第34話 決戦
「フレイムバースト!」
空中から殺意を込めて、発射する。
さっきよりも高いところだ。
あのゴブリンといえど、俺には手が届かい程高いところだ。
すると、対策したのか腕でそれを振り払う。
当たるには当たるのだが、腕で振り払った勢いと離れていることもあり、弱弱しくなっている。
やっぱり近くでないとダメなのか。
学習してきてるみたいだし。困ったな。上から一方的に魔法を打てば勝てると思ってたのに!
「仕方ない。ちゃんと戦わないといけないみたいだ」
少し高度を落とす。
これくらいならいけるかな。
「がるううううううううう!」
雄たけびが轟き、突進してくる。
少し前だったら間違いなくびびり散らかしていたはずなのだが、いまならば、うるせぇなぐらいにしか感じない。
それくらい自信がついていたのだ。
腕を構え、ぶん殴ろうと思っていたら。
「え!? マジかよ!」
完全に突進だけだったはずだったが、急激に進路を変更し、体をつかまれた。
腕は俺のよりも大きく、簡単に包み込まれた。
まさか……こうなるとは。吹っ飛ばそうとすると思ってたのにな。
こいつもこいつで成長しているのだ。
「がう!」
腕に力を入れ、投げられる。
岩を破壊しながら飛ばされていく。段々と壁に当たるにつれて威力が弱まっていき、すべりながら止まる。
でも、あまり痛くない。なんか、かすり傷ができた時と同じ感覚だ。
俺はそのまま復帰してバン! と地面を強く蹴る。
すると、瞬間移動したかのような速さでゴブリンの前につく。
これも
「吹っ飛べ!」
拳を力強く握り、振るい、腕を破壊する。
ゴブリンの右腕が真っ赤な鮮血と共に遠くの彼方へと消えていく。
スキルの効果でパンチだけでも強いらしい。
ふぅ……なんか気持ちぃ。前までやられてばっかだったからこうもできるのが楽しいな。
なんて考えながら飛んで行った腕を見る。
振り向くと、ゴブリンには飛んで行った腕があった。
すぐにスキルによって再生したのだとわかる。
「面倒だな。こいつ!」
空中に飛んでいき、そこから魔法を放つ。
「エレクトロ!」
びりびりと電気が流れる音が聞こえるのと同時に焦げ臭いにおいも来る。
焼けたのか。ゴブリンの体のいたるところに火傷の痕が見える。
痛々しい。見ているだけで嫌な気分になりそうだ。
「……ていうか、くっせぇ……そういえば、エレクトロも強化されてんのか。しかもこんなに強い……」
焼け臭いのはおいておくとしても強い。
ゴブリンが震えて、ちゃんと動けていない。
こんなにでかい体に感電させれるなんて大したもんだ。素晴らしい!
「でも問題なのは再生の能力なんだよなぁ」
みると、すぐに火傷の痕が消えている。
これのせいでうまく戦えない。
戦ったとしても無駄なのだ。
すぐに回復される。腕をとっても一瞬にして回復された。
「ずっと攻撃を与え続けたら回復とかしないのかな」
とりあえずやってみることにする。
「フレイムバースト!」
空中からもう一度、魔法を使い、それを防いだところを拳で腕を吹っ飛ばす。
回復するから。ここでもう一発!
勢いと止めないように足を使って、生えて来た腕をもう一度壊す。
なんと腕が数秒の間に2本も床に落ちた。
そう考えると気持ち悪くね!? 腕何本も生えるとか最悪じゃねぇか!
「……フレイムバースト!」
さらにもう一撃!
俺は念には念を入れる男だ!
バーンと至近距離で爆発音と煙が発生する。
煙が消えると、ゴブリンがなにか受けたか? といった様子で立っている。
「……やっぱ、ダメか。再生してるよ。バケモンが!」
俺もいまはずいぶん人間離れしているからいえた口じゃないけどこいつもこいつでおかしい。
瞬く間に体が再生するのだ。
こうもすぐに再生されてはいくら攻撃しても意味がない。
面倒だ、困った。
「ちょっと嫌だけど、頭を無くすか」
それが手っ取り早いと考えた。
いちいち何度も何度も吹っ飛ばしてもキリがない。ならば、元を断とうと思ったのだ。
地面を蹴り、腕で顔面をぶん殴った。
対応なんかできるはずもなく生で攻撃を受け、首が吹っ飛んだ。
「はぁ……これで死んだといいな。ミクたちの方も気になるし」
ミクはどうなったのが胸にチクチクと来る。
早くどうなっているのか知りたい。生きていて欲しい。
もしも怪我しているならすぐにでも病院に送りたい。
そんな気持ちがあふれ出てくるのだ。
死んでしまっていたら一生こいつのことを恨む。
「がうううううううううう!」
「……っておい! 頭も治るの!?」
消えた頭が見るとあり、俺に向かって拳を振ってくる。
俺もそれに乗っかり、力を入れ、拳を出す。
そして拳と拳が激突した。
「くううううううううう!」
「がううううううううう!」
にらみ合い状態になる。
「はあああああああああ!」
しかし、俺の方が強かった。
ゴブリンの腕にひびが入る。そして1,2,3歩と少し下がった。
打ち勝った。
しかしやはり意味がない。すぐに治る。
「これでもダメってことは……じゃあ、一気に全部ぶっ飛ばさないとダメなのかよ。……めっちゃむずくね!? だってこんなにデカいんだよ!?」
空を飛び、体をもう一度よく見てみる。
大きすぎる。まるで巨人のようだ。
腕だって握れば俺の体がすっぽりと入る大きさだった。
体全体なら数十倍もある。
これを一気にぶっ飛ばせって言われてもな……無理がある……
「まあ、とりあえず攻撃あるのみだな。その間にどうするか考えるとするか」
止まっていた足を動かす。
近くにあった大きめの石を持ち上げ、ゴブリンの体に向かって投げる。
「再生するってならその体の中に石でも入れて、再生が出来なくしてやる!」
ゴブリンが石を腹の近くで受け止めた。
それを見計らって、空中から落ちていき、勢いを石に込めて蹴飛ばす。
「死ね!」
石が腹に食い込んで穴があく。
内臓が見えた。どろどろとしている。
「気持ち悪いけど……それよりも、どりゃあああああ!」
それをさらに押し込み、石がばらばらになって穴のいろんな場所に突き刺さる。
よし、狙い通りだ!
「ぐうううううううううう!」
ゴブリンの苦痛の声が聞こえる。すぐさま腹を押さえた。
苦しめ苦しめ! 俺たちにしてきたのはこれくらいじゃ足らないぞ!
押さえた腕を殴り、千切り落とす。
「え! ……再生してない!?」
なんと、石が刺さった部分だけは再生しなかった。
他の部分はきれいさっぱり治っているからスキルの効果は出ているんだろう。
つまり、刺さった部分だけ、治らない仕組みらしい。
これなら……
「いける! いけるぞ!」
やっと倒す方法が見つかった。
後は倒すだけ。
ミクを殴ったその仕打ち。きちんと受けてもらう!
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