第18話 人助け
新たなミッションが決まって早3日が経った。
この三日のミッションのせいで俺の財布には6300円にまで減った。特に買う物が無いのに買い物をするって本当にもったいない。これ以上お金を使うミッションが出ない事を祈る。
そして、ネット戦10連勝というのがキツ過ぎた。有名なゲームをやったところで10連勝なんてプロ並みの実力がないと無理だ。なので、マイナーなスマホゲームアプリで10連勝をしようとしたが、ガチで難しい。9連勝まで来て最後で負ける。あの苦痛のせいで精神力のステータスが上がった。今はギリギリ出来ているが、いつ達成できなくなってもおかしくない。
音楽は走っているときに聞けば一瞬で終わるため、苦にならない。あれだけが良心だ。
なので今現在、俺は夜道を音楽を聴きながら10kgの重りを着けて10km走ろうのミッションをやっている最中だ。身体の中に鉄板を身に着けて走っている。ステータスが上がっているお陰で重さはあまり感じない。これよりグローウィズは重いのだからグローウィズは最低20kgはあるだろう。
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デイリーミッション『一時間以上音楽を聴こう』をクリアしました。
ウィークリーミッション『10kgの重りを着けて10km走ろう』をクリアしました。
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「ふぅ~、ようやくか」
ミッションをクリアしたので、俺は走る足を止め息を整える。
(お疲れ様です。これで今日の分のデイリーミッションは終わりましたね)
「お疲れアスナ。そうだな、さっさと帰って風呂に入って寝たいな」
(マスター、風呂に入る前にその汗をシャワーで流さないと、またリリーさんに怒られますよ)
「分かってるって、ちょっと喉が渇いたから自販機よって行くわ」
(無駄遣いはいけないと思いますよ)
「120円くらいどうって事ない」
俺は近場の公園まで走って行く。そこまで遠くはないので、今の俺の足の速さを持ってすれば一分もかからなかった。
「さて、確かポケットに」
俺はポケットを漁り300円を取り出す。そして自販機があるところまで行くと、自販機の所に置いてある街灯の光を浴びながら佇んでいる一人の女の子を見つけた。
その女の子はお札を自販機に入れているが、またお札が出てきて首を傾げていた。
「あの~、どうかされましたか?」
俺は困っていそうなだったので話しかける。その女性はどこまでも白い髪と肌が特徴的な美人な少女だっただった。
「・・・?」
俺が話しかけるとこちらを向いて、また首を傾げる。もしかして外国の方で日本語が分からないのか?
「え、えっと」
アスナ。どうしましたかって英語でなんて言うっけ?
(What happenedです。マスターは英語が苦手なのですね)
うぐっ、た、たまたま分からなかっただけだ。
「What happened?」
「・・・?」
英語でも聞いてみたが彼女はまた首を傾げる。え、ちょっと英語も分からないのか。何語ならいいんだ?
「・・・ん」
すると、彼女は俺に一万円札を渡そうとしてくる。なるほど、一万円は自販機に対応していないから買えなかったのか。けど、今の俺300円しか持ってないし。・・・えぇい!困っている女性に手を差し伸べないで何が男か!!
「えっと、私が代わりに買ってあげましょうか。何が欲しいですか?」
「・・・ん」
俺が質問すると、彼女は自販機に映っているとあるジュースを指差す。エナジードリンクかよ!てか、日本語分かるのか。
「こ、これがいいんですか?」
「こくこく」
彼女は首を二回縦に振る。マジかよ。こんな可憐な少女でもエナジードリンクって飲むのか。これが200円だから、残る金は100円。・・・買うか。
俺は決心して自販機に200円を入れてエナジードリンクを買う。そして出てきたドリンクを彼女に渡した。
「はい、どうぞ。それと、自販機は一万円は使えないから今度から気を付けてな」
「こくこく」
彼女はまた首を縦に振った後、お辞儀をする。そして、顔を上げた後、どこかに走り去っていった。
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ウィークリーミッション『人助けをしよう』をクリアしました。
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ミッションをクリアしたというのに俺は素直に喜べなかった。
「はぁ~、200円消えた」
ただでさえデイリーミッションのせいで金が無くなって行くというのに、少女を助けるためだとはいえ、貴重な200円を失ってしまった。
「・・・帰ろ」
俺は、100円しか残っておらず、水が買えないのでそのまま帰路を辿った。やっぱりバイトしよ。
俺はそう考えながら歩くのだった。
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