第29話 言われなくても分からない。
「で、雪花。この可愛い子は誰?」
「可愛いなんて、そんなことないですよ。お母さん」
「..............ちょっと、静かにしててね。絵里ちゃん」
「はーい」
絵里ちゃんはずっともじもじしているけれど、そんなに緊張しなくてもいいのに。
「この子..............絵里ちゃんは前に話した助けた子なんだ」
「この子が。偉いわ!雪花。こんな可愛い子を守ることができる子で。お母さん嬉しいわ」
「分かった、分かったからくっつかないでくれ」
「えー、けち」
僕の家の母親はスキンシップが多いんだよな。
「それじゃ、改めて自己紹介と行きましょうか。私は
「は、はい。私は、赤坂絵里です。今年で高校一年になりました」
「絵里ちゃんね。なんか、新しく娘ができたみたいで嬉しいわ」
「そ、そんな。それはもうちょっと後の話だと思います」
「あらあら、楽しみにしてるわ」
二人が謎の会話を繰り広げ意気投合している。
「雪花、迷惑かけてない?大丈夫?」
「はい、いつも助けられてばかりで私のほうが迷惑をかけていると思います」
「そんなことないよ。いつもありがとう。絵里ちゃん」
「そうかな。むふふ」
「あらあら」
そのとき、チャイムが鳴る。
出ると、美穂さんさんだった。
「え、あ、は、初めまして。絵里の母親の赤坂美穂です」
「私は、雪代来夏です。いつも雪花がお世話になってます」
「いえいえ、いつも私達がお世話になってばかりで」
母親二人が並ぶ。
...........息子が言うのはなんだけれど、僕の母さんは美人だと思う。
茶髪のボブカットで、身長は美保さんと同じくらいで、スタイルも良く、ナチュラルメイク。
美穂さんも負けず劣らず美人だから、並ぶと絵になるな。
「って、痛い、頬を引っ張らないで」
「...........私、絶対に将来お母さんよりお胸も大きくなるし、背も大きくなるもん。お義母さんにだって負けないもん」
「...........?うん。でも、今でも十分可愛くて綺麗だよ?それに、身長はそのままがいいかな?」
「なんで?」
「僕のお膝に絵里ちゃんが座れなくなっちゃうかもしれないから」
「...........!?私、これからもこの身長で雪花お兄さんのお膝独占し続ける!」
...........身長大きくなって抜かされたら、僕的小さなプライドが傷つけられるかも知れないからなんて言えない。実際、絵里ちゃんがお膝の上に乗るのが日常みたいになってるから無くなるのは寂しいのは本当だけれど。
「これからも、雪花をよろしくお願いしますね。美穂さん」
「はい。任せてください。これからも末永くよろしくお願いします。来夏さん」
母親二人の会話がひと段落ついたみたいだが、何やら様子がおかしいようなきがしなくもない。
「雪花」
っと手招きをされるので耳を寄せる。
「二人を逃しちゃだめだよ?」
「...........?うん。僕があの二人を守る」
言われなくても分かってる。
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