2-4 武器がヤバすぎる件について…
とりあえずのところ、武具は購入できた。
得物は魔銃。自分のマナを充填し無属性の弾を撃つ。
防具はトレンチコート、経年劣化防止、衝撃吸収、耐熱・耐寒。なんだか凄そうだ。
薬草を取りに行くついでに、魔銃の試し打ちもしてみよう。
北西の門に行き、冒険者ギルド証を見せる。
お、すんなり通してくれた。
「日没には門を閉めるから、それまでには帰ってくるように。」
守衛さんにそう告げられた。
大丈夫です。そんなに遠くには行きませんよ…。
街道を30分ほど歩くと森が見えてきた。
んじゃ、とりあえず魔銃にマナを充填しておきましょうか。
俺は魔銃を取り出しマナを銃に込め始めた。
お、結構入るんだな。
倦怠感はないが、大分魔銃のマナが充填された。
正直、何発撃てるか分からないが、無いよりはマシだ。
森の中に入っていく。
最初は日の光も見えてきたが、15分ほど奥に入ると完全に鬱蒼としている。
まぁ、道があるだけマシなので、俺は山の麓まで歩くついでに薬草採りと魔銃の試し打ちをやってみる。
先ずは薬草だ。鑑定を使って採取する。
最初は、どんな草が薬草なのか分からないので、片っ端から手に取って鑑定してみる。
ブタ草、ペン草、臭草…、お!プロメ草、ありました! 次にモーリ草、ありました。
こんな簡単に見つかっていいんだろうかね?
そこは良く分からない。あとギルドに納品する際はどうやって持って行くのか分からなかったので、とりあえず根っこから引き抜き、その状態でギルドに持って行くこととする。
プロメ草とモーリ草は100以上採取できた。
依頼は、プロメ草10束、モーリ草10束、ウム草5束で1セットだったから、ウム草をどれだけ採れるかで納品するセットが決まるって感じかな。
そんなことを考えながら森の奥へと行く。
すると、前方からイヤな感覚を感じる。この感覚は緑の奴だ。
少し集中し、索敵をかけてみる。
100mほど前方に緑の奴が3つ…。俺は八つ〇き光輪を2つ出す。
まだ向こうは気づいていないようだ。
俺は右手に魔銃を握りしめ、足音を立てないよう、ゆっくりと移動する。
目視できる距離になった。まだ、相手は気づいていない。
八つ〇き光輪は射程20mくらいしかないので、その距離まで詰めるか、それとも魔銃を撃つ方を先にするか迷うが、まぁ、魔銃の射程距離を知りたいから銃を先に撃つことにする。
50mくらいになったか…俺は狙いを定め、魔銃を撃つ。
“バシュン”
うぉ!すごい反動だ。と思った瞬間、遠方から風か圧力のような衝撃波が走った。
「うげ!」
俺は衝撃波をモロに食らい、尻餅をついてしまった。
ヤバい、緑の奴はこの衝撃波に気づき、俺の方向に向かってくるだろう。
そう思い、光輪を投げる準備をする。
しかし、前方からは物音ひとつしない…。
索敵をかける…、イヤな感じが無い…。
恐る恐る前方に緑の奴がいたであろう場所まで行く。
そこには、辛うじて原型を留めている緑の奴らしき物体が3体横たわっていた。
「うわ、これじゃ素材取れないな…。」
光輪を消失させ、独り言ちする。
しかし、この魔銃、えらい威力があるな、これじゃ、魔銃倒したとても素材採れないじゃんと思いながら銃の握り手部分を見ると何やらスライダードがある。
よく見ると、メモリがある。今は中間の位置にある。おそらく半分だと思うが、これがパワー出力だとすれば、今50%で撃ったって事か?
どちら側がMAXで反対側がミニマムなんだろう…。
何となく銃底に近い方にスライダーを向け、もう一発撃ってみる。
”パシュ!”
あ、今度は反動は少なかったぞ。という事は、今ある位置がミニマムで反対側がMAXだと確信する。
緑の奴が半分のパワーではグチャグチャになるので、10%くらいで今度は撃ってみようと思う。
まぁ、緑の奴が居れば、だけど。
緑の奴をアイテムボックスに入れ、そんな事を考えながら歩いていると山の麓らしきところまでやって来た。
手あたり次第に草を鑑定し、ようやく木の根元にウム草の群生地を見つけることができた。
これを50本くらい採取する。
「ふう。これで依頼達成かな。」
何となくであるが達成感がある。
これで、薬草採取(プロメ草10束、モーリ草10束、ウム草5束)を10回クリアしたという事になるのか?詳しい事はギルドに聞こう。勿論、お局様以外に。
そんな事を思っていると、再度ねっとりとした感覚がする。
索敵をかけると、方向は違うが緑の奴が2匹と白い奴が1匹だ。
先ずは、緑の奴に音を立てずに近寄り、射程範囲と思う距離まで近づき、2発撃つ。
お!今度はグチャグチャにならないぞ。一匹は頭が吹っ飛ばされ、もう一匹は腹に穴が空いた。
しかし、照準補正とかあるのか?撃てば100%当たるのか?
まぁ、当たれ!と念じて撃ってるので、何らかの効果があるかもしれない…。
あ、いかん。また“自分ワールド”の中に入ってしまった…。
俺はすぐさま緑の奴をアイテムボックスに入れ、白い奴の方に注意を払う。
白い奴は動いていないようだ。
俺は射程範囲まで近づき、同じ出力で魔銃を放つ。
「うん。いけたな。」
白い奴の頭を吹っ飛ばし独り言ちする。
成果は上々。
ここまでと決めたら深入りはしない…。さっきロマノさんに教えてもらった冒険者の心得の一つだ。
俺は来た道を戻る。
2時間くらい歩き、街に戻って来た。
「お、ちゃんと帰って来れたな。」
守衛さんが覚えていてくれたようだ。
「はい。とりあえずですが、帰ってきましたよ。」
俺は、挨拶を返す。
こういった何気ない挨拶は極めて重要だと思う。
小さな積み重ねが信頼を勝ち取るんだって、どこかの社長が言っていた…。
街に入り、ギルドを覗くとお局様はいない。
ラッキー! 俺はヒトが居ないところでアイテムボックスから薬草を出して受付に依頼の報告をする。
「薬草採取の依頼ですが終わりましたので報告します。」
「え?はい。では素材を向こうのカウンターで納品してください。」
俺は奥に行き、薬草3種を渡す。
勿論、プロメ草10束、モーリ草10束、ウム草5束を個別に絡げ、3種類の草を一つに束ねた状態での納品だ。バラバラに渡すことも良いけど、相手の事も考えてあげると、これが一番効率が良い。
「ニノマエさんでしたか?」
「はい。そうですが。」
「このように区分けして納品してくれる冒険者さんは居なかったんですよね…。この納品方法って、すごく良いですね。」
「数えやすいですし、何よりも選別しなくて済みますから楽だと思いますよ。」
「それに状態が非常に良いです。私、鑑定は持っていませんが見た感じでも新鮮に見えますね。」
あ、アイテムボックスの効果だ。確か作る時に時間停止を入れているからだな。
来る前に鑑定もしたけど、良質って出てたしな。
「今回は、依頼1回分がプロメ草10、モーリ草10、ウム草5を10セットという事で10回分の依頼完成という事になります。ギルド証をお見せください。」
「ありがとうございます。はい、ギルド証。」
俺はギルド証を渡し、依頼完了を登録してもらった。
「あと、20回完了すれば、今のランクが一つ上がりますので、頑張ってくださいね。」
今、俺は最低ランクのFだ。とすれば後20回薬草を持ってこればEランクか…。
ランクが上がると、どんなメリットがあるか分からないが、まぁ地道に行きましょう。
「はい。今回の報酬です。銅貨30枚が10個分ですので、銀貨3枚になります。ちなみにこの依頼は常時張り出されていますので、何度も受けてくださいね。」
「ありがとう。また受けさせてもらう事にするよ。」
銀貨3枚か、円換算で3,000円…、まだまだ稼がないとな…。
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