笑って、笑う

効果を保つために三か月ごとの交換を推奨します

　付き合ったと報告された。

　大切な幼馴染。私と彼女と彼と、三人はいつでも一緒。これからは、二人と一人。いつでも一緒は、いつも一緒に格下げされる。

　喜んだ。

　送る。祝福。

　はにかむ彼女に、

　照れる彼に、

　祝いを贈る。気持ちよ届けと願いを込める。

　気付いてくれるなと気持ちに蓋をする。

　私の影は彼らより背が低くなった。一歩分だけ、背が低い。

　先を歩く彼らの背中。見慣れぬ光景に、聞き慣れた声がノイズを生んだ。

　笑って、笑う。

　笑い続けて火を消した。恋で終われと呪いをかける。私自身に呪いを贈る。

　恋はいい。

　恋ならばいい。

　許されないのは一時の話。時が経てば笑いに昇華する。飲み込んでしまえば消化できる。焼け木杭など消火してしまえ。

　略奪愛か。

　誰を奪う。私はどちらを奪う。

　どちらに嫉妬する。

　いやいや、違う違うと蓋をする。

　どちらではない。どちらなどではない。私が欲しいのはどちらもだ。どちらもが欲しいんだ。

　複数愛か。

　それはいい。いや、いけない。

　付け加えれば同性愛か。

　笑う。

　笑う。

　笑って、笑え。

　気持ちに蓋をする。

　閉じた蓋に即効性の接着剤で封印を施した。効果のほどは結果次第。

　私の行動に二人が驚いた。

　そんな素振りなかったのに。それはそうだとも。一番知らなかったのは私自身だとも。

　取り繕った私の彼氏。適当に見繕ったにしては、接着剤として役に立つ。

　これもまた許されない恋だろうか。人の恋心を弄ぶと言われてしまうだろうか。構わない。構わないとも、さあ、笑え。

　許される必要すらない。これはただの恋。

　ただの恋で終わるだけのおはなし。

　私は今日もただ笑う。