成人したので××に出演したらバレた
くにすらのに
第1話 勇気の応募
2022年4月時点で成人している方が応募可能となります。
僕、小亀(こがめ)礼音(れおん)はこの文言を何度も繰り返し読んだ。
誕生日は4月4日。今年から法律が変わって18歳で成人になる。
幼い頃に母さんを亡くし、父さんが男手一つでここまで育ててくれた。と言っても仕事が忙しくてどこかに遊びに行ったりみたいな思い出はあまりない。バリバリ働いてお金を稼いでくれるおかげで不自由はない代わりに、一般的な家庭で得られ経験はほとんどしていないと思う。
そんな父さんは仕事を頑張り過ぎた結果、海外転勤になり、その後の情勢も相まってずっと帰国できていない。
高校生で一人暮らし。いつでも女の子を連れ込めると友達からは羨ましがられたけど連れ込むような仲の女友達がいなければ宝の持ち腐れ。
だけど、そんな宝を有効活用できるチャンスが巡ってきた。
「記入漏れはないな」
パソコンの画面を指差して項目を一つ一つ確認する。
まず大切なのは年齢だ。一年……いや、一か月でも違えば未成年扱いになってしまう。
次に自身が童貞であることを証明……するのは不可能なので、今までの人生で性交渉どころか女の子と付き合ったことすらないことを熱くアピールした。
そして一番重要なのは僕は高校生でありながらこの一軒家に一人暮らして父親は帰宅する予定がないということ。
事前に日程さ知らせてもらえればいつでも撮影は可能だし、僕もその覚悟を決めて『七咲(ななさき)もながあなたの童貞奪います』という企画に応募している。
七咲(ななさき)もなさん。
本当なら18歳未満は見ちゃダメなんだけど、みんなも見てるということで許してほしい。
年齢は30代後半で今は熟女系セクシー女優として活躍している。もし母さんが生きていたら、母さんの少し下くらいの年齢だし、もし20歳で出産していたら母親でもおかしくないくらいの年齢だ。
もなさんに惹かれたの理由は、最初はサンプル動画一覧に並ぶ顔だった。クリックしたらまさかの30代で、その年齢よりも幼く見える容姿とそれとは反対に獣みたいな激しい喘ぎ声は僕の股間を熱くした。
別に熟女好きというわけじゃない。クラスメートの透けブラとかスカートからチラリと見える太ももにだって欲情する。
僕はあくまでも七咲(ななさき)もなさんが好き。本来なら絶対に人生が交わることのない彼女とエッチできるチャンスが成人を迎えるタイミングでやってきたのには運命を感じた。
「たぶん普通じゃないんだろうけど……」
こういう企画に出演しているのは30歳、いわゆる魔法使いと呼ばれる童貞だ。
きっとクラスメートの中にはすでに経験済みの人もいれば、これからの人だってたくさんいる。
応募ページは一応存在しているけど実際は素人童貞のふりをしたプロの男優さんが出演している可能性だってある。
それでも僕は七咲(ななさき)もなさんとエッチしたい。いや、会うだけもいい。
自分の母親と同じくらいの年齢の人にこんな感情を抱いてしまうのはおかしいことだとしても……。
『応募する』と書かれた箇所をクリックするとすぐさま確認用の自動返信メールが届いた。
本当に応募してしまった。当選するかどうかもわからないのに頭の中はもなさんを抱きしめる妄想でいっぱいになる。
あまり期待せずに結果を待とうと頭ではわかっていても期待せずにはいられない。
僕は今まで以上にもなさんの出演作品を血眼になって見るようになり、そしてこの熱意が届いたのか企画に当選した。
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