第1話 私はアーリン!
私はアーリン! 約半年前に十三歳になった下級貴族の長女よ。
ヴィンチザート王国の貴族家では十三歳になった年の年末に、王都にある学園に入ることが慣習となっている。
国の法で定められているわけではないけど、そこで同年代の貴族との交流を深める意味もある。
王都では頻繁に晩餐会やお茶会も開かれていて、同年代だけの交流ではなく、貴族家どうしの交流の場になっているの。
翌年に卒業するころには学園に入った者は成人する。在学期間に婚約したり、卒業と同時に結婚したりする場合も多くて、特に女子は良縁を求めて学園に入るみたい。
私は
それに、辺境の下級貴族家の私には、良縁なんかまずないからね!
その後、魔術の能力を見込まれて王宮魔術師となり、今の国王陛下が王子だったころには魔術の先生として教えていたこともある。
帝国がヴィンチザート王国に侵略戦争を仕掛けてきたときには、
私も幼いころから
お父様と
内心ではいくらお父様や
すぐに私の心配や疑念は払拭された。テンマ先生は驚くほどの知識と実力を持っていたのよ。
でも
しかし、テンマ先生と最近冒険者仲間になったというミーシャさんが躊躇することなく飲んだので、私も覚悟を決めて飲んだの。
気分も悪くなり、立ち上がるのさえ辛いのに、今度は
そこでミーシャさんが先に魔力枯渇するのを見せられ、彼女は辛そうにしながらも訓練に向かったので驚いた。私は不安に感じながらもテンマ先生の指示に従った。
それからは信じられないほど辛く、厳しい
それからは
お母様から先生と結婚したらどうかと言われたこともあった。私も先生と結婚して一緒に冒険者をすることを想像したこともあったわ。
でも、先生とは絶対に結婚することはないとすぐに気が付いた。
テンマ先生の好みは、胸の大きい女子よ!
私は自分の慎ましい胸を見て、先生が私に子供相手にするように接する理由が分かってわ。
まだ成長途中だっちゅ~の!
一緒に
ジジさんの妹のピピちゃんには僅かながら勝っていたが、七歳の子供に勝ったと思ってしまった自分のことが情けなかった。
私の淡い先生への思いは、出会ってすぐに冷めたのである。
それから冷静に先生のことを観察すると、訓練では厳しく、凛々しいと思える先生だった。
しかし、それ以外は周りに気を遣い、目立つことの嫌いな、ちょっと情けない男の子だったわ。
それに気付いて私は調子に乗ってしまって、騒動を起こしてしまった。その罰として
先生がロンダの町から先に王都に旅だったとき、私はホッとしてしまった。
遅れてロンダから王都へ出発した私だったが、もうすぐ王都に到着する。
あれほど辛かった
王都に到着したら、今度は魔術の
「ほら、あれが王都の外壁だよ。ロンダとは比べられないほど立派だろ?」
お父様の指差す方向に視線を向けると、お父様の言うとおり規模も驚くほど大きな立派な外壁が見える。私は生まれて初めて見る王都に心が浮き立つのが分かった。
「でも本当に道が整備されて、これほど楽な旅も初めてですわ。王都までの日数もこれまでの半分。まるで王都が近くなったようで嬉しいですわぁ」
お母様が本当に嬉しそうに話した。私には初めての王都だけど、お父様とお母様は毎年年越しの式典に参加するために王都を訪問している。
旅の途中でお母様は何度も今度の旅は楽だと話していた。
ロンダから王都までの道も、先生が先に出発して、新しい経路と道の整備を進めていた。
確かに振動は少なかったけど、一日中馬車に乗ったことのない私には辛い旅だと感じていたわ。
先生が整備しなかったら、どんなに辛い旅だったんだろう……。
先生のチート能力は戦闘だけでなく、こんな役立つことにも使われている。
恋愛対象の男の子としては落第だが、先生としてなら素晴らしいと改めて思ったわ。
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