第4話 運命をこの手に!!!
私はどこにでも居るような普通のOL金田美鈴26歳独女。
私はいつも運命の人を求めている。
だが、この人こそ運命!と思う度、全てを打ち砕かれている。。。
だって、、今まで好きになった人全てが理想の姿から遠のいてしまうんだもの。
そしてその姿を目の当たりにすると、まるで夢から醒めたかの様に異性としての″愛″が冷めてしまう。
いいえ、彼等を嫌いになった訳じゃない。今でも尊敬出来る素敵な人達だと思うわ。
でも、、私の心は愛から友愛へと変わってしまう。あんなに愛おしかったのにーーー。
容姿で人を判断するなんて最低だと分かってる。容姿が変わってもその人の個は変わらない、、、でも、、、どうしてもぽっちゃりじゃなきゃダメなの!!
ーーーはぁ、、これはもう完全に私の嗜好の問題ね。
それなら容姿の変化を断固阻止すれば良いとは思うのだけれど、、、″私の為に変わりたい″と言ってくれる健気な姿に、つい
″貴方なら出来る、頑張って″
と全力で応援してしまっていたの。。。
うん、やっぱり全てにおいて私が悪いわね。。。
はぁ~落ち込んできた。
やっぱり理想を求め過ぎなのかしら。。。
そんな事を考えながら歩いて居るとドンってと衝撃が来た。前を向けば大きな背中がある。
考え事をしていて前方の人にぶつかってしまったのだ。完全に私の不注意だわ。
私が謝ろうと声を掛ける前に、前方の方が振り返り深々と『自分が悪かった』と頭を下げた。
いやいや、こちらが絶対悪いだろうと慌てて私も頭を下げた。
その後お互い顔を上げーーそこで私は驚愕した。
だって目の前には元彼、マサルさんが大好きだった頃の姿で居たんだもの。
あぁ、また理想の姿(ぽっちゃり)取り戻したのね!!っと感動しそうになった所で正気に戻る。
先日お別れをしてからまだ一週間と経っていない。そんな短期間でこの姿になれる筈がない。
そう思い直し改めて目の前の人物を見れば、ある人物が思い浮かんだ。
マサルさんの兄である、、、タケルさんだ。
彼とは一年前に一度会っただけだが、出会い方が特殊だった為良く覚えている。
タケルさんとマサルさんは背丈がほぼ一緒だ。
そして流石、血の繋がった兄弟である。顔付きがとても似ているのだ。
だが、よく見れば各パーツにそれぞれの個性が現れており全くの別人だと分かる。
そんな彼、タケルさんは私の事を覚えていたようで、困ったような顔で話し出した。
きっとあの時以来だから気不味いのだろう。
「ーー金田さん、ですよね?
自分、近藤タケルです。あの、、マサルの兄の。。
ってこんな姿じゃ、分からないですよね、、ハハハッ。。。
いや、本当にすみません、、、先程の事もですが、、、その、一年前も。。
失礼な態度をし申し訳ありませんでした。」
そう真摯に謝る姿を見て目を丸くする。
目の前の人物は確かにタケルさんなのだが、以前会った時の様な人を見下す嫌味な態度が無くなっていた。
しかも私の好みの容姿にシフトチェンジしている。
こうして見ているだけでも、正直ーートキメキが止まらない!!!
何とか平静を装い当たり障りの無い返答をしているが(でもどさくさに紛れて『すごく素敵です』って言っちゃったっ)
、、、、どうしよう!どうしよう!!どうしよう!!!
もう『好き!!付き合って!!!』って言いたくなっちゃう!!
でも″元彼との繋がりが深い人には決して惚れてはダメ″と自分でルールを決めて居るの。
だって元彼に失礼だもの!!
そう思っているのに、、、彼の魅力(ぽっちゃり)に私、自分を止められないかも!!?
っでも!でもっ!!ーーー
っと心の中でギリッギリの葛藤をしていると彼の言葉が耳に入る。
「俺、いや自分は貴女の義理の兄として相応しい心と容姿を手にする為努力しようと思います。
だから、それが叶った暁には「お兄さん」と呼んで居ただければ嬉しいです。」
そのまま頭を下げその場を後にする。
ちょ、ちょっと待って!『お兄さん』って、、、まさかマサルさんと破局したことを知らないの?!
私は貴方が望んでさえくれれば!!
ーーーあっ、あぁ~、、、私の理想となったタケルさんは既に歩き出してしまった。
ーーもう、彼を止める事は出来ないのね。。。
私にとって今のあ・な・た、が一番素敵なのにーーー
うん、分かってる、、、分かってるわ。貴方はマサルさんのお兄様だものね。
マサルさんがそうだった様に貴方の意志(ダイエット)は誰にも止められないのよね。
なら私から言えるのは応援の言葉だけ。
私の理想の男性(体型)さようなら。
彼の後ろ姿にエールを贈る。
「(タケルさんの容姿は私好みです。ってかぶっちゃけ大好きです。ぐりぐり顔を擦り付けてめいいっぱい汗を堪能したい(小声))
っと、、、いやいや、。。
えーーと、、、コホンッ。
今でも十分素敵ですよ!
ーーでも、タケルさんが頑張ろうと努力するのなら私は応援しています。」
本心をダダ漏れにしつつもそう語れば、すっかり距離が離れてしまったタケルさんは振り返り素敵な笑顔で手を振り去って行った。
あぁ、、、。また失恋ね。
ーー私の理想の人。
いつになったら出会えるの?
いつもの様に受付に座っていると、清掃員の男性がフロアの清掃順番の確認の為話しかけてきた。
確かシルバー派遣で来ていた人が昨日で満期になったから代わりに来たって言う人よね。
失礼ながらも全身を盗み見る。
平均よりやや低めな身長にポッコリお腹。ふっくらした顔に浮かぶ汗をハンカチでゴシゴシ拭いながら柔和な笑顔を向けてくる。
そして頭頂部は果てしなく輝かしい。まるで後光が差している様だ。
ーーーあぁ~、なんて素敵なおじ様!!
彼、奥さん居るかしら?
チラッと左手の薬指を盗み見る。
毛むくじゃらでなんの装飾もない手。。。
ーーふふっ。
ついニンマリしてしまったが、先ずは仕事が優先ね。
でも、仕事が終われば、、、ふふふっ、いいわよね?
「はいっ、清掃順番でしたらこちらの表にーーー。ーーー。ーーーーー。
、、、では、よろしくお願いします。
清掃完了しましたら、必ずわ・た・し・に声を掛けて下さいね。」
私はどこにでも居るような普通のOL金田美鈴、(もうすぐ)27歳独女。
仕事はそこそこ、人付き合いもそこそこ、容姿もそこそこの全て平均値の様な人物だ。
そんな私は、今度こそーーー
運命の相手(ぽっちゃり)を捕まえてみせる!!
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