第49話 他者排除型の才能を開花させたい ステップ1 才能探し
僕が彼の才能に気がついたのは、例の勉強会だ。
やっぱり何かに参加するっていうのはいいもんだ。結果として、成績があんまり上がらなかったとしても僕にとってはとてもいい会だった。
ヤンデレ才能に出会うことが僕にとってなによりも大切だからね。
話は戻るけど、勉強会で気づいたっていっても彼は勉強会に参加したわけではなかった。いや、厳密には誘ったのだが断られてしまったのだ。
彼の名前は和田秀馬。首席で合格し、学年代表として入学式で挨拶もした彼は入学したばかりのクラスでも明らかに賢いことを物語っていた。
勉強会を行うにあたって誰を誘うのか、これは重要な問題であった。
やっぱり仲のいい人は誘いたい、けどただのお遊びになってしまっては意味がない。
だから、あまり仲良くなくても賢い人は誘おう!ということになり、白羽の矢がたったのは彼。首席ならきっと教え方もうまいはず!そう考え友人と彼を誘いに行った。
しかし、彼から言われたのはなかなかの一言。
「そんな成績が下がりそうな会に参加するわけないだろ」
だ。
当然、友人と僕はポカンとしてしまった。が、すぐに取り直し、また参加したくなったら言ってよ、という感じでなんとかその場を去った。
この発言からも薄々感じるとは思うが、彼はすでにクラスで浮き始めていた。
噂では第一志望の学校の試験当日にインフルエンザになってしまったらしく、落ちてしまいあまり希望していないこの学校にきたという。
まあ別にこの学校だって偏差値がすごく低いというわけではない。しかし、彼の第一志望は県中の人が知っているような名門学校。
そこを目指していた彼にとってはこの学校に来ることは屈辱以外の何者でもないということだろう。
この発言以外にも、この入学したばかりの数ヶ月間で、
「この程度もわからないなんて知能の程度が知れるよ」
「うるさいな、騒ぐだけしか出来ないなら学校に来るな」
と言ったように、なんというかそんな発言よくできるな?みたいな発言を繰り返しているというのは知っていたのだ。
僕も友人も、勉強を教えてほしい、という純粋な感情はあった。だけど、それ以外にも浮いている彼を勉強という彼の利点を活かして馴染めるようになってほしい、という意図が少なからずあったと思う。
だってまだ今なら仲良くできる可能性高いしね。
そんなぼくたちの思いが透けて見えたのか彼はより拒否反応を起こし、あんなふうに言ってしまったのかな、と思う。
まぁ、いつもあんな感じで言うみたいだけどさ。
普通ならここで落ち込むか、怒りが湧いてくるか大体どちらかだろう。
しかし、ここでそれらの感情に揺さぶられてしまう僕ではなかった。
だから、僕は彼の反応とは裏腹に嬉しい気持ちが止まらなかった。だって、彼から出てくる言葉はトゲトゲしいが、どこが自分が傷つくのを恐れているようなそんな感じ。
なんていうかこの意地を張っている感じというか、全てのものに威嚇しているような感じがすごくいじらしいというか、いい方向に向かいそうな感じがしない?
こんな不器用な彼にピッタリそうなヤンデレの種類がある。
それは、他者排除型だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます