ネコと車椅子

加藤茶太郎

第1話 はじめに

あなたの日常は、自分自身で造り上げたものですか。

「おはよう」に始まり「ただいま」で家庭に還る毎日に、納得し人生の軸足を置いていますか。

「当たり前に」「何気なく過ごす」「普通」の日は、脆いものです。

平穏な日常生活は事故や病気による障害にて一瞬にして姿が変わります。

介護なくしては生きられない障害は、身体からはじまり家族に仕事に、そして経済面にも及びます。

明日も続くはずの暮らしが激しく揺り動かされ、苦悩で家庭が支配される日々が続きます。

そして時間と共に、家族の将来にも容赦なく障害が及びます。

時を振り返っても豹変した生活には、後悔も自省も祈りも、やり直しがきく術には成りません。

なぜ私、なぜ我が家にと、理不尽を胸に、歳月の積み重ねが二つ目の人生の日常が造られていきます。不条理には因果はなく、いつどこにでも起きうる気持ちを持つことが自分自身を支える糧です。


禍福は紙一重です。とらえ方次第でどちらにも変わります。

本書にて、意思に関係なく突然にすべてが変わってしまった今日明日を、日常の本質にする一助と成れば幸甚です。

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