我儘な彼女と別れ、美人な母親と娘を救ったら溺愛されたんだが
かにくい
第1話 いい加減な彼女に飽き飽きして別れた途端
「あはは!おもしろーい。そう、ほんとそれ」
突然だが、僕の彼女は顔がいい。
最初、彼女から告白されたとき幻なのかと思った。
こんな美人が僕のことを好きなんて夢なんだなんて思った。
付き合い始めてから、最初は初々しく手を繋ぐことにもドギマギした。これが青春なんだ。その時の僕は、彼女のことがこれ以上ないってくらいに好きになっていた。
だが、段々とゲーム、ネッ友、推しに時間を割くようになってきた。
初めは、誰にでも趣味はあるし邪魔はしないようにしようとしていたけれど、段々とひどくなっていった。
たとえば、デートの約束をもともとしていたはずの日。
時間になっても彼女は来ず、二時間待ったのちに、帰ってきたライン。
『ごめん、行けなくなった』
理由を聞くと、どうやら推しの突発ライブ配信だとか。
まぁ、まだこの一回くらいなら全然許せたのだが、これが当たり前になっていき、
付き合って一年たった記念日。
「私たちもう長いしさぁ、LEINのやり取り減らさない?正直めんどくさい。あと、もうどこか、デート行くのもめんどくさいし登下校一緒に行くだけでいいでしょ?」
とこの始末。
でも、僕はまだ耐えた。
「あー、疲れた。.......ってあんたいたんだ」
当たり前のあんた呼び。
「これから、推しの配信だから。構ってあげられないし帰れば?」
ぶちっ。
「.........か…れる」
「ん、なんて言ったの?聞こえない。はっきり喋って」
「.........別れる」
「.........は?」
「お前となんて、もう別れてやる!ふざけんな」
「.........は?ちょっと待ってよ。急にどうしたの?」
ぽかんとした顔つきで、こういう。
あぁ、なんだか、こいつのすべてにイライラしてきた。
「急にじゃねえよ!お前のその態度!もううんざりだ。我儘で可愛げがない、彼氏のことを一ミリも考えていないその態度!もう無理!別れる」
「はぁ?いいの?あんた、こんな可愛い彼女捨てて?」
「可愛かったのは、最初だけだよ。あーもういい、僕は絶対に別れるからな」
「.........本気?」
「ああ、本気だね。正直、お前と付き合ったのが間違いだった。もう二度としゃべりかけてくるなよ」
「!?はぁ?べっつにいいし。いいわ別れましょう。これで玲君に時間ささげられるし」
「あぁ、どうぞご勝手にじゃあな」
僕は、彼女の家から飛び出し駆け出す。
無我夢中で走り、知らない道路、知らない踏切、信号を渡り、いつの間にか居場所が分からないところまで来ていた。
もう、日も沈み、あたりが暗くなっていた。
「ここ、どこだよ」
ぼそっと呟いたがもちろん答えてくれる人はいない。
だが、走ってなんだか心がすっきりしていた。
「.........さて、ここから、家に帰るにはどうしたらいいのか」
そう思い、スマホを開く。
へぇ、こんな遠くへきたのか。
と感慨にふけっているその時、目の前を見るからに怪しい黒ずくめの男が通り過ぎる。
通り過ぎたのを確認して、僕はそっと物陰に隠れ様子をうかがう。
すると、その男は周りをきょろきょろと確認した後、一軒の家に入っていく。
「.........怪しい」
僕はちょっとした興味でこそこそと後を追った。
.........僕のほうが不審者だな。
男は、庭のほうへ周り、窓に小さな穴をあけ鍵を開け中に入っていく。
.........これ、本当にやばいんじゃないか?スマホを取り出し、一応警察に連絡を入れる。
怖さからか、足が止まった。
.........だめだ、この家を守らなきゃ。
「きゃ、や、やめて。や、めて」
「うるせえ、だまれ。通帳と、キャッシュカード類全部渡せ!!」
やばいはやくしないと.......そう思い中へ足音を立てずにはいると
「ついでに.......お前、いい体してるな」
「ひっ。や、やめて!」
中にいた女の人が馬乗りになられて今まさに服を脱がされそうになっているところだった。
よし、こっちに気づきていない。今だ!
僕は駆け出し、思いっきり男の背中を蹴り飛ばし、派手に転がった男の上にまたがり抑える。
「痛ってぇ、誰だ!てめぇ!」
男は咄嗟にポケットからナイフを取り出したので、僕は逆にそのナイフの刃の部分を掴む。
「痛い」
意外と鋭かったようで、少し擦れるだけで血がナイフの刃そして柄を伝って滴り、男の顔にかかる。
クソっ、痛い。早く警察来てくれー!
なんとかナイフを奪い取り、男を抑えること十分程度。
やっと、警察が来て男を取り押さえ、事情聴取のため僕も一緒に同行することとなり、その日はそれで終わった。
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