Fernweh 漆黒の片鱗とともに

ぺんぺん

序章 悪意のはじまり 

悪意のはじまり、それはいつからだったろうか。


その場所は、生きとし生けるものを寄せ付けない、灼熱の場所だった。


煮えたぎる岩漿が、絶え間なく噴き出すそこに。

ある時、邪悪なものが葬られた。


それまで、邪悪なものとそれを打ち倒そうとする者達の、勢力を削り合う戦いが数千年に渡り続いていた。


しかしある時、聖剣に選ばれし者が現れ、魔術を操る民族の力を借り、邪悪なものを打ち倒したのだ。


それは、おぞましい断末魔をあげ岩漿の中に消えていった。

周囲に、悪意を撒き散らして。


それから、どれくらい経っただろうか。その戦の事を知る者が少なくなった時代に。


あの辺境に、悪意に呼び寄せられるかのように、恐ろしいものが集まりだした。


それは初めバラバラだったが、いつしか意志を持つかのようにひとつとなり、その力を強めていった。そして、周囲を侵食し始めたのだ。


そう、世界は再び、混沌と化そうとしていたのだ。

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