第3話 信者獲得計画《ファン獲得プロジェクト》
土地神様の
「土地神様の信者獲得のための会議に、たくさんの人達が参加してもらえたことに感謝します。では会議の前に土地神様を使わしてくれた創造神テラス様と、この地に顕現した土地神様に、感謝の祈りを捧げましょう!」
礼拝堂には入り切れないほどの人々が集まっていて、マリアさんの合図で全員が真剣な表情で祈りを捧げ始める。しばらく礼拝堂には静寂に包まれ、土地神様は何かを受け取ったような恍惚の表情を見せていた。
そして土地神様は神々しくも人のような姿になると一人の老齢の男性に歩み寄る。
「うふふふ、大司教さん、あなたの祈りは本当に素晴らしいわ。これからも信心深く人々を導いてくださいね」
あっ、手だけ実体化した!
土地神様は大司教の頭を撫でるために手だけを実体化しているのが分かった。大司教は大きく目を見開いて驚き、そして涙をポロポロと流し始める。
「あ、ありがとうございましゅ。グシュッ、すべてはテラス様と土地神様の祝福のお陰でございます!」
この国の教会のトップである大司教は土地神様に魅了されたみたいね……。
礼拝堂にいる教会関係者らしい人達も涙を流して喜んでいる。そして王宮から来た役人たちは羨ましそうにしながらも、頬を染めて土地神様の姿に視線が釘付けになっていた。
「私は陰ながらこの地を支えられたらと思っていたのですが、テラス様から
う、嘘くさい!
申し訳なそうに土地神様は話しているけど、演技しているように私は感じていた。
「何をおっしゃいますか! 土地神様の信者を増やすことは土地神様の力を増すことになり、結果的に国が栄え、国の住民全てに神の恵みをもたらすことになるのです。そしてその結果として創造神テラス様もお悦びになる。土地神様の
大司教が土地神様に答えると、周りからも同意するような声が次々に巻き起こる。
「みなさん本当にありがとう。では早速計画について話しましょう!」
なんか悪魔教団が誕生したように感じるのは私だけだろうか……?
土地神様は燃費を懸念したのかまた
「商業ギルドには色々な製造を委託しますわ。特別な土地神グッズだけでなく、信頼のおける製品には土地神の意匠を使ってくださるかしら。それに貴族や金持ち用の高価な品も作ってくださいませ。王宮はそれらの商品が土地神に相応しいか審査や管理をして下さいね」
土地神グッズ……。
神の名前を使って商品を売って儲けるのはどうなのかな……。
「それと貴族や金持ち向けの商品は利益を上げてもらいますが、平民が必要とする日用品からは経費分だけの上乗せにしてくださいね。神の名のもとに利益を上げる必要はありません!」
ですよねぇ~!
神の名を使って儲けたら、それこそ神罰が下る気がするわ。
「大司教、教会に併設する孤児院にグッズを販売する店舗を併設して、販売に孤児を使うようにしてください。その代わり貴族や金持ちから得た利益は孤児院の運営資金にします」
なるほどぉ~、それなら土地神様の恵みになるわね!
「土地神様のお慈悲に孤児たちも救われることでしょう」
大司教はさらに土地神様に魅了されているみたいだわ。
「あのぉ、グッズを製造することは可能ですが、先立つものがないと職人に仕事を頼めないかと……」
ちょっと小太りの男性が言い難そうに話した。たぶん彼は商業ギルドの人だろう。
「それは大丈夫よ。マリアさん、テックス関係の資金を回してもらえるかしら?」
「し、資金はありますけど、それは研修施設の管理用に使うようにバルドーさんから預かっているものです。他の用途で使うならバルドーさんに確認をしないと!」
マリアさんはバルドーさんからテックスの知識による資金の扱いを任されているのだ。
「ふふふっ、
あのバルドーさんが唯一逆らえないのが
「わかりましたわ。研修施設で必要な費用以外の余剰分を全てそちらに回すようにしますわ」
「国王陛下からも大賢者テックス様の知識で入った税金を土地神様に自由に使ってもらえと命じられています」
王宮から来た役人から、さらなる資金提供の話まで飛び出した。
「国が率先して協力してくれるなんて嬉しいわ」
国まで後ろ盾となった大プロジェクトになりそうね……。
「資金は遠慮なくばら撒いて構わないわ。大量のお金が王都で使われれば国民は潤い、結果的に国には沢山の税金が納められることになるのよ。その税金で国民のためになる事業をすれば、また国民も国も潤うことになり、国が栄えることになるのよ!」
土地神様の言うことは間違ってはいないけど……。
その大元の資金はテンマ先生の資金のような気がする。
まあ、テンマ先生はお金のことなど気にしないから大丈夫だと思うけど……。
こうして国を挙げての土地神プロジェクトが始動したのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます