10-20 ダンジョン・マラソン in クローヌ①
「今日はダンジョンに行って見ようか。
アイナはここに住んでいる鍛冶屋の頭領と話をしてもらえると嬉しいな。」
「はいな、社長。確かここの鍛冶屋も父ちゃんの知り合いって聞いていますので、話がしやすいと思いますので。
で、何を話しておけばいいですか?」
「そうだな…。先ずはどんな鉱石が足りなくなっているか。
そのためには何をすべきか。
もし、鍛冶職人の中に家を建てるヒトが居ればどれくらいのヒトが居て、昨日のあそこに家を建てる場合、どれくらいの金額と期間が必要か、くらいかな。
あ、もし何かあるといけないから、アイナにはこのバッグを持っていてほしい。」
バッグの中身は昨晩少し整理しておいたドワさん用バッグ。
中身は鉱石と素材がたんまりと入っている。
「社長、このバッグの中身が凄いんですが…。」
「あぁ、これまでに貯めておいた素材と金属だ。ただし、金はないけどね。
それを交渉の材料に使ってほしい。」
そう、金は出張が終わった後、向こうで売るために貯めてある。
それに、鉱石はそれだけじゃない。
「では、交渉はお任せくださいまし。」
「ギルドでダンジョン地図が売られてるんだよな。それなら駆け足で40階層まで行くか?」
「そうですね。耐熱の装備はありませんが、氷魔法がどこまで使えるか試してみたいですから。」
「そう言う事だから、アイナ、今日は遅くなるかもしれないから、寝てて良いからね。
それともドワさんと酒場でも…、
あ、ついでにこれも渡しておく。」
ジンとテキーラを4本渡しておく。
「社長、これは最終兵器ですか?」
「そうだ。」
「これがあれば、交渉は完璧ですね。」
「それじゃ、行動するか?」
ギルドに行き、依頼を見てダンジョンで金になりそうな依頼を数個受ける。
ディートリヒ、ナズナ、ベリル、ミリー、ニコル、そして俺の6人パーティーだ。
恐らく、とんでもなく強いパーティだぞ。
ギルドで地図を買う。39階層まである。
「よし、それじゃ、最短ルートで一気に行こうか。
ナズナが先導し最短ルートで目指してくれ。」
「お館様、モンスターボックスはどうしましょうか。」
「そうだな…。多分、瞬殺だと思うから、全部回ろうか。
ミリーとニコルも後衛として動いてもらうけど、たまに氷魔法を試してみても良いかな。
あと、ボスが飛んでいる魔物であれば、グラビティが効果的だからね。」
「腕が鳴りますね。」
「ダンジョン、久しぶりです。」
皆、顔が生き生きとしている。
「それと、裏技を教えるから。
例えば火山とか熱いエリアに入ったら、自分に氷魔法を、そうだな1,000mくらいの高度をイメージして、自分の周りにかけておくと随分と楽になるからね。」
「それであれば、耐熱装備は不要ではないですか?」
「いや、火のブレスや火球が飛んでくると危ないよね。
だから、今回の前衛はディートリヒ、ナズナ、俺という事になるね。」
「主殿、私は火耐性がありますが。」
「あ、そうだった。それじゃ、いつもの配置で行こうか。」
「そうですね。では、最初に誰が氷魔法を試すか順番を決めましょうか。」
完全にピクニック気分だ。
山に向かい、歩いて30分行った中腹にダンジョンの入り口があった。
守衛さんが居る。
守衛さんに挨拶し、夜には出てくることを告げる。
「夜は街までの道中に魔物がいるかもしれないから気を付けるんだぞ。」
ここの守衛さんも良いヒトだ。
「さて、1階層からいきますか。」
ここの階層はほとんどが荒野で、山岳地帯が火山地帯になっている。
虫も出ないので、基本的に大多数の群れで攻撃してくることはない。
「なかなか単純なダンジョンのようだな。」
「そうは言っても、この暑さですから、皆クーラードリンクとかを持参しないと無理なんでしょうね。」
「皆、氷魔法はかけている?」
「主殿、私は問題ないので、このまま行きますね。」
「いいよ。それじゃ、みんな“行こうか”!」
「硬化!強化!」
お、ニコルもいい具合にバフをかけるようになっている。
5階層までは基本一緒のダンジョン構造。
ボスはゴブリンロード…、ディートリヒの剣撃に瞬殺された。
6階層にはブルの上位種、レッ〇ブル…。
翼を授けてくれる飲み物ではないが、赤身の良い肉をドロップしてくれる。
9階層のモンスターボックスはブルさんズ。肉のオンパレード。
皆喜んでいる。
10階層のボスは、ハイオーク・ジェネラル。
