鬼がいない世界

のらだぬき

鬼がいない世界

第1話

「…あーだるっ!全然いいのないじゃん!」


とある休日の昼下がり。


テレビに文句を言いながら天井を仰いだ。


今日は珍しく部活もバイトも入ってなくて、待ちに待った休日!!


なんて思ったけど、することが全くない。


宿題はいつもの癖で昨日の夜終わらせたし、親はみんな用事で出かけちゃったし、友だちのサクラとカナも彼氏と遊ぶって言ってたし、私にはそんなのいないし…。


テレビでも見ようと思ったけど、どうでもいい情報番組で見る気にならない。


とりあえず全部のチャンネルを押してみたけど、だいたい同じ。


数秒間で映り変わる番組を見ると余計にそう感じた。


「もうなんでもいいか…。」


そう呟いて、リモコンをそこらへんに投げソファーに横になる。


【えぇー、○○学校では先日イジメがあったと認め会見を行いました。】


「やっと認めたんだあの学校〜。最悪じゃん。」


そんなことを言ってみるけど、心の中では何も感じない。


どこかの学校の誰か知らない人たちだからかもしれない。


なんだかフィクションを見ているような気持ちにもなる。



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