11-3 お手入れは…?
「イチ…、ヌシは一度死なぬと治らぬのか?」
「冗談、冗談です!レルネさんのはこちらです。」
ちゃんとしたものを渡す。ただ、セパレートではなくワンピースタイプだ。
「これは…、そうか、この部分が危ないのじゃな。」
「そうなんです。なので、脱毛剤があればと思い、聞けば脇用があるというのですが、大切な部分にかかるといけないので魔法でと思った次第です。
メリアさんにその魔法を教えたので、実験台にと…。」
「なんじゃ、そんな事か。では、頼む。」
「分かりました。では、“死滅の光!”」
出来ましたね。
レルネさんも満足そうだ。
「これは便利じゃの。儂にも教えておくれ。」
そうこうしてレルネさんにもイメージを沸かせる。
「よし!それじゃ、皆のところに行って試してみるか!」
「そうですね。ではレルネは2階、私は3階に行きましょう。カズさんはディートリヒたちをお願いします。」
二人が意気揚々と出て行った。
でもね、俺は処理なんてしなくても皆の事大好きなんだけど、やはり人前に出る時には…、という世間体が邪魔をしてしまう…。ディートリヒの部屋のドアをノックする。
「カズ様…、いかがしましたか…。」
水着を着ているが眼が死んでいる。多分ショックを受けているんだろう…。
「多分、ディートリヒが寂しがっている事を解消できると思ってね。入っていいかい?」
「はい…。」
部屋に入ると、やはり水着を着ている。
脇とVゾーンを魔法で脱毛した。
「カズ様、素晴らしいです!最高です!愛してます!」
「ありがとね。じゃ、みんなの部屋に行こうか。」
ナズナもベリルもスピネルも同じで悩みを解決できた。
ミリーとニコルはメリアさんかレルネさんに任せよう。
何か忘れていることは無いか?
あ。アイナだ!
「アイナは?」
「自分の部屋ですが?」
「あいつに渡した水着は大丈夫だから問題はないが…」
窓を開けてアイナを本宅に呼ぶ。
「社長!この水着は良いですね!動きやすいですし、何よりも紺色が気に入りました!」
スクール水着を着て喜んでいるよ…。
ディートリヒ達は不思議な顔をしている。
「ん?社長、何でみんなが来ているモノと私のは違うんですか?」
いかん…、笑いを堪えることができない…。
「アイナ…、すまん。入れ間違えた…、ププ…。それは、子供用で…プ。」
「社長、それはひどいですよぉ~。で、私のはどれですか?」
「これで、プ。」
羞恥心が無いのか、その場で着替える。
そして…、え?大丈夫なの?
「アイナ、普通水着を着ると、その…、Vゾーンというか、大切な部分の毛が出るんだけど…。」
「あ、そう言う事ですか。大丈夫ですよ。私、こう見えても、首から上の毛はありますが、下はありませんから。」
あれ?そうだっけ?
お風呂一緒に何回か入ったが、良く見ていなかったからな。
それに伴侶でなかった女性をじろじろと見ると…ねぇ…。
「良かったよ。水着、間違えてごめんな。でも、似合ってたよ。」
今度、スクール水着に「あいな」と白い布に書いて貼っておいてやろう。
皆、満足したのだろうか。2階のリビングに集まって来た。
「旦那様、私たちまであのような魔法を施していただいても良かったのですか?」
「ん?でも皆大きなお風呂に入りたいでしょ?
皆で入る時、水着を着れば問題ないよね。
あ、そう言えばこの国には海がある?その海で泳ぐことはできる?」
「海はあります。ですが泳ぐという事はしませんね。
何より、海は魔獣が出ますからね。」
「そうなのか…。海水浴ができないとなると勿体ないね。
あ、そういう施設も作ろう!ただ、海水ではなく温泉で。」
「旦那様の知識は凄いですね。いろいろな楽しみが増えていきます。」
そうだ、早く皆が楽しめる施設を作ろう。
そのためにダンジョンを踏破し、素材を集めましょうか。
「あ、アデリンさん、お願いしてたものありますか?」
「社長、これだよ。」
一つ一つ箱の中に入っている。
「でね。物は相談なんだけど、こういったものはできないか?」
俺は、左耳のピアスを見せる。
「ほう、これは?ふむ。すまないが、取って見せてもらえないか?」
「あぁ。ほい。これだよ。」
「ふむ…。これはイアリングよりも簡単だし、素材も少なくて済む。
社長は、これを売り出すつもりかい?」
「あぁ、これをアデリンさんのところで作って売ってもらうってのはどうだ?」
「社長は、お金を産むコカトリスかい?」
ん?お金を産む?コカトリス…?
