第19話 コピー

(マスター!ようやくコピーが使えるようになりました!)


「・・・ん?」


 土曜日の昼頃、スマホ―ゲームのネット戦をしていた俺にアスナが話しかけてきた。


「こ、コピー?」


(はい!ようやく出来るようになりました!マスター!早速試しましょう!)


「ア、アスナ、すまんが俺にコピーというスキルなんて持っていたか?」


(何を言っているんですか!マスター!私と同じ固有スキルの欄に書いてあるじゃないですか!)


「そうだったか?」


 アスナと話していると丁度ゲームの試合が終わったのでステータスを開く。


「あ、本当だ。今まで影が薄くて忘れていた」


(マスター、マスターのコピーは異能に目覚めた時からあるスキルなのに、忘れていただくと困ります)


「悪い悪い。けど、ミッションが終わるまで待ってくれないか。昨日みたいになりたくない」


 そう、俺は昨日の金曜日、デイリーミッションを失敗したのだ。夜の十二時までに十連勝が達成できなかったのだ。なので、昨日のSPは貰っていない。だから、昨日惨劇が起きないように朝からずっとやっている。


(そ、そうですね。では後3連勝、頑張ってください)


「あぁ、すぐ終わらす」


 そして、俺はゲームを再開してそのまま3連勝する。


―――――――――――――


デイリーミッション『ゲームのネット対戦で10連勝しよう』をクリアしました。


―――――――――――――


「よし、アスナ終わったぞ」


(終わりましたか。では、早速やってみましょう。では、手始めにそこにあるボールペンを手に取って下さい)


「ん、これか」


 俺は、机の上にあったボールペンを手に取る。何も変哲もないただのボールペンだ。


「で、これをどうするんだ?念じればいいのか?」


(はい、強く同じものを作りたいと念じてみてください。そしたら自動的にスキルが発動します)


「分かった。やってみる」


 俺は目を閉じ心の中で念じてみる。するとコツン、と何かが床に落ちた音がした。


(マスター、成功したので目を開けてください)


「成功ってなにも感じなかったぞ」


(いえ、マスター成功です。下を見てください)


 俺は首を下に向ける。すると、俺が持っていたボールペンが落ちていた。


「あれ、いつの間に落ちたんだ?………ん?」


 俺は落ちたボールペンを拾おうとすると、違和感に気づいた。


「まだ、持ってる」


 そう、俺はまだ手にボールペンを持っていたのだ。え、じゃあこれは


(はい、今、落ちているのはマスターがコピーしたボールペンです。いかかでしょうか)


「すげー、本物そっくりだ」


 俺は落ちているボールペンを手に取り確認する。見た目、手触りは本物と同じだ。


「あ、消えた」


 俺が色々触っていると、複製したボールペンが消えた。


(コピーのスキルはレベルに応じて使用時間が長くなります。マスターはまだレベル1なので、時間で言うと10秒くらいですね)


「10秒か。なぁ、これってコピーする物で魔力の消費量って変わるのか?」


(いえ、全部同じです。コピーを使用する際の魔力消費量はどれも20です。多少、例外はありますが基本的に20消費です)


「そうなのか。じゃあ、俺の今の魔力は31だから残り11しか残っていないのか。けど、20だけなら前の俺でも使えたはずなのに、なんで今なんだ?」


(マスター、10以上魔力を保有している人が10以下になると、魔力欠損状態になります。この症状になると、頭痛や眩暈、吐き気を引き起こします。この状態は余りよろしくありませんので、31以上になるまで言いませんでした)


「なるほどね。これからは魔力管理は大事だな」


(そうです。では、今日のミッションを終わらせ、マスターが取りたいと言っていたスキルを取りましょう)


「そうだな」


 そうして俺は今日の買い物をするために出かける準備をするのだった。

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