花曇り

藤島花乃

1-1



昔から引っ込み思案で、嫌いな言葉な「変化」。


だから、環境の変化というものは、私にとって恐怖でしかなかった。




ほら、高校入学とか。


新しい制服を着て、誰も知り合いのいないクラスに突っ込まれて。

引っ込み思案で臆病者な、自分から他人に話しかけられない私には、ハードルが高い。


そして案の定、入学早々私はクラスでひっそりと孤立していた。



クラスの窓際後ろの特等席に座っている私の存在はあるのかないのか。


時折、窓から見えるグラウンドに目を向けて。

風に耳をすまして。


時折、窓から見える空に目を向けて。

眩しさに目を細めて。


そうして黒板に視線を戻すのだ。




放課後にはささっと荷物をまとめて帰宅する。


学校に行って授業を受けて、家に帰る退屈な日々。


そんな退屈な日常が私は好きでも嫌いでもない。

でも、この平々凡々な日常がいつまでもずっと続けばいいなとも思う。



誰も、私に気付かないで。

ひっそりと、ただひっそりと教室の片隅にいられればいい。



そんな私の日常の中にたった一つだけ非日常があるとすれば、それは昼休みだけかもしれない。


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