あぁ、金の卵を産むガチョウの例えか。
「えと、それじゃ、先ずはアデリンさんたちにと…。」
うお!これは凄く凝ったネックレスだ。
ファミリーの紋章が彫り出され、その花の一部にルビー、アメジストが使われている。
その一つ一つに防御と敏捷をかけておく。
「アデリンさん、すごく綺麗ですよ。ありがとう!みんな絶対気に入りますよ!」
「夜なべして作った甲斐があったってもんだ。」
一個ずつアデリンさん達に渡していく。
「これを付けて店に出てくださいね。トニュフさん達も、服が出来上がった時とか、店に行くことがあると思うから渡しておきます。」
「次はクラリッセさん、サーシャさん、ネーナさん、レイケシアさん、ルカさん。」
レイケシアさんが無言になり下を向いている。何かあったのか?
「レイケシアさん、何か問題でもあったのか?」
「いえ、社長…。私はあの服を着たいために社長に引き抜いてもらいました。
服だけで満足なのに、部屋と食事とそれにネックレスまで…、どう社長に恩返しをしようかと…。
かくなる上は夜伽でも…。」
「必要ありません(((((結構です)))))!」
ディートリヒ達が声を揃えてレイケシアさんを睨んだ。
「レイケシアさん、それと皆聞いてほしいんだけど、女性はいつまでも美しくあって欲しいというのが俺の望みなんだ。俺が雇っているみんなが綺麗なのは何故?石鹸としゃんぷりんを使えば私たちも綺麗になれるの?あの服はどこで買うの?なんて噂になったら石鹸もしゃんぷりんもネックレスも売れるだろ。
みんなに着けてもらうのは、皆ひとりひとりが広告塔になってもらうって意味なんだ。
シェルフールやクローヌだけでなく、この国の女性の憧れの的になって欲しいからなんだ。
そして、他の女性が買ってくれればお金が増える。お金が増えれば新しい商品を作ることができる。そうしたらまた売れる。良い循環が生まれる。」
「そう言えば、伯爵家のパーティーで私が付けていたネックレスやイアリングもそう言う意味でしたね。」
「まぁ、これだけでは足りないので、みんなにはもっと綺麗になってもらうよ。」
バッグの中から、ゴロゴロとリップやファンデーションを出していく。
「社長…、これは一体…?」
「すまん…、俺も何でこんなに色があるのか分からないが、兎に角いろいろ買ってきた。
これが、口紅、というのか?そしてこれがファンデーション。
使い方は…、レイケシアさんが実験台になってもらおうか。」
「え、私ですか!はい!喜んで!」
即答だね。
「んじゃ、先ずはファンデーションだけど、これは肌のきめを調えるもの…だと思う。」
ホントの理由は分からないけど、多分そんな事じゃないか…。
「んで、これを付属のスポンジのようなもので、こう薄く塗っていく。
と、こんな感じかね?」
「うわ!レイケシアさん、すごく肌が綺麗に見えます!」
皆が目を輝かせている。
「ほいで、次は口紅だけど、これは何でこんなに色があるのかね?」
「カズ様、それは服の色に合わせてとか、用途があるのでは?」
「おぉ!そうなのか。んじゃ、適当にこの色で良いか?
これをリップに付けると…。どう?」
皆の眼が羨望のまなざしになった。
レイケシアさんは鏡を見てうっとりとしている。
「これほどまでに綺麗になれるんですね。
かくなる上は、社長に御恩に報いるためによ…」
「要りません((((いりません))))」。」
「そんな事より、皆さんが綺麗になって商品の売り上げを目指していただけることがカズさんの望みだと思いますよ。」
メリアさんがまとめてくれた。
「あまりつけ過ぎると、どこぞの厚化粧のお局様のようになっちゃうから、薄く、自然になると良いから、店に行って、みんなで練習してくると良いよ。」
クラリッセさんが、皆を連れて店で練習をしてくれるようだ。
ここに残ったのは妻さんズと残念ギャルズ。
さて、メインイベントだ。
「じゃ、みんなに渡していくね。」
先ずはディートリヒ達にリングを渡す。
金属にダイヤを埋め込んで自然光でも光るように工夫されている。
流石アデリンさん、出来るヒトは違うね。
一つ一つ、マナ増加に加え彼女たちのスキルを向上させるものを付与し、一人一人の指にはめていった。
ディートリヒとナズナは敏捷、ベリルとニコルは防御、スピネルとアイナとミリーには錬成アップを加えた。
彼女たちは、指にはめた指輪を掲げてダイヤの光を見ている。
「カズ様、付与が2つも付いています。」
「うん。前と同じで2つしか無理だったから、今度はピアスに付けようかと思う。」
「カズ様、ありがとうございます。これがカズ様との伴侶の証でございますね。」
「まぁ…、そうなるかな…。これからもよろしく頼むね。」
「お館様、まだ愛し合っておられない者もいますので、早々にお願いします。」
「善処します…。」
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