オークの上位種らしく、身体も一回り大きいような気がする、が、ベリルの火球爆弾で焼失し、ドロップ品のみが落ちている状況。
宝箱は、ハイオーク・ジェネラルの剣…。うん…、興味がないな。
ここまで約1時間30分。
皆、どれだけ強いんだ。
11階層からも同じような構造だ。
シェルフールのダンジョンよりも強いらしいが、まだ氷魔法も使っていない彼女らの攻撃で一掃されていく。
13階層に行くと火山帯だった。
「お、ようやく火山帯だね。
鉱物は何が出るのかね?」
鑑定すると鉄…。あらら、一緒じゃないか。
がっかりしていると、ナズナが声をかけてくれる。
「お館様、そうとは限りませんね。
魔物が落とす魔石の半分が火属性の魔石です。
これは、結構使い勝手がいいですね。」
「そうか。そういう考えもあるか。じゃぁ、どんどん行きましょうか。」
15階層のボスはハイオーク・キング。
普通の魔物のようだったので、ナズナの一閃で首が飛んだ…。
宝箱からは、また出たよ…。オーク・キングの睾丸…。
まぁ、お金になるから別にいいけどね。
「なぁ、どの辺りから魔物が強くなるんだ?」
「カズ様、魔物は強いと思いますよ。ただ皆さんが強いだけです。」
「でも、氷魔法の一発も撃ってないぞ。皆、拍子抜けしていないか?」
「いいえ、お館様。久しぶりのダンジョンで皆ワクワクしているんですよ。
強い弱いというものではなく、ダンジョンを満喫しているのです!」
「ニノ様、私とミリーは皆さんの強さに改めてびっくりしています。」
まぁ、どんどんいきますよっと。
20階層にやって来た。
ボス部屋の前で作戦を練ってみる。
たしか、サラマンダーとかいう魔物がボスだ。
「サラマンダーって火のトカゲで良いのか?」
「そうですね。結構すばしっこいと聞いていますので、攻撃が当たるかが心配ですね。」
「それじゃ、初めての氷魔法の出番かな。で、誰がやる?」
「カズ様、僭越ながら私めが先陣をさせていただきたいと思います。」
「お、おぅ。余り無茶するなよ。ヤバいと思ったら言ってくれ。魔銃撃つから。」
「はい。ありがとうございます。では、みなさん行きましょうか!」
ボス部屋に入ると、真ん中に全長2mくらいだろうか、赤いトカゲが居る。
「ディートリヒ、全体に氷魔法をかけることはできないだろうから、ボスだけやってくれ。あとは、俺たちで何とかするから。」
「ありがとうございます。出来るだけのことはしてみます。では、“フリーズ”!」
ディートリヒが魔法を放った後、バリアーを張り、氷の影響がこちらに来ないよう注意する。
が、そんな心配もなくボスを中心に氷漬けになっている。
「なぁ…、サラマンダーって火だろ?氷をとかすくらいの火を持っているとかはないのか?」
「お館様、火の力よりも私たちの氷の力が強いのです。」
「で、この氷をどうやって壊すんだ?」
「ハンマーかトンカチで割るしか…。」
「そんなもの持ってきてないよね…。」
まぁ、氷漬けになっている魔物なので、氷を砕けばバラバラになる。
そのため、魔銃を使い、バラバラにしていく。
21階層からは火特有の魔物も出てくるようになった。
ヘルハウンドとかいう犬のでかい魔物とか、炎樹とかいう木が燃えている魔物もいる。
ドロップアイテムも火属性のモノが多く出ている。
でも、このドロップアイテムを使って、何か作るという選択肢は今のところない。
うん…、何か興覚めしていまって、ダンジョンを効率的に回っているような感がしてならない。
もう少し、美味しいというか、これを使えば凄いモノが出来るとか、心がワクワクするようなモノって無いのか、と聞いたら皆に叱られたよ…。
と思いながら、先に進んでいくと、ようやく強そうな敵を出会う事ができた。
「こいつ、俺にやらせてくれないか。」
「カズ様が、ですか?別に良いですが、何かあるのでしょうか?」
「少し、魔法以外でやりたいことがあってね。」
アイテムボックスから居合刀を出す。
「主殿、これは?」
「これまでの世界で“刀”という武器だ。ベリルの大太刀を小さくしたものだ。」
「これだと、接近戦になりますが、主殿は接近戦は紙だったのでは?」
「まぁ、そうだけど、一度やってみたかったんだよね。」
そう、若い頃に習っていた剣道がこの世界に通じるかどうかを…。
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