花よめ物語2・あとがき
花よめ物語を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
■テーマについて
とつぜんですが、皆さんは〝愛〟とは何だと思いますか?
100人100通りの答えがあると思うのですが、花よめ物語としては「相手の大切なものを守り、ともに歩むこと」でした。ちょうど自分が連載中に結婚し、幸いに出産を迎えるなかで考えたことです。
花よめ物語の1期では、アネットはまだ恋に目覚めたばかり。それが成長を通して「この人のそばにいたい」と変わっていきます。対するガウェインもアネットを見直して、「守ってあげよう」から愛する対象へと変わっていきます。
愛するためには〝対等の関係〟になることが必要ではないかと考えたストーリーでした。
花よめ物語の2期は舞台をキャメロットに移し、アネットとガウェイン、モードレッドとアーサー王、ギネヴィアとランスロット、バーネットとガウェインなど様々な〝愛〟を表現したいと思いました。
アネットとガウェインの愛は1期から変わらないのですが、アネットにはたった一人でも行動できる強さを得てほしいと思いました。
あと個人的な読解ですが、ガウェインという男は完璧でありつつも、内面は信念とか責任とかで「自分の感情が後回しになる」というめんどくさい特徴があります。そこにアネットという真っ直ぐな存在をぶつけることで、ガウェインの内面にも化学変化を与えたいと思いました(と思って書いたけれど表現できたかは分かりません)。お互いに影響しあい支え合っていく、これが関係の進化なんじゃないかと思います。
一方、ギネヴィアとランスロットは逆に離別します。これも「相手の大切なものを守ること」です。アーサー王伝説では、二人の複雑な思いのせいで円卓が破滅を迎えるのですが、できるなら幸せになってほしいとアーサーを選ぶ展開を入れました。
モードレッドとアーサー王もそうです。モードレッドは「父に自分を受け入れてほしい」という思いが根本にあると思ったので、ちゃんと向き合わせてあげたいなと思って、最後に夜のシーンを入れました(十分向き合えたかどうかは微妙ですけれど)。
■アネットとモードレッドについて
二人は対比の関係で、互いに父親に愛されず、自己評価の低い人間です。
アネットは1期でガウェインという心の支えと父親との和解を迎えた一方、モードレッドはなにもなく自力でのしあがってきました。
だからこそモードレッドにとってアネットは最高に嫌な存在です……理解者かと思えば、モードレッドが吐き捨ててきたものを大事にしている。「甘ったれてて、最高に恵まれてる嫌なやつ」になります。
もし1期で会ったのがガウェインではなくモードレッドであれば、二人の関係は大きく違っていたでしょう。
モードレッドがアネットに敗北するのは、彼が人間の善意を信じられなかったこと(バーネットの心変わり、アネットの行動)、アネットへの怒りが隠せなかったことが理由です。彼を若い設定にしたのは、もう少し大人だったらそこでも敗北しないかな?と思ったので。
ここに書いたことは作品設定のごく一部なのですが、詰め込み過ぎました笑。でも途中でペンを折ることなく書けて本当によかったです。読者の方に応援いただいたおかげです。
それでは皆さん、私はしばらく育児に熱中しますが(そっちは心折れそう)、またお会いできますように!
大きな大きな感謝を込めて。
2022年6月 小柴
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