの?スクショ見せて?」
「えーっと、こうか。はい。」
「ほんとだ・・・ちょっと運営に問い合わせてみたら?」
「そうだね、そうする。」
問い合わせページを開き、スクショを添付してアシストについて質問する。
するとすぐに回答が帰ってきた。
『ご質問ありがとうございます。システムアシストの件についてはユニーク種族が他の種族に比べ強すぎるため、スタート時に種族による差が出ないようにする対策となっております。ユニーク種族につきましては、種族選択時にランダムを選択し、尚且つ該当種族の適性があると判断された方にのみ割り当てられるようになってますので、恐らくプレイには支障ないかと思います。痛覚遮断機能についても同様にユニーク種族への適性がある場合はオフになります。ご不便をおかけして申し訳ありませんでした。今後ともSLAWOをよろしくお願いいたします。』
「はぁ・・・まじか・・・仕様だってさ。ユニーク種族が強すぎるからそれに対するバランス調整・・・というよりスタート時に種族による差が出ないようにするためだってさ。あと、適性がある人にしか割り当ててないからプレイには問題ないはずだって。痛覚遮断機能はまずそうな気がするけど・・・まぁ、私は大丈夫だけどさ。」
切創なんて日常茶飯事だし、年一回は体に穴空くしね。物理的に。
「まぁ・・・普通の人はマニュアルでプレイしようなんて思わないけどね。運営も思い切ったことをしたなぁ。システムアシストを切るにしても一部だけで良かった気がするけど・・・。痛覚遮断機能はさすがにやりすぎだと思うけど・・・。」
「まぁ大丈夫でしょ。痛みなら武術で慣れてるし。」
「そういう問題かな・・・?まぁ、カケルのとこは結構特殊だもんね。一般人に素体を見せたら虐待を疑われるくらいの傷跡あるし。」
「だね~、だから私に彼氏なんて出来ないと思ってたけど、カズハとあえてとても嬉しいよ」
「ふふーん!僕もカケルにあえてすごく嬉しいよ!!これからもよろしくね!!」
「うん、よろしく。そういやもう17時だけどどうする?19時から配信だったよね?」
「あっ、そうじゃん!そしたら街に戻ってログアウトして配信の準備しなきゃ。」
「んじゃ、私もログアウトするよ。ご飯用意しなきゃだし。」
「うん、ありがとう。」
その後、道中の浮いてるスライムを倒しつつ始まりの街に戻りログアウトした。
「ふぅ~~、色々あったけど、結構面白かったね。ハマるかも」
「ほんと!?じゃぁ、これからも一緒にできるね!。翔と一緒にプレイ出来て嬉しい!」
「私もだよ。じゃ、飯作るから、一葉は配信の準備でもしてて」
「はーい。」
その後、一葉が配信の準備をしている間、パパっと晩御飯を用意する。今日はカレーだ。人参、ジャガイモ、玉ねぎを切り、鍋にバターを入れて軽く炒める。
玉ねぎがきつね色になるまで炒めたら、水を入れて沸騰するまで待ち、その間にまな板と包丁を洗う。鍋が沸騰したらカレールーを入れて完成。うん、簡単でいいね。
「一葉ー、ご飯できたよー。」
「はーい!今日はカレーだ!いただきまーす!!あむっ、んー!!美味しい!」
「うん、美味く出来て良かったよ。」
「そういや今日の配信ってSLAWOをやるの?」
「そだよー!」
「そっか、レベル上げちゃったけど良かったの?」
「うんうん、大丈夫。それ込みでメンバーには伝えてあるよ」
一葉は『FunkyAegis』というプロゲーミングチームに所属しており、今日はその中のメンバーと一緒に配信をするそうだ。チームの中にも色々グループがあるようで、その中の『GirlsAnthem』というグループで活動しているらしい。アイドル枠みたいなものだっていってた。一葉のチャンネル登録者数は30万人とかなり人気の配信者だそうな。
お布施?がよく飛んでくるらしいが、この辺はあまりよくわかってない。
グループは組んでるけど、グループ以外の人とも一緒に配信していることもあるし、グループにする意味あるのかなぁーって思うけどね。
「あ、配信ってゲーム内からでも見れるの?」
「見れるよー、メニュー画面からいけるはずだよ。」
「そっかー。じゃ、その時間は配信見てようかな。」
「うんうん、見ていいよー!ていうかむしろ見てー!」
「ハハハ、わかったわかった。ほら、さっさとご飯食べちゃいな。」
そして私たちはご飯を食べ、私は食器を片付け、一葉は配信準備のためにSLAWOを起動した。
私も食器が片付け終わりトイレも済ませたあと、SLAWOを起動し、ゲームの中へと入っていった。
★ステータス
--------------------------
■名前:カケル
■レベル:3
■種族:九尾の妖狐
■種族特性:擬装(妖狐族)
■個性:零距離戦闘陣
■職業:妖術師
■所持金:10,000z
■ステータス:
HP :80
MP :920
STR:50 [46 * (1.1)]
VIT:8 [22 * 0.4]
INT:105 [46 * (1.8 + 0.5)]
MND:17 [10 * (1.2 + 0.5)]
DEX:10 [10 * 1.0]
AGI:50 [46 * 1.1]
SP :0
■取得スキル
妖術Lv1、封印(九尾)Lv1、鑑定Lv1、看破Lv1、言語Lv1、無手格闘術Lv1
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