第41話 旅行に行こう
「雪花お兄さん、楽しみだね!」
「そうだね」
流れていく景色を見ながら頷く。
僕たちは今、車に乗って某温泉街へ行く途中だ。
ことの発端は、昨日の朝だ。
「ねぇ、雪花君、絵里」
「なんですか?」
「なに?」
「雪花君が夏休みだし、旅行にでも行かない?」
「お母さん、ナイスアイディア」
「いいですね、どこにいくんですか?」
「温泉に入りたいから、あそこがいいかな」
美穂さんが微笑んで「一緒に入りたいから、混浴のところ、ね?」こう耳打ちしてくる。
自分でも顔が真っ赤になっているのが分かってさらに、恥ずかしくなる。
美穂さんはそんな僕を見て楽しそうに笑った。
「雪花君とは、もうあんなこともしたのにまだまだうぶで可愛い」
「……雪花お兄さん?私ともイチャイチャしようね?」
若干の怒気を含んだ声で、笑顔で近づいてくる絵里ちゃん。
その後のことは、この際、置いておこう。
今は、楽しい旅行中なんだから。
搾り取られたことなんて、知らない、知らない。でも…気持ちは良かった。
「どうしたの?雪花お兄さん」
「なんでもないよ」
「あとちょっとで、宿に着くからねー」
「はーい」
十分程度で、目的の宿に到着し、女将さんのような人に案内され部屋に着いた。
「ちょっと、ゆっくりしたら、外に散策しに行かない?」
「いいですね。行きましょう」
「じゃあ、それまで、私と一緒にいようね?雪花お兄さん」
「なら、私も一緒にくっついてイチャイチャしようね?」
「ダメだもん、雪花お兄さんは私とイチャイチャするんだもんねー?」
「雪花君、私のお膝、空いてるんだけれどなー」
美穂さんが、ぽんぽんと膝を叩いて誘ってくる。
「わ、私は、お耳舐めちゃおうかなー?」
絵里ちゃんは焦ったそうにそう言って、舌を動かして誘ってくる。
「えーっと…」
これ、どうすれば良いんだろう。
気持ちは嬉しいけれど、絵里ちゃんが耳舐めを始めちゃったら、多分、止まらなくなってしまってどうしようもないだろう。
だから…
「いらっしゃい」
「お邪魔します?」
そっと美穂さんの膝に頭を乗せる。
「雪花お兄さんのバカ。もぅ…」
「ごめんね、絵里ちゃん」
「次は私がするからね。絶対だから」
「今は、私のお膝に集中して…ね?」
「は、はい」
未だに、美穂さんの妖艶な微笑みにはたじたじしてしまって、照れてしまう。
「気持ちいい?」
「はい、すっごく柔らかくて気持ちいいです」
「うふふ、よかった」
散策に行くまでの間、まったりとした時間を楽しんだ。
……が、絵里ちゃんは膨れ顔で、機嫌を直すのが大変だった。